小春日和。
遠く海を見下ろす丘陵一面に、葉を落とした山葡萄の樹が広がります。
5年前には震災でタンクがやられ、今年は台風で山がやられ、いやいや
まいったと屈託がありません。
収穫を終えて今年もひと安堵のサコウさんは、本邦唯一・世界も唯一
のBio山葡萄ファーマーです。
在来葡萄の雄・甲州と違い、栽培果実に成り難きエビカズラを、久慈
の山彦は荒地を開墾。害虫大発生でも無農薬を通し、丸4年の無収
穫も踏ん張って半世紀。
昔から山の恵みとして家々で蓄えた、冬場のビタミンで、ミネラルで、ポリ
フェノールだった山葡萄は、全く体に良きモノ。
だから丸ごと搾れる・そのまま飲めるよう、無農薬を貫くのです。
ほっておけば発酵しますから、真空にして貯蔵します。
搾りたては舌が痺れるほど酸っぱいので、3年寝かせます。
うっかりすると酒になってしまう小さな実は、皮厚く・種大きく・実少なく、
摘み残されて干葡萄状になってもまだ酸っぱいのに、糖度は15°。
甘くないのではなく、酸っぱすぎて甘みを判じられない果汁から、酒石酸
を結晶・沈殿して"酸っぱ抜く"ことで、何とも甘美な山のきぶどうが誕生
します。
畑に来ると気持ちいいです。
樹齢百年くらいまで収穫したいと思います。
ワイン造りとはanother way、果汁造りのサコウさん。
雪深く剪定遅れた年、枝から滴る樹液が手に馴染み、冷肌にしっとり・
飲んでまったりに気がついて、ただいま天然・無添加・有機な化粧水も
思案中。
山だけで何もない、寒くて痩せて何も取れない。
自分の汗と久慈の森が、生命の樹を育んで宝の山に。
持続と進化は、信念と発見から起こるのですね。
※無農薬ストレート果汁100%・非発酵3年熟成が、この圃場から。
四方山雑記帳
東北・宮城・仙台マーケットの小ネタ小ばなし
久慈の山幸彦
この記事を書いた人
大志田 典明(ブレイントラスト&カンパニー株式会社)
マーケティングプロデューサー。
東北地域の中小企業支援をライフワークに、農・商・工の各分野で強い地域ブランドづくりに努める。
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