サムネールの画像だけを見ると、
ちょっと印象が悪いかもしれませんね。
これ、ご飯にかけられた、あの紫色のふりかけです。
そう、今回気になったのは、
これって、なんで「ゆかり」と言うのだろう?
という件。
そもそも、なんだかすごく昔から、
それも江戸時代とか、平安の頃から、とか、
そういうレベルで昔からあるもののように
勝手に思っていたんですよね。
調べてみますと、
広島で1949年(昭和24年)にトウガラシ粉や桜でんぶを製造する会社として創業した
三島食品さん(創業時は三島商店)が、
その後、魚粉を使った「ふりかけ」を製造して発展し、
その延長線上で、名古屋周辺で食べられていた赤ジソの漬物をヒントにして、
1970年(昭和45年)に販売開始した「赤ジソのふりかけ」が「ゆかり」。
1970年!って、
大先輩かと思ったら、年下だったという事実。
なので、「ゆかり」の名前は、この会社が命名した商品名で
同社の登録商標なんだそうで。
では、何故、「ゆかり」と命名したのか?
これに関しては、三島食品さんのHPには以下のように出ていました。
三島食品HPより-----
「紫の ひともとゆゑに 武蔵野の
草はみながら あはれとぞ見る」
~古今和歌集 詠み人知らず~
「むらさき草が一本咲いている。と言う(縁)だけで武蔵野の草花が、
皆愛おしく(身近に)感じてしまう...
「縁」のあるもの、「ゆかり」のあるものとして、むらさき草が詠われているところから、
「ゆかり(縁)の色」は、「紫色」を言うようになりました。
現在、人の名前で『紫子』と書いて「ゆかりこ」と読む方もおられます。
三島食品株式会社では、赤しその名前を考えたとき、商品の色が紫色であることと、皆様との「ご縁」を大切にしたいとの思いから、「ゆかり」と命名しました。
-----
命名としては、まぁ、そういう事なのですね。
歴史も趣きも感じるし、とても和っぽくて、良い感じです。
ただ、ちょっと引っかかったのが、
①「縁(ゆかり)色」=「紫色」 って、いつから言われているのか?
②和歌の「むらさき草」の色が「紫色」なのか?
の2点。
①に関して結論から言えば、
ネットで確認できる範囲では、その由来が分かりませんでした。
そもそも「古今和歌集」は平安中期、西暦900年頃の書物なので、
この歌が元になっているのであれば、少なくともそれ以降なのは、間違いないですが、
「縁(ゆかり)色」=「紫色」と認識されるようになったのが、
書物が出てすぐからなのか、数百年後の人々の解釈なのか、
このあたりがわからない。
ここで、②に関して先に確認すると、
「むらさき草」はその根(紫根・しこん)から紫色の染料が取れる草だそうで、
この草は群生しているため、「群れ(ムレ)」て「咲く(サク)」ことから、
「ムラサキ」の名前になったそうです。
つまり、音的な「ムラサキ」には、色彩的な意味はない、わけです。
さらに、衝撃的な事実として、
紫草の花は白い のだそうです。
と、すると、ですよ、
先の和歌を詠んだ人が武蔵野で見ている草が「紫草」なら、
その花は、「白」と言う事になって、
そもそもの「縁(ゆかり)色」=「紫色」が成立しないわけです。
一方で、「紫の ひともと」と、一本だけ咲いている様子を謡っているようですので、
そうすると、群生する植生の「紫草」とも一致しないという事になります。
ここから考察すると、この歌で「紫」とうたわれているのは、
その根・紫根から紫色の染料が取れる「紫草」ではなくて、
「何の種類かはわからないけど、紫色の草」のことであり、
この作者にとっては、この歌を詠んだ時点において、
「紫色」=「"あはれ"を感じる色」には、
なっているのかもしれませんし、
そもそも「あはれ」を感じたのは「紫」ではなく
「ひともと(一本)」という部分もしくは
「紫の ひともと」なのかもしれません。
いずれにせよ、この和歌によって、
「紫色」=「"あわれ"を感じる色」と、
多くの人がイメージをするようになった、
というなら、まぁ、わかりやすいのですが、
何故、「あわれ」の方ではなく、
歌に直接出ていない「縁(ゆかり)」のイメージ色が
「紫」になっていったのか?
「紫」と表現されているし、
もしかすると、「紫草」の花の色が「白色」なことは、
当時も今も、一般には知られていない事なのかもしれないし、
そんなこともあっての、
「縁(ゆかり)色」=「紫色」なんでしょうか。
なんというか、いまひとつ、すっきりしないところでありますが、
結局、調べてはみたものの、タイムアップで分からずじまいです。
すいません。
どうせなら、三島食品さんが
「紫草」の花の色は「白」だけれども、
「縁(ゆかり)の色」に連想されるのは「紫」の文字表現から「紫色」だったので、と、
この解釈の言い出しっぺであってくれればいいのになぁ。
と思って、あらためて、三島食品さんのHPの「ゆかり」のパッケージを見ると、
「紫」色の地に、「白」抜き文字で「ゆかり」って書いてある!
「縁(ゆかり)の色」が「紫色」でも「白色」でも矛盾しないパッケージと言う・・・
なんか、深い(・・・事もないか。)
ところで、日本の赤ジソふりかけ市場の約9割を占める、
三島食品さんの「ゆかり」ですが、姉妹がいる事をご存じでしょうか?
しかも三姉妹?
「ゆかり」・・・赤ジソふりかけ//1970年生まれ 51歳
「かおり」・・・青ジソふりかけ//1984年生まれ 37歳
「あかり」・・・ピリ辛たらこふりかけ//2010年生まれ 11歳
※年齢は2021年時点
ギリギリ、「ゆかり」と「かおり」が姉妹なのは良いとしても、
「あかり」はもう、ちょっと姉妹とは言いにくい。
どちらかと言えば、「ゆかり」と「かおり」が姉妹で、
「あかり」は「かおり」の子供、「ゆかり」から見たら姪、みたいな。
気になる方は、先の三島食品さんのHPで
商品ラインナップをご確認ください。
正直なところ、「ゆかり」を食べた記憶も希薄な私ですが、
三種類あるなら、食べ比べてみたい気もします。
ただ、ですね、
「ゆかり、かおり、あかり、三姉妹、食べ比べ」
みたいな言い回しは、別の勘違いをされて、
CMでは使えないセリフになってしまいそうです。
ちなみに「ゆかり」自体にも分身がいて、
「梅入りゆかり」
「胡麻入りゆかり」
「五穀入りゆかり」
「青菜入りゆかり」
が、あります。
「ウメイリ ユカリ」さんとか、なんか実在しそうですが。
下の画像は、私が昨年、スーパーで見かけた、
「ゆかり発売50周年記念企画」の「ゆかりチューハイ」です。
「ゆかり」と言う名前だけに、先の三姉妹や分身も含め、
どうしても人間的な雰囲気で、
「コラボ」というより「一族」って感じがしてしまいます。