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マクロの眼

プロジェクトエンジニアを僭称(?)中

(FB転載)三陸自動車道使って気仙沼に朝ご飯を食べに行くナゾ

朝飯を食べに気仙沼に行ってきたですよ。

2018年10月28日

【潜入、気仙沼「市場で朝めし」】
Yuko Saito さん、Sato Hiroki さんの一般社団法人IkiZen メンバーと、気仙沼市に朝ごはんを食べに行くなど。

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朝5時半出発。
朝ごはんのために気仙沼にまで行くとは、まさに伊達と酔狂というやつですな。

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驚いたのが、三陸自動車道が南三陸町の北の端の歌津まで開通し、さらに大谷海岸ICから気仙沼中央ICも45号線のパイパス的に開通したお陰で、一時間45分ぐらいで気仙沼魚市場に到着できてしまったこと。
これ、全線開通したら、90分ぐらいで到着できそう。

気仙沼片道3時間」「気仙沼だけは出張規定で県外扱いで宿泊可」とか、もはやそういう常識は間もなく解消されそうですな。。。

それもそのはず。
開通すると、起点の仙台港北ICから気仙沼中央ICまで112.8km。これは東北道で仙台宮城ICから郡山ICの116.0kmに近い距離。
「完成二車線」の設計ですが、石巻市内の桃生までは四車線ですし、二車線区間も「暫定2車線」部分と違って中央分離帯が存在し、道幅は広くカーブは緩やかで、すこぶる走りやすそう。

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縮小社会で箱モノが作りにくい時代になりましたが、これに関してはインフラ整備の偉大さを感じた次第。

(捕捉)

三陸自動車道は仙台東部道路北端の仙台港北ICから八戸ジャンクションに至る、実に359㎞の及ぶ「復興道路」。まさに震災復興プロジェクトの目玉の一つで、この長距離をわずか8年で全通させるという意欲的なもの。通常こうした道路は事業開始から開通まで15年ほどかかるそうで、三陸沿岸部のいたるところに恐ろしい勢いで工事が進行しており、国の本気を感じます。これが矢本以北すべて無料で通行できるとは・・・。

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(国土交通省HPよりキャプチャ)

つーか日本、本気になるとここまでやれるのか。やっぱり土木国家だぜ・・・、やばいな、日本・・・。

もともと計画路線であったとはいえ、計画だけあって遅々として進まない様子から、震災前は自分が生きている間に完成することはないだろうと思っておりましたが、実際にもりもり開通していく様子を見ると、まさに巨大国家プロジェクトであることを肌身で感じます。この早さの秘密が「完成二車線」というハード上の決定と「事業促進PPP(官民連携)」というソフト面での大胆な手法

「完成二車線」というのは、田舎の高速道路でありがちな、いつ4車線になるのか全く期待できない作りかけの対面通行ではなく、最初から片側1車線で安全かつ高速に走行できるように設計されたもの。4車線で作るよりも費用は低減できますし、中央にポールが立っているだけで狭い走行幅の「暫定2車線」より恐怖感もなく、かなり運転もしやすく速度も維持しやすいです。高速道路ではないけど快速道路というか?これからの少子高齢化などを考えると、三陸沿線全部を4車線化することはオーバースペックもいいところなので、実に現実的です。

もう一つの「事業促進PPP」は、これまで発注者である国が行ってきた事業進捗管理や地元への説明も民間にアウトソースするという裏技。この仕組みはかなり強力で、国交省の人的資源だけではとても350㎞にもわたる距離を同時に着工・管理することなど不可能。これにより建築コンサルなどへの支払いは増えますが、工期を半減できるのでトータルでは安くなっているはずです。

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(国土交通省HPよりキャプチャ)

この少子高齢化の縮小時代というご時世、どうしても巨大公共事業はネガティブに見られがちだったり、実際無駄なオーバースペック物だったり、ダラダラと長時間かかるものがあったりするのですが、今回の「復興道路」に関しては実に大胆かつ素早く精密身の丈に合った優等生的な事業に感じられ、今後のこの国のありようと未来像を予感できます。

東日本大震災の復興は、決して東北だけではなく、この国の「課題の先端」を解決するための巨大な実験場なのだと、改めて感じた次第。

三陸自動車道が全通したら、気仙沼の朝ごはんではなく、八戸の岸壁朝市を見に行くのが夢だ・・・。

5時間ぐらいかかるけど。

この記事を書いた人

笠間 建

笠間建 (コミューナ・トランスレーション・デザイン有限責任事業組合)

事業連携担当。
プロジェクトエンジニアを僭称(?)中。PEは本来は工場オペレーション用語ですが、調査分析・事業企画・計画・実行など、プロジェクト全般を広義に「エンジニアリング」してきたキャリアパスで、他に良い表現が見つからないので。2008年9月から2010年8月まで、社会人学生として東京で貧乏大学院生生活を送っていましたが、2010年9月に無事修了して仙台に戻ってきました。
趣味は自転車、旅行、写真。

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