毎回悩んでいるブログネタですが、当ブログのアクセスランキングを フト 見れば、
何故だかわかりませんが、結構前に書いた「判じ物」と題するブログがTOPに。
誰が見てくれているのかわかりませんが、何やら人気になってるみたいなので、
今回はその続編を。
前回の時にも書きましたが、本当は絵や図に絡んだモノのほうが面白いのですが、
色々と著作権の問題もありますので、今回も「判じ物」とは言うものの、どちらかと言えば
「字謎」とか「隠語」みたいなもののご紹介です。
・・・・あ、今気が付きましたが、
もしかして、「判じ物」というタイトルで絵や図が出てると思って調べてる人がいて、
それでアクセス数が増えていたのでしょうか?!
だとしたら、ごめんなさい。
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●じゅっちょんちょん、ぼうしゅっ、くっちょん
えー、いきなり何のことやら、というカンジかもしれませんが、その昔花街では、
女郎さん同士の会話などで、こっそり自分のお気に入りの旦那さんを同僚に告白するのに、
「アチキは、あのダンさんに、じゅっちょんちょん でありんす」
みたいに言っていたらしいです。
「じゅっちょんちょん」のフルバージョンが「じゅっちょんちょん、ぼうしゅっ、くっちょん」なのですが、
これは「惚れた」の意味。
惚れた=ホレタを分解して表現したんですね。(右図参照)
かなり回りくどいですが、こういうの、面白いでしょ。
「あの人にホの字」みたいな物言いを、未だに使っている人はいないとは思いますが、
多分このように、一文字のみを抜き出しての言い回しから派生して、
「じゅっちょんちょん」みたいな隠語が生まれたんではないか、と、いうのは私理論。
「くっちょん」まで言い切るほうが愛情が深いとか言う話も、あったとか、なかったとか。
●めかいち、ちょんちょんのじゅう
上記を踏まえて同じようなパターンではありますが、こちらはちょっと難しいかも。
これは、どちらかと言うと花街に通う男同士の間で、
「あの野郎は、性根っからの めかいちだぞ」のように使われていたと思われます。
で、この「めかいち」のフルバージョンが「めかいち、ちょんちょんのじゅう」
あーもう、下までスクロールしちゃって見ちゃいましたね。
答えは「助平」でした。
分解の仕方が、もう、かなり無理矢理な気もしますが、これまた面白い。
文字の部首というよりも、一画一画にまでばらして読み替えるのは、
もう、文字の「判じ物」と言ってもいいのではないか、と。
ちなみに大正から昭和初期あたりに使われた、助平な人を表す言葉に、
「8時20分」というのもありました。
これは、時計の文字盤で、この時間を指している針の位置が、
目尻を下げた助平顔に見えるから、という理由らしいですが、落語ネタですかねぇ。
●出頭の天(しゅっとう の てん)
以前にご紹介した「判じ物」のなかで、小野篁が作った文字遊びで
「木頭切月中破」というのをご紹介しました。
「木」の字の上の出っ張り(頭)を切って・・・「不」
「月」の字の真ん中を破るように線を引いて・・・「用」
で、「不用」を表していると言うのが、答えでした。
「出頭の天」もある意味同じパターンです。
答えは、「夫」
ま、見てわかりますよね。
●十八の女、二階の下に立つ(じゅうはちのおんな にかいのしたにたつ)
これもある漢字を表しているのですが、わかりますかねぇ。
まず、「十八」は、先の「じゅっちょんちょん」みたいなもので、組み合わせて考えます。
それから、「二階」の「階」は、実際は別な漢字です。
「十八」を組み合わせて「木」、これは木偏です。
「二階」は「ふたつの貝」で、木編の横に「貝」をふたつ書いて、
その下に「女」。
そう、答えは「櫻」です。
今では「桜」の字が主流ですから、すぐには「さくら」を思いつかないかもしれませんが、
なんとなーく、「十八の女」が佇む感じと「桜」って、卒業式を想起させる気がしませんか?
●八角の水
これが、何を表しているかといえば、
「澄み切った清い水」です。
字謎というより、ほぼ、ナゾナゾとかオヤジギャグに近いかと思いますが、
これが何故「清い」水かというと、
「四角形」の「角(スミ)を切る」と、「八角形」になるから、ということでして。
すいません。それだけです。
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今回、このネタを書くに当たり、調べたものの中に、
「社会ユーモア・モダン語辞典」 昭和7年発刊 社会ユーモア研究会 著
という本がありまして、今から80年前の「現代用語基礎知識」みたいなものなのですが、
この中に、当時の福引の賞品をユーモアで言い換えた対照表みたいなものが出ていまして、
これがまた面白かったので、ナゾナゾついでにご紹介します。
せっかくなので、クイズにしますから、左側のA~Eの題名と右側の①~⑤のどの賞品が
どう組み合わさるのか、その理由を考えてつなげてみて下さい。
A:夏の雷雨 ①切手、印紙
B:不孝者を持つ親 ②鈴
C:秋の紅葉 ③爪楊枝
D:谷間のうぐいす ④俳句集
E:夫の留守番 ⑤歯磨き、歯ブラシ
答えは以下のとおりです。
A-② 夏の雷雨は、雨が降ると直ぐに鳴る→振れば鳴る→鈴
B-④ 親不孝な子を持つ親は、苦労が耐えない→苦が続く→句が続く→俳句集
C-⑤ 秋の紅葉は葉が綺麗になる→歯がきれいなる→歯磨き、ハブラシ
D-① 谷間のうぐいすは春を待つばかり→貼るをまつばかり→切手、印紙
E-③ 夫が留守番→妻はおでかけ→妻、用事→爪楊枝
ええ、まー、本当に先の辞典に載っていたんですってば!
他にもざっと40~50はあったんですけど、それくらい一般にこんな賞品名での福引が
昭和初期には行われていたのでしょうか?!
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「判じ物」というより、ただのナゾナゾみたいになってしまいましたが、
日本人のこういうセンスは、現在にも、オヤジギャグにカタチをかえたものもあるにせよ、
脈々と受け継がれているようで。
このような、昔の人々の粋な言葉遊びは、その文化とともに、いつまでも残しておきたいですよね。
最後に一応、オリジナルの判じ絵をひとつ。
ピンク色しているのは、「桃」で、半分になっています。
その下の「-」は引き算という意味です。
全てエクセルのクリップアートから作りました。
明日は1月11日ですから、皆様ご準備を。