征西4000キロのフィールド調査の旅は、いよいよ最終目的地へ。
「ゆず」を使った人口千人の高知県馬路村は、いわゆる「村おこし」や「地域ブランディング」の議論で必ず出てくる事例です。しかし、様々な報告書や記事などを見ても、今一つ納得できるものがありませんでした。ならば、行ってみるまで!と、たまたま大分県佐賀関の調査ですぐ近くに来たので、ちょっと久々に高知に立ち寄ってみるか、と軽い気持ちで行って、驚愕の事実と驚愕の移動距離になったのでした。
May 31
ここが「世界で最も美しい村」連合の一角、高知県馬路村ですか。。。
だが、人口千人を切り、凄まじい山間部の中にある典型的な山村に、不釣り合いな生産施設。。
運転技術に自信のない方は、村に入るだけで一苦労ですな。
(主力施設「ゆずの森加工工場」)
しかしこれも、世間で一般的に言われているような「馬路村の奇跡」とはずいぶん違うぞ。。。
関サバしかり、馬路村しかり、書籍や世間で言われている事情とずいぶん違うことがわかり、改めてフィールドワークの重要さを痛感した次第。
<追記&解説>
四国(18,806km^2)なんてせいぜい岩手県(15,278km^2)よりちょっと大きい程度、と侮っていたら、一日の移動距離が軽く400kmを超えて予想外に時間がかかったこの馬路村進出。
っていうかむしろ、東北がデカすぎるのか?
それはともかく、馬路村はとうほぐ人もびっくりな(いい意味で)超絶田舎なのですが、各施設を見て、そのMBA的戦略性に二度びっくりでした。
これまでの馬路村研究で何となくしっくりこなかったのは、何というか分析者がロハスdeまちづくりな人々が書いたものが多く、経営学・経営管理学的視点が薄かったため、この馬路村の取り組みの真の先進性と恐ろしさが、個人的に伝わってこない感じだということに気づきました。
見学施設に入っていきなり最初に目につくのは通販オペレーター部署で、一言でいうならば馬路村の取り組みはバリューチェーンの右側から構築したところ。
「地域ブランディング」や「地域産品開発」には、このバリューチェーンという概念は関わる人すべてが共有すべきと思っておりますが、販売や出荷、開発などが一体化した主力工場「ゆずの森加工工場」の雰囲気なども含め、このビジネスモデルはなんというかドモホルンリンクルの再春館製薬所(熊本県)を彷彿させます。
東北人に足りないのは、こうした戦略的な商いの仕組み作り。
案内してくれた女性(村の嘱託職員?)が、私の身分(?)を明かしたら、「市場」とか「ターゲット」とかの普通にマーケティング用語を使って説明してくれたのを聞いて、かつてターゲッティングとかバリューチェーンとか市民が理解できない用語は使わないでください、と言った某市の経済部門の行政マンの話を思い出し、人口千人を切る村のレベルとの落差に涙でメガネが曇りながら、東北ではありえない近未来的な直線長大トンネルの高知道を亜光速移動運転する、ある日のカサマなのでした。
風邪は西から吹く。
我らとうほぐ人は、西に答えを探しに行った方がええよ。(西日本弁が伝染)