今次コロナ禍が発生する前は、基本的には人々の往来は世界的に増えて行き、ネットで売買ができるようになったからこそ、その商品を配送したり輸送したりする「運輸」と、それら商品を選定するにあたり目利きたる(料理人なども含む)バイヤーとメーカーが、その目とその手や舌などで実際のモノを確認するためとしての場である「見本市(いわゆる「展示会」)」の、この二つの物理制約シゴトはむしろ重要性を増して拡大していくと思っていたんですね。
案の定、ネット通販は今次コロナ禍以後は大盛況で物流は増大しましたが、「見本市」の方はどうしても人間の移動が制限されている限り開催は難しく、当面はバイヤーがメーカーに個別商談する「マッチング」が主流にならざるを得なくなり、一か所で一網打尽にする効率性は下がり、「偶然による新たな出会い」は抑制され、商材のイノベーションは停滞しそうな雰囲気です。
一方で、先進国の中では相対的に感染拡大が何故か抑制されている日本で、9月に半年ぶりとなるコロナ禍では初の大規模展示会が開幕。探ってきたですよ。
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笠間 建さんは東京ビッグサイトにいます。
9月4日 · 東京都江東区 ·
【威力偵察】
コロナ騒動後の国内初となるビッグサイトの「大型展示会」に潜入するなど。
販促EXPOや国際文具展など国内でも権威のある展示会で、平時であればビッグサイトの東棟と西棟全部を使った国内有数の壮大なEXPOが、南棟と西棟のワンフロアだけで「夢メッセみやぎ」に収まる程度に縮小。
出展社集まらず無駄に大きく取られた商談スペースや「VIP」エリア、10%近い出展ドタキャン小間、閉鎖されたコンビニ、少ない来場者...
「東京ですらこれか」と、来た者は暗澹たる気持ちで絶望したやも知れぬ。
だが、全入場者への体温チェックと消毒と、「やり過ぎだろ」と思うようなトイレとテーブル清掃、時に現れるランダムエンカウントの「手の消毒遊撃隊」、冷房代無視のシャッターオープン等々。
恐ろしいコストとリスクをとって、世界に先駆けて東京で「大型展示会」が開かれたことは偉大な一歩であり、関係者の努力を讃えたい。
そんな中で、早くも「ポストコロナの新しい生活スタイル」を提案した新ブランドがチラホラ。
どれも急造感がある未成熟だが、聞くと「まずは立ち上げてみて、コンセプトや提案は色々やってみる」という姿勢、いわゆる「物理商品のリーンスタートアップ・モデル」。
これは偉大なチャレンジだ。
もうこの国の商業は終わったと思っていましたが、こういうアグレッシブな「商売人」がまだ健在とあらば、これなら10年ぐらいかけて、必ず商業復興がなされるに違いない、そう確信して、カサマはクールにピグザムを去るぜ...!