仙台に住んで十数年。
今頃、なのですが、
「仙台市太白区」の「太白」って何の事?
と、突然気になりまして。
仙台の他の4つの区名に関しては、
(もちろんそれぞれ歴史的な由来等はあるとしても)
「青葉」「泉」「若林」「宮城野」と、
単語としての意味については、まぁ、なんか理解できるのです。
しかし、「太白」ってわかんないですよね。
調べてみますと、「太白区」という区名は、
区内にあるシンボル的な「太白山」という山からつけられたそうです。
これが太白山
地元の方なら、当然ご存じのこの山。
もう、目立つことこの上ないですし、
形もきれいですからね。
別名、「仙台富士」とか「名取富士」と呼ばれるのも納得です。
まぁ、サイズは小さいですけど。
そこで、ではなぜ、この山の名前が、「太白山」なのか?
その「太白山」の名前の由来がわからない。
そもそも、「太白」という言葉を手元の国語辞書で調べると、
たいはく【太白】
①「太白星」の略《天文》
②太い絹糸
③精製した白砂糖
④白色の固いあめ。太白あめ。
⑤さつまいもの一種《植物》
たいはくせい【太白星】
「金星」の別称
と出てました。
もともと「太」は、「すごく」「とても」という強調の意味があるそうで、
①の「太白星」=「金星」も、
特に宵の明星の「金星」が白く輝くので、古代中国で「太白」と呼ばれたそうで。
その他上記の②~④は、言い換えれば、
②太いので、より一層「白く」見える絹糸
③その他の砂糖に比べ、「白い」砂糖
④「白さ」がウリの飴、もしくは「太白」砂糖を使った飴
⑤(皮は赤いが)身が「真っ白」のさつまいも
ということで、とにかく「白」を強調している、と言う事ですね。
他にも「太白」と、「白さ」を強調した名前がついているものには、
⑥白い花の「桜(の木)」の品種名
⑦白い「ごま油」の商品名
⑧昆布を削った「おぼろ昆布」で特に上質で白いもの
⑧白い味噌
等もありました。
つまり
「太白」とは、「すごく白い」という意味
なのは、わかりました。
ところで、冬に雪でも積もればともかく、
通常時の「太白山」自体に「すごく白い」という要素はないと思われます。
と言う事は、「太白山」の名前の由来は、
①「太白星」=金星
との関係にあるのでは?と。
で、調べてみると、やはり、色々な記事に、
「太白星(金星)が落ちて出来た山」という伝承があって、この名がついた。
と出ていました。
太白区まちづくり推進協議会が発行していた「ディスカバーたいはく」の
デジタルアーカイブで、「太白山」の紹介の中でも、
「古書によれば『昔、太白星が地に墜ちて化す云々』とあり仙台藩の学者が名づけたという。」
と紹介されていますし。
また、Wiki様によると、
江戸時代の人で、仙台藩の儒学者佐久間洞巖が著した地誌に『奥羽観蹟聞老志』というのがあり、
そこにこの「太白星が落ちてきて」という話しがあるそうで。
これが、先の「古書によれば」のネタモトみたいです。
でも、普通、星が落ちてきたら、山ができるんじゃなくて穴があくんじゃないか、と思うんですよね。
実際、星が落ちてきてできた窪地とか池の話しは各地にありますし。
それに、太白星=金星が落ちてきて山になったのだとしたら、
空にはもう、金星が無くなってるはずですが、ちゃんとありますし、ね。
なんか、すっきりしないので、更に探索したところ、
ネットの世界には当然のように、きっちり調べられた方がいまして、
その方のブログによると、この「太白星が落ちてきた」説は、
くだんの古文書を書いた佐久間さんの創作ではないか、との見解。
確かに、他に由来らしきものは見つけられなかったですし、
学者が考えて、それっぽい伝承を想像で書いたという
可能性も高そうな気もします。
そもそも、「太白山」という呼称は、そんなに古くなく、
少なくとも江戸時代より前は、「生出森」「ウドが森」等、
「山」ではなく「森」(=土が"盛り"上がっている場所)、と呼ばれていたようです。
「生出森」(おどがもり)の伝承としては、
その昔、「オトア」という娘がこのあたりに住んでいて、
ある晩、厠へ行こうと目を覚まし外に出たら、
地面がどんどん盛り上がって、だんだんと大きな山になっていた。
その様子を見た「オトア」はびっくりして、叫び声をあげたところ、
山は盛り上がるのを止めて、今の大きさのところで止まった。
この山ができたのは、富士山と同じ頃なので、
もし「オトア」が声を出さなければ、富士山よりも大きくなっていたのでは。
という話しが有名なようで、
一夜にして「生まれ出た」ので「生出森」の名がついた、とか。
まぁ、他にも地名の由来については
諸説あるようですが。
古くない、とは言え、江戸時代には「太白山」という名称は存在したわけで、
先に紹介した「ディスカバーたいはく」の別の記事では、
「殿様と太白山」という話しが紹介されており、
伊達の殿様(政宗かどうかはわからない)が「生出が森」(太白山とは言っていない)
を他藩の殿様に紹介する話が出ていて、この「生出が森」を仙台城下人が「太白山」と
読んでいる、という話しが出ています。
まとめると、
「太白星が落ちてきてできた山」=「太白山」という話しを
江戸時代の人はとりあえず信じて、この山を「太白山」と呼ぶようになり
これに山にちなんで、「太白区」とという名称がついた
と言う事だけは、とりあえずわかりました。
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さて、ここからは、歴史でも検証でも事実でもなく、
単なる妄想です。
そもそも、太白山のようなきれいな円錐型の山は、
いわゆる「古代ピラミッド説」の対象によくなります。
で、そんな古代に誰がピラミッドを作ったのか?という話しになると、
宇宙人が登場し、UFOを使って建設とか、
そんな話になりがちです。
今、「太白山 ピラミッド」でググってみたら、
47,100件HITしましたし。
実際、この山の付近でのUFOの目撃談もあるとかないとか。
そこで、この「太白山」の伝説。
先に紹介した、「大きな星が落ちてきて、山になる」話ですが、
窪地ができないのならば、それはもう、着陸ですよね。
これを踏まえて考察すれば・・・
「UFOが光りながら着陸」→金星(太白星)が落ちてきた
「宇宙人が未知のテクノロジーで山(基地)を生成」→一晩で地面が盛り上がった
「中にUFOを格納したところで作戦終了」→そのタイミングでオトアの叫び声
こうすれば、二つの伝説が一つの話に!
昔なら「木曜スペシャル」とかで、2時間はやりそうなこういう話し。
実は大好物なんですよ。