昨日の組合の懇親会の席で、私の席のまわりで
ちょいと話題が出ました「川柳」の味わいの話。
元々、言葉遊びは大好きで、過去にも
判じ物
判じ物2
等のネタをこのブログで紹介させていただきましたが、
そう言えば、「江戸川柳」を忘れてた、とばかりに、
今回は、その話。
まずはそもそも、「川柳って何?」ってところから。
古来親しまれている「和歌」の形式を、
滅茶苦茶乱暴に分類すると、このような感じに。
短歌・・・五七五七七の31文字で季語がある物
長歌・・・五七五七五七......と続いて五七七で終わる
狂歌・・・滑稽な趣を読み込んだ短歌
俳句・・・五七五の17文字で季語がある物
川柳・・・五七五の17文字で季語が無い物
都都逸・・俗曲で七七七五が基本
で、「川柳」はかなりルール無用で、
人情、世相、風俗などをテーマに風刺の利いた内容のものです。
「短歌⇔狂歌」と同じで、「川柳」も「俳句⇔狂句」として、
「狂句」と呼ばれたり、「川柳」の「柳」を取って「柳句」(りゅうく)
とも呼ばれます。
現在でも「サラリーマン川柳」等のように、
愛好家は多いようですね。
Wiki様によると、
「江戸中期の俳諧の前句附点者だった柄井川柳が選んだ句の中から、
呉陵軒可有が選出した『誹風柳多留』(はいふうやなぎだる、1765年-)
が刊行されて人気を博し、これ以降「川柳」という名前が定着した。」
とあり、「川柳」は人の名前だったんですね。
作者不明の物も含め、多くの江戸川柳が残されており、
研究者の方もおり、書籍もたくさんありますから、
改めてご紹介、というのも何なのですが、
個人的には、パッと見で意味不明で、
あとから「なるほど!」となるものが好きなので、
そのようなものをいくつか。
「店中の 尻で大家は 餅をつき」
(たなじゅうの しりでおおやは もちをつき)
「店(たな)」は長屋のこと。
長屋は共同トイレになっていて、
大家さんは、そこに溜まる「肥」を売って収入にしていました。
江戸の下肥は、いいものを食べているからと高値で買い取られ、
結構な収入になったそうです。
この収入で、大家さんは餅代を稼げたと、そういう話。
「瓜実を 見せて南瓜と とりかえる」
(うりざねを みせてかぼちゃと とりかえる)
これは、お見合いの席での話。
その昔、「瓜実(うりざね)顔」と言えば、
シュッとした美人への誉め言葉でした。
お見合いの席で、最初に瓜実顔の妹を見せておいて、
結婚式当日に角隠しに隠れて顔がよく見えないまま家に向かえたら、
かぼちゃ顔の姉だった、と。
「十三日 鏡を出して 叱られる」
(じゅうさにち かがみをだして しかられる)
「十三日」は「じゅうさにち」と読み、旧暦の12月13日で、
年末の大掃除、「すす払い」をする日の事。
この「十三日」の意味が分からないと、理解できない句。
新年を迎える準備は、この日から始めるのが習わし。
昔の大掃除なので、それこそ、体中どころから顔まで
煤だらけ、埃だらけになるわけで、
そんな自分の姿を見せられても困るので、
「鏡なんか持ってくるな!」という親の声。
「ついに見ぬもの 元年の暦」
(ついにみぬもの がんねんのこよみ)
五七五ではないですが、これも川柳。
江戸時代は頻繁に改元があったので、
結局、「○○元年」と記された暦(カレンダー)を
見ることが無いという話。
「日に三箱 鼻の上 下 臍の下」
(ひにみはこ はなのうえ した へそのした)
「箱」は「千両箱」の事。
江戸には一日に千両のお金が動く場所が3か所あって、
鼻の上=目、なので、歌舞伎(芝居)
鼻の下=口、なので、魚河岸
臍の下、そういうことで、吉原だそうで。
芸能・食・風俗で大金が動くのは、今も昔も同じ、と。
実は、いわゆる「バレ句」と呼ばれる、
性風俗をテーマにした川柳も非常に多いのですが、
興味のある方は、ぜひ自分で調べてみてください。
画像は「川柳」とは関係ありませんが、
「川柳」をひっくり返すと「柳川」だなぁ、という
くだらない連想で、九州の「柳川駅」の案内板の画像を。
よろしければ昨年書いた「柳川の話」も見てね。