全国の都市で展開されつつある「リノベーションまちづくり」。
今や街づくりの新しい手法として注目され、「家守(やもり)システム」をその中核概念とするそのリノベーションまちづくりを推進する会社が、ついに仙台にも設立されたですよ。
2016年3月18日 河原町にて
【伊達の家守舎】
昨日河原町の名店 「CAFE MARU【カフェ・マル】」さんにて、SIST開催。
今回は最近「(株)伊達の家守舎」を創業した イワマ ユキ 社長から仙台のリノベとまちづくりの可能性に関するプレゼンだッ!
起業・創業には「タイミング」や「筋(スジ)」というものがありまして、実は多くの場合、創業前にそれがうまく行くか行かないか、大体決まってしまっているように思います。
その点、ここ数か月で急速に悪化する仙台の不動産業の環境もあり、「創業したら、お断りするぐらいたくさんのプロジェクト提案があった」というのは、この街の潜在ニーズをいいタイミングでつかんだわけで、実にスジがいい・・・。
こういう「この内容」「このタイミング」というのを「天然」でやってしまう人種が時々おりまして、理論派マーケッターとしては何とも言えぬ気分なのです。
いかなる理論も、天然には勝てぬ・・・。
それはともかく、岩間社長は震災後の仙台移住組。
東日本大震災を目の当たりにして、笠間が痛感した持論は
「あらゆる物事の前提として、強靭性を保つには多様性を受け入れるしかない。そして多様性は放っておくと、いずれ均一化してしまう。」
「都市の底力というのは、いかに多様な人材が集うか」
「よって都市の強さを維持するためには、内部の人材が外部の人材を積極的に受け入れ、新しいことにチャレンジするものを称賛する懐の深さが必要」
というもので、その行動原理で私は動いております。
http://www.areamark.jp/blog/kasama/2016/01/facebookvs.html
首都圏に多くのネットワークを持つ岩間社長でありますが、むしろ我らセンダイ原住民こそ、この街のために積極的に応援する必要があるってわけよ。
<追記>
様々な業界の皆さんが多くかかわるリノベーションまちづくり業界は、様々な本や記事などを読んでも、筆者によって主張が少しずつ異なり、微妙に定義が確定していないっぽい。いまだにカサマは家守システムが解っているで全く解っていません。
試しにGoogle Scholar先生で検索しても21個しかヒットせず、そもそも公開されている論文は4件しか見当たらないのです。
これは事実上、アカデミズムからは「リノベーションまちづくり」の定義はおろか、そもそも研究されていない、というか無視されていることに他なりません。
それもそのはず。
長くまちづくりの世界はコミュニケーション力とノウハウの実務世界。「学術的何か」どころか「マーケティング」などの理論とノウハウの融合体も「机上の空論」として忌諱されているのかもしれません。
なるほど、確かに街づくりの課題は街によって違うから、理論化は難しいのかもしれない。
しかし、アカデミズムによる作法での分析は、その概念が世の中における浸透度の一つの指標でもあります。そしてそこで商いをする人々に関しては、商業活動として実はすでに理論体系が出来上がっている。
結局リノベーションまちづくりの肝は、リノベーションでもまちづくりでもなく、その間に埋没してしまっている本来主役の小規模商業事業者の支援に他ならないのかもしれない。
そこに必要なのはキャッシュフローや資金調達、管理会計、ビジョンやミッション、とりわけ、商品やサービスの市場性や新規性、商圏分析による立地の検討、競合との差別化、いわゆるマーケティングなど、ごく基本的で常識的な商業理論・・・。
よって、リノベーションまちづくりという概念の中でコアシステムである「家守」システムには、経営(管理)学の基本でもある、例えばR-STP-4Pモデルのようないわゆるマーケティング2.0レベルの「MBAプラグイン」を実装する必要があるのではないか?と、不肖カサマは意見具申するであります。
その意味で、個別の企業支援などの経験を積んだ岩間社長の伊達の家守舎は、案外「リノベーションまちづくり」のあるべき姿としてそのロールモデルになるのではないか?そしてそれが、後世「家守システムの原型は北九州で生まれ、そのプロトタイプは東日本大震災からの復興のプロセスの中で形作られた」と、歴史的意義として語られるに違いないと不肖カサマは確信するであります。