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小さなギモン調べてみました!

建築・不動産から言葉のトリビアまで、仕事の中で見聞きした小さなギモンを調べて報告していきます。

神社の話§2

前回に引き続き神社の話をもう少しさせて頂きます。
このブログのテーマである「小さなギモン」からはずれちゃってますが、好きなもんで、もうちょっとだけご勘弁を。

それと、最初にお断りしておきますが、私自身は基本的に無宗教でして、あくまで建築物やその背景にある歴史への興味として神社が好きなのであって、宗教的な意味合いはありませんので。あしからず。

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■神社って結局「高床式倉庫」みたいですよね。

実際のところ、神社建築のルーツは「高床式倉庫」にあるのです。

話しが少しそれますが、古代の日本住居は大きく以下の4つの形式に分類できます。

「クラ」・・・いわゆる「高床式倉庫」
「トノ」・・・基礎と床があって古い農家みたいなカンジ
「ヤ」・・・いわゆる「竪穴式住居」。縄文時代の一般的な家
「ムロ」・・・いわゆる「横穴式住居」。洞穴を住居にしたヤツ

このうちの「クラ」=「高床式倉庫」は、もともとは古代では「最も大切なもの」=「食料」を保存する為に建てられた建物だったわけですが、これが後に建物そのもの、というか建物の形式そのものに敬意が向けられ、位の高い人の住居や宝物の収蔵庫になり、最終的には神様の仮住居として捉えられ、神社に発展していったと考えられています。(「仮住居」と書いた意味は、後述します。)

言葉的にも「クラ」という音は、「高い(場所)」とか「高貴な(場所)」という意味があるそうで、今でも「蔵」は大切なものをしまう場所ですし、乗馬の際に使う「鞍」も人から見れば高い位置につけますよね。
また、モノの先端を意味する「ホ」(「麦の穂」や「穂先」の「ホ」)とつなげて、高貴な場所の最上級を表現し、「ホ・クラ」=「ほこら」=「祠」・・・神様を奉る場所の語源に成っていたりもします。
(ちなみに「炎」は「火の穂」(火の先端)が語源だそうで)

学校で古代日本の生活を勉強した子供が、特に古い形式の残る神社建築(伊勢神宮や出雲大社 等)を見て、『学校で習った、高床式倉庫みたいだねー』と言ったとすれば、それは大正解ですので、誉めてあげてください。


■神社は神様の仮住まいです。

お寺にはご本尊として仏像があったりしますが、神社の本殿の中には何があるのでしょうか。
多くの場合、三種の神器(鏡・剣・勾玉)の代表で鏡がおかれていたりしますが、実はここに神様はいないことになっています。

神道では神様は自然界に数多いて、かつ、常に移動している、もしくは自然と一体化しているのです。
あっちこっち飛び回ったり、自然と一体化したりしているので、神様を拝もうと思ってもどこを拝んだらいいかわかりません。
わからないものですから、神様が立ち寄りそうな場所として、なんかスゴそうに見える大きな木や石、山や川、太陽や月に向かって祈りを奉げるのが古代神道の形であったと思われます。

つまり、祈りを奉げる時だけ、その場所に来てもらって祈りを聞いてもらうわけです。
祈りを奉げる人々は、神様への敬意から、神様が立ち寄りそうな、これらの大きな木や石の周りは常に清浄に保ちたいので、特別な木で境目を囲って一般人の立入りを禁止したりしました。
この境目に植えた木が「境木」=「榊」(さかき)です。
(ちなみに「石」で囲ったものも有り、こちらは「磐境(いわさか)」と呼ばれます。)

で、どうせならもっと居心地の良い場所に来ていただこうということで、奉る時だけ小さな社(と言っても犬小屋サイズの小屋)を造るようになりました。
この小さな社を「神籬」(ひもろぎ)と呼びます。奉る時だけ造るので組み立て式になっていたりもしたようです。
「神籬」は、神様の依り代となる木や石そのものの呼び名としても使われていましたが、後には奉る時に造る小さな社の呼び名になっていったようです。この小さな社が現在の御神輿のルーツと言われています。
御神輿がお祭りの時だけ登場するのも、そんな理由からだと思われます。

これがさらに、奉りの都度に造ってるのも面倒になって(ではないかもしれませんが)、常設の社となり、このときに採用されたのが先の高床式倉庫=「クラ」の建築形式であったろうと思われます。

少々回りくどい話になりましたが、そんなわけで、神社には神様が常に居るわけではなくて、奉る時だけ来て頂く仮住まいとして神社は建っているのです。
神社にお参りするときに、拍手を打ったり、鈴を鳴らしたりするのは、神様を呼び出す「呼び鈴」代わりの意味があって、その度に神様は神社に立ち寄って祈りを聞くというわけです。

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これらの話は、実は諸説あってこれが絶対に正しいというものではなく、他にも色々な解釈や研究結果がありますが、私的にはとても納得がいくものを簡単にまとめたものです。
神社建築の形やそこで使われる言葉の意味を、多少なりとも知っていると神社に行ったときに楽しめるのではないかと思ってご紹介しました。
何せ日本人は、宗教に関係なく、初詣や観光で年に何度かは神社にいきますから。
そんなときに思い出していただけたら何よりです。

このシリーズ、まだまだ続けられるのですが、ひとまずここまでとします。そのうちネタに詰まった時に、また再開したいと思います。

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 CA3C0068.jpg

※画像は本文と関係有りませんが、お盆休みに立ち寄った、一ノ蔵さんが運営する「大崎市松山酒ミュージアム」です。
道すがら立ち寄っただけでしたが、結構面白かったです。

酒造りの手法等を説明したオリジナルアニメーションがみられるのですが、これも結構面白く、もちろん販売店もこの建物向かいに併設されています。

また、すぐ近くに「大崎市松山ふるさと歴史館」もあり、当市出身のフランク永井展示室がありました。

写真にある電車みたいなものは、その昔松山町を走っていた「人車軌道」という、人力で引いていた車両です。これはレプリカですが、ふるさと歴史館には実物を修繕・復元したものが展示されています。現存するのは、ここのレプリカと復元した車両以外には、鉄道博物館に1両あるのみという、「鉄」の人には大変興味深いものかもしれません。

この記事を書いた人

斉藤 一則

斉藤 一則(株式会社マイザ)

事業企画担当。
遊休地や低利用建物の効率化提案から賃貸管理・リフォームサポートまで、建築・不動産関係が専門。
旅行好き。

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