今週末は仙台七夕。
これが終わるとまもなくお盆ですね。
で、実は結構昔から、あの先祖の霊をお迎えする「お盆」と、
お皿を運ぶのに使ういわゆるトレーとしての「お盆」が、
意味的につながらなくて気になっていたのを思い出しました。
そこで霊によって、
じゃなくて例によって調べてみますと、
全く別物と言うことが判りました。
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そもそも、先祖をお迎えする「お盆」は、
サンスクリット語の「ウランバナ」という言葉が元になっているそうです。
「ウランバナ」とは、
「逆さに吊るす」と言う意味があるそうで、
亡くなった死者の魂が逆さに吊られて苦しんでいるということらしいです。
その原因はその死者が生前、
精霊や僧侶を敬う事がなかった行いにあるとして、
残された遺族が代わりに精霊や僧侶に施しをすることで、
その魂を救う意味があるとか。
とはいえ、
日本では様々な行事や考え方と習合して独自のスタイルになっていますので、
大分意味合いは違うように思いますが。
また言葉的にも「ウランバナ」と「お盆」は簡単にはつながりませんが、
変化の流れとしては、以下のような感じらしいです。
「ウランバナ」→「烏藍婆拏」「烏藍婆那」(どちらも「うらんばな」と読む当て字)
→(たぶんこの間も「うらばな」とか「うらばんな」とかあったんじゃないかと私は思いますが)
→「盂蘭盆」(うらぼん)・「盂蘭盆会」(うらぼんえ)とも→(略されて)「盆」→「お盆」
つまり、トレーとしての「お盆」とは関係がないわけですね。
(一部では御供え物を置く「お盆」を象徴的に取り上げて「お盆」と言われるようになったとの説もあるようですが。)
文字としての「盆」は、「分ける」「皿」ですから、
「分けるための皿」=大きな皿とも、
「皿の上に分ける」=「分けたものを置く皿」=大きな皿とも解釈できて、
とにかくそういう道具の意味しかありませんし。
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ちなみに、「覆水盆に返らず」の「盆」は、
中央が丸くくぼんだ形状をしていて水を入れるもののことをいい、
お皿を運ぶ平らなトレー状のものではないそうです。
これもまた、
「何で(浅い)お盆に水を入れるのか?」とギモンだったのですが、
やっぱり別物だったのでした。
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お盆といえば、
「盆提灯」を出すわけですが、
この「提灯」(ちょうちん)という言葉、
なんとなく当て字だと思っていました。
でもちゃんと音読みでそれぞれ「ちょう」「ちん」と読むのですね。
機能として「灯り」を「提げる(さげる)」という、
非常にわかりやすい表現なので、誤解はありませんが、
勝手にイメージで外来語っぽく(たぶん中国語とか)思っていました。
調べると、中国では、
日本で言う据え置き用の行灯も含めて「灯籠」(タンロン)というそうです。
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そういえば、東北三大祭
(最近は花笠もいれて「四大祭」ということも多いですし、この間は「六魂祭」ではありましたが)
の内、
仙台七夕は祖霊を迎える祭りですが、
竿灯とねぶたは祖霊を送る祭りという違いがあるそうです。
例年、雨が多いといわれる仙台七夕ですが、今年は晴天に恵まれるといいですね。
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追伸:
その七夕の時(8月7日)に、
サンモール一番丁町商店街をめぐる「ぶらサンモ」という企画を実施する予定です。
界隈の路地等を歩きながら、町内のちょっと目立たないスポットをめぐるというものです。
15:00に壱弐参横丁前に集合し、
全行程2時間ほどの予定ですので、お時間がある方はご参加お待ちしています。
(※大変僭越ながら私がガイドを仰せつかりました。当日は温かい目で見守ってくださいますようお願いします。)
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写真は、サンモール一番町商店街にある、壱弐参横丁入口の提灯です。
折りたためる提灯は日本の発明と言う話も有ります。
そういえば、山口県柳井市で有名な金魚の形をした「金魚提灯」は、
青森の「ねぶた」を参考にして幕末に考えられたらしいですが、
確かに「ねぶた」も大きく見れば「提灯」の仲間かもしれません。
してみると、ここでも仙台七夕は、提灯のある竿灯・ねぶたとは、
趣の違う御祭りなのですね。