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プロジェクトエンジニアを僭称(?)中

(Facebook転載)桜ケ丘ロータリーのナゾ

法改正により、円周交差点、いわゆる「ラウンドアバウト」のルールが明確化されました。驚いたのが、「ラウンドアバウト」の適用の半数以上が宮城県であり、かつて桜が丘ロータリーで異次元の世界に行きかけたカサマが、これについてFacebook上で考察しています。

2015 October 5 · Sendai, Takeru Kasama at 桜ヶ丘ロータリー.

【ラウンドアバウト】

意外なのですが、昨年から施行された「ラウンドアバウト」ルール。全国34箇所のうち19箇所が宮城県で、うち11箇所が仙台市内。

しかもカサマの実家近くに集中しているという。

先日免許更新の際に言われて気づきました。

http://waowaowao.com/post-2300-2300

こちらは有名な「桜ヶ丘ロータリー」。

ロータリー12065514_965385990167186_4602317012194684587_n.jpg

小学1年ぐらいの時、ここまで自転車でやってきて(今考えるとずいぶん遠くまで来ていたな。。)、「永久ループ」とか言って自転車でぐるぐる友達と回ったのはいい思い出。

いわゆる「ドッグファイト」状態。

自転車で回っているうち風景がすごい勢いで流れて、自転車に乗っている自分たちだけが相対速度的に止まって見えて、異次元にこのままトリップするのではないか?という不思議感覚になり、ハマるのです。

良い子のみんなは真似したらダメだよ?

<追記>

日本国内において特異的にラウンドアバウト、というかロータリーが多い宮城県、というか仙台

この「ロータリーは実は極めて珍しい」は、仙台人がはじめて他県に行ったときに「運動着をジャスって呼ばない」「芋煮会が実は日本全国の風物詩ではない」に匹敵する、「センダイ人が他所に住んで気づいた三大びっくり」の一角(ウソ)

仙台にだけこのようにラウンドアバウトが「残った」理由は、ざっと下記のような感じでしょうか?

以下カサマの「もっともらしい仮説」。

(1)進駐軍の影響

仙台最古のロータリーと言われているのがこの東北大学川内キャンパス内にある円周交差点、通称「カワウチロータリー」。当時この地域がGHQの駐屯地で、これは軍用車両の回転を目的に設置したもの(近隣の高校に通っていたカサマの高校時代に、社会の先生が言っていた)らしく、以降、宮城県内のロータリーの参考になったと推測されます。

ロータリーP1050913.JPG

(2)戦災復興都市計画の影響

第二次大戦後、灰塵と化した日本各地100都市以上で戦災復興都市計画が策定されましたが、実はその計画がほぼ100%達成された都市は広島、名古屋、神戸、そして仙台のみ・・・!

(写真は仙台市HPより転載)http://www.city.sendai.jp/toshiseibi/1192295_2658.htmlロータリー300_02.jpg

そして、その戦災復興都市計画では将来のモータリゼーションを予測し、その「復興の象徴」として道路の「ロータリー」が多く建設された歴史があるようです。例えば都内でも100か所以上ロータリーがあったとか。

ところが、予想を超えるモータリゼーションの進行により、逆に交通渋滞のボトルネックとなった(道交法で円周内走行中車両優先が徹底されなかった)ため、ほとんどが廃止された模様。

ではなぜ仙台では残ったのか?

(3)満州帝国の影響

首都圏よりも仙台の場合自動車の量が少なかったのもあると思いますが、特に仙台の場合、後藤新平の下で満州帝国の都市建設に従事した者の多くがその計画策定に関わっていた(満州への移民は、宮城県民が3000家族以上で第2位)とも言われており、その影響もあるのではないかとカサマは踏んでいます。

多くの都市が戦災復興都市計画の達成を断念する中、仙台だけは律義に達成どころか、ヨーロッパの諸都市を参考に、壮大な計画がその後も構想され、実現されています。

有名なところでは、高速道路を縦方向に東北自動車道・常磐自動車道(三陸自動車道)、横方向に仙台北部道路・仙台南部道路という風に郊外に設置して環状道路機能も達成させ、通過車両を一切市街地に流入させない「ラダー型」(ドイツのケルンのアウトバーンを参考にしたらしい)の都市設計とかですね。おかげで市街地に「都市高速」がないので、非常に都市景観上有利になっています。

(国土交通省仙台河川事務所HPより転載)仙台環状道路kakudai_kouiki.jpg

このように、国内の他都市よりもさらに徹底し、特色ある都市設計文化が背景にあったのではないかと考えております。

ちなみに仙台の姉妹都市長春市(満州帝国時代は首都「新京」)は、満鉄の投資の下ヨーロッパ式の都市設計が行われ、周囲1キロに及ぶ「大同広場」という巨大ロータリーが建設されたことで知られています。

(4)昭和のニュータウンの象徴

見逃せないのが、昭和40年代から50年代に仙台の北西部で続いた「ニュータウン建設」において、その街を特色づける「象徴」として作られた影響が強いのではないか?ということです。この「桜が丘ロータリー」など、その最たるもの。交通量も少なく、象徴にもなっていたので、今更壊して廃止することもなく、残ったのでしょうか。

なお今回の法改正では興味深いことに「ニュータウンの象徴ロータリー」の元祖、東京の聖蹟桜ヶ丘のロータリーは「ラウンドアバウト」に指定されておりません

ロータリー.jpg

同じ桜ケ丘でも、どうしてこうなった。

<訂正追記>

その後、施行と同時に聖蹟桜ヶ丘のロータリーもラウンドアバウト指定されていたとの指摘があり、訂正いたします。が、なぜか一時停止が残っているようですな・・・。

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/153578/1

<訂正終わり>

どうでもいいですが、聖蹟桜ヶ丘を舞台にしたジブリアニメ「耳をすませば」は、ジブリ作品最大のファンタジーアニメである(異論は許さぬ)。

などとこの桜ケ丘ロータリーからいろいろ思考をめぐらすことになろうとは、小学校の時桜ケ丘ロータリーを「無限ループ」していたころには、思いもよらなかったわい。

この記事を書いた人

笠間 建

笠間建 (コミューナ・トランスレーション・デザイン有限責任事業組合)

事業連携担当。
プロジェクトエンジニアを僭称(?)中。PEは本来は工場オペレーション用語ですが、調査分析・事業企画・計画・実行など、プロジェクト全般を広義に「エンジニアリング」してきたキャリアパスで、他に良い表現が見つからないので。2008年9月から2010年8月まで、社会人学生として東京で貧乏大学院生生活を送っていましたが、2010年9月に無事修了して仙台に戻ってきました。
趣味は自転車、旅行、写真。

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