かつての自分がそうだったように、何かに目鱗されてスピンアウトする人
は結構いらっしゃる。
エンジニア→肉の厚みと炭種の追求で美的な串焼き屋になった兄ちゃん、
タクシードライバー→官僚になったおじさん、先生→自家焙煎珈琲屋にな
った奥様。
その意味では、家具屋から椅子屋になったのは至極当然と思われますが
ストーリーは転で別。
大手インテリア会社時代のある日の展示会で、彼は、口から器用に釘を
出し、オートマティックよろしく立て続けに・しかもキレイに板に打ち付ける
御仁を見て、目から鱗が落ちたのです。
恰好イイ!ジブンもこうなりたい。
根拠も理由もありませんが、あとから考えれば大企業の安穏なれば単調
なキャリアに納得できない自分がいたそうです。
ついには断りも三度目の正直で、日本に頑たる家具職人・井上東一氏に
師事七年。故郷・宮城にUターンして、空き店舗借り上げ、椅子修理専門
店Chair BANKをオープンしたのです。
店の外に並ぶ一見くたびれた椅子は、どれも驚くほど座り心地良くリフォ
ーミングされ、ハウルやラピュタのような材料と道具が散然と並ぶ店内に
は、隠れ部屋とスコッチ&グラスも。
やんちゃな時分、音楽聴きにScotch BANKに入り浸ってました。
なるほど!
かつて、敬愛する石津謙介氏いわく、「PUBに行こう」じゃ恰好わるいし、
「BARに行こう」じゃ大人しすぎるから、BANKに行こう。恰好いいダろ。
神社を大切にする町だから、いいものを大切にする町にしたい。
いい仕事をする職人の町にできたら嬉しい。
口から器用に釘出して、一発でタンと打ち付ける若き店主のひとこと。
町づくりは、心づくりの人づくりでもあります。
※百聞は一座に如かず。飛び上がるほどの心地よさが尻を放しません。
四方山雑記帳
東北・宮城・仙台マーケットの小ネタ小ばなし
BANKに行こう!
この記事を書いた人
大志田 典明(ブレイントラスト&カンパニー株式会社)
マーケティングプロデューサー。
東北地域の中小企業支援をライフワークに、農・商・工の各分野で強い地域ブランドづくりに努める。
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