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マクロの眼

プロジェクトエンジニアを僭称(?)中

(Facebook転載)西公園蒸気機関車とオーバーデザインのナゾ

他地域からセンダイを訪れた人々から時々聞くのが、「広島っぽい」「名古屋っぽい」「札幌っぽい」さらには「立川っぽい」「ニコタマ(二子玉川)っぽい」というように、要するに住むには良さそうだが観光するには風情がなく特徴がない街の風景、という評価なのでした。

そんな中で異彩を放っているのが仙台駅

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東北・上越新幹線の建造を進めた後期国鉄が、なぜか大宮駅的量産型新幹線駅にセンダイはしなかったのはナゾですが、いつも首都圏とは微妙に力点が違う投資で唯一センダイらしいアイデンティティを示した、かつて偉大なる国鉄仙台鉄道管理局遺産として伝承されてきた西公園のC60の修復が、ついに行われたのでした。

2016年11月3日 · 仙台市 ·

【西公園SLの本体はむしろ屋根】
定禅寺通り北端の西公園のC60の修復が、先月ようやく終わったとのことで、その様子を見に行くなど。

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が、金ピカになった車両よりも、今回初めて整備された「屋根」に衝撃を受けるなど。

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この屋根の鉄骨。
かなりのこだわりで、通常この手の屋根はH型鋼の柱を主体にして今風のデザインでコスト削減をすると思うのですが、わざわざトラスにしています。

トラスは鉄が不足した、戦前や戦中の国鉄駅などで頻繁に使われた方式。
しかも「リベット」と見せかけて高力ボルトをわざわざ使う、手の込みよう。

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さらにこのカラーリングは、屋根が板葺きの場合に木造の色に合わせプラットホーム明るく見せる、戦前の国鉄特有の塗装ですね。
たぶん、このためにペンキも配合したのでは・・・。
今やとても珍しく、むかし叡山電鉄の出町柳駅で見たことがありますな。
あの時の感動再び。

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国鉄OBの助言があったとのことですが、いや、ここまで細かい指示が都市整備局などからあったとは思えず、この建屋の設計者が「仕様書以上にシゴト」しやがりましたね?

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写真ではなかなか伝わらない、意外な迫力のこの屋根。マスコミ報道でもブログ等でも誰も指摘しておらず。
いやむしろ西公園に屋根を見に行くべし

<補足>

車両周辺にわざわざターンテーブルみたいな舗装までする手の込んだ、西公園のSL。

この投稿に対して、米国在住の友人が「Over Design」と評しておりました。

センダイのむしろ特徴である、「以前来たことがあるような、既視感あふれる特徴のない透明なアイデンティティ」の原因として、センダイには「私鉄文化」がないからではないか?と分析した以前のブログ記事。

S-PAL SENDAI東館と宮城電鉄残照のナゾ

一方で、時々「何がしたかったのかはわかるが、まさか本当にやるとは思わなかった」というイギリス兵器と日本兵器を合わせたのような建造物がいつの間にか建造されるという特徴が仙台にあります。しかもだいたいが自己満足

その頂点が仙台大観音ですが(え?何がしたかったか、これまでこのブログを見ても分からない?)、西公園のC60もその文脈と言えます。

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しかし、かつて宮城県知事や仙台市長すら、局長就任の際には挨拶に伺ったという伝説がある偉大なる仙台鉄道管理局は民営化後、JR東日本「東北地域本社」となり、1998年には「仙台支社」に格下げ。最後の砦である国鉄が陥落し、バブルははじけ、ますますTOKYOの縮小コピーの道を加速することになるのでした。

しかし国鉄仙台鉄道管理局魂は未だ滅びず・・・ッ!

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このたび国鉄全盛期を象徴するC60が、車両の持ち主であるJR東日本仙台支社ではなく永久無償貸与された仙台市の手によって再整備されたことは、隔世の感があります。実は仙台市の資産勘定には入っていないこの国内唯一現存したC60の修繕と整備に、惜しげもなく税金を投資する仙台市民の心意気に、仙台市民であるカサマは感涙です。

そのオーバーデザインは、ニッチ方面でのアツイ魂によって成り立っていたのです。

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この調子で利府の新幹線車両基地で朽ち果てつつある可哀想な新幹線200系やその他車両を、いっそのこと西公園に持ってきて鉄道展示場にしてけさいと、不消カサマ(鉄オタではない)は意見具申するで有ります。

この記事を書いた人

笠間 建

笠間建 (コミューナ・トランスレーション・デザイン有限責任事業組合)

事業連携担当。
プロジェクトエンジニアを僭称(?)中。PEは本来は工場オペレーション用語ですが、調査分析・事業企画・計画・実行など、プロジェクト全般を広義に「エンジニアリング」してきたキャリアパスで、他に良い表現が見つからないので。2008年9月から2010年8月まで、社会人学生として東京で貧乏大学院生生活を送っていましたが、2010年9月に無事修了して仙台に戻ってきました。
趣味は自転車、旅行、写真。

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