有田といえば磁器で絵付け。
磁も極上の白磁で、洗とした品の佳さと凛とした芯の強さ。
草場勇次氏は、土木技師が土いじりに転じて数十年。
せっかく白磁なのに顔料で染めて、という同人もいるのですが
白を鮮明にするには、極上の白を染るに限ると一言。
まるで金太郎飴宜しく、まるで園児の粘土細工宜しく、
白に青の同心円が年輪のように美しい棒を巻くや四つに切り、
切り口をつまんで鱗よろしく並べ出し、果ては布載せ叩いて
素焼きの型を包みます。
布から外された素磁は、裏も表も同じ柄。
見事な青海波は、絵付けに非ず練り上げの技法。
宋代に出来、現存技法に比較ない難儀な仕事も、美しきマーブルの
虜になった氏は、本日も黙々と練って巻いて切って伸ばすのです。
奥様も作家。この春、ご子息も三代目を継ぐ縁起の祝歳。
百年の時空単位の芸術が、少しく新しい感性を吹き込みながら
次の百年に向けて歩んでいる、歴史の一瞬に感謝です。
※艸窯 草場勇次作 練上焼締花紋ぐい呑
四方山雑記帳
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宋窯
この記事を書いた人
大志田 典明(ブレイントラスト&カンパニー株式会社)
マーケティングプロデューサー。
東北地域の中小企業支援をライフワークに、農・商・工の各分野で強い地域ブランドづくりに努める。
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