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小さなギモン調べてみました!

建築・不動産から言葉のトリビアまで、仕事の中で見聞きした小さなギモンを調べて報告していきます。

瓦礫考

震災から早4ヶ月。
 

未だに片付かない被災地の報道を見るにつけ、
アナウンサーの言う「瓦礫」という言葉がどうも気になりました。
 

そもそも、瓦礫」という言葉、「瓦(かわら)」と「礫(れき・つぶて)」ですから、
言葉が出来た時点では廃材のような意味合いはなかったと思われます。
 

ネットで辞書を引いてみれば、

が‐れき【瓦礫】

かわらと小石。破壊された建造物の破片など。「―の山と化す」
値うちのないもの、つまらないもののたとえ。

と、ありました。
 

ここからは全くの想像ですが、
本来の「瓦礫」とは、

住む人のいなくなった古来の木造日本家屋が、
風雪によって朽ち果てていき、木の部分はほとんどなくなってしまい、
跡には瓦と、そこに吹き溜まった小石や土槐のみとなる。

これを指して、かつて家がそこにあったことをしのび、
「瓦礫」といったのではないか、と。
 

つまり、瓦礫」と言う言葉は、それなりの時間経過を伴っていて、
かつ、生活の痕跡はほとんどなくなってしまっているものを指して、
使われたのが最初ではないかと思うのです。
 

もちろん、現在の言葉の意味としては、
実際に報道で使われるとおりの意味合いを有しており、
また、言葉もその意味も時代と共に変化していくのが常ですから、
その使われ方が間違っている、という事を言うつもりはありません。
 

ただ、今回の被災により、
一瞬にして奪われてしまった「生活」と「住まい」を
「瓦礫」と呼ぶのに、なんとなく躊躇があるなぁ、と感じたのです。
 

数々の思い出そのものとその思い出を示す多くの品々、
家族との生活、さらには家族そのものが、
長い時間経過もなしに、いきなり目の前から押し流されてしまった。
 

確かに使用できなくなってしまったものがほとんどかもしれませんが、
これを「瓦礫」という言葉で呼ぶのは、
その当事者である被災した方々にとっては、
なんとも釈然としない感情があるのではないでしょうか?
 

とはいえ、かく言う私も、「瓦礫」に替わる言葉を知りません。

いっそのこと、何か、気持ちにしっくりくる新しい言葉を
考えてみるのはどうか、とも思います。
 

例えば、
「跡品」(せきひん)・・・塵介のような意味がなく、生活の跡を示す品、のような。
「惜物」(せきぶつ)・・・思いが残っている物、のような。

 

・・・・・あまり良い案が浮かびません。
 

こんなことを考えるよりも、
現実的に出来る支援をする事のほうがよほど大切だとは思いますが、
とにかく、一日も早い復興を願うばかりです。

 

※写真は、石巻、日和山公園から見た北上川の中洲です。
色々な意味で、寂しい風景です。

K3200079.JPG

この記事を書いた人

斉藤 一則

斉藤 一則(株式会社マイザ)

事業企画担当。
遊休地や低利用建物の効率化提案から賃貸管理・リフォームサポートまで、建築・不動産関係が専門。
旅行好き。

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