近頃は、マスク不足の話題も全然なくなりましたね。
近所のホームセンターでも、50枚入りのこの箱で、980円(税別)でした。
計算すると、1枚当たり、@約20円ですね。
「非医療用」だし、個別包装でもないし、製品によりけりなんでしょうけど、
不足していた時は、50枚入りで5,000円以上していたような。
ネット販売のサイトを調べてみると、現況最安値は、
50枚×20箱の1,000枚、税別・送料無料で、4,599円
という不織布マスクが出てました。
税込で、@約5円、ですね。
コロナ前は、50枚入りで500円位のものも、
普通に薬局店頭で売ってたと思うので、
もう、価格的には、元に戻ったという感じでしょうか。
で、
「マスク」「マスク」と、普通に口にしていて、
例によって、ふと、思ったわけです。
「マスク」って、英語だよな?
もうすでに、和製英語になっているとしても、
日本語としての表記は、ないのだろうか、と。
調べてみますと、
英語の「Mask」は、広義で「お面」の意味であり、
いわゆる「マスク」は、
風邪の時につけるマスク「a cold mask」
医療用のマスク「a surgical mask」
のように言うと出ていましたが、
世の中、これだけコロナでマスク騒ぎですから、
今なら「Mask」だけでも、通じそうな気がします。
ちなみにフランス語でも「masque」なので、
まぁ、大概「マスク」で大丈夫そう。
現在のようなマスクが、「マスク」という言葉と共に日本に来たのは、
明治の初期のようで、最初は工場の作業用に粉塵除けとして導入され、
「工場マスク」と呼ばれたようです。
その後、1918年(大正7年)のスペイン風邪の世界的な流行と共に、
今のようなマスクが普及していったようです。
なので、この明治期以降に日本に来た時には、
既に「マスク」という名称でしたので、
そのまま「マスク」が和製英語化したものと思われます。
しかしながら、それ以前でも、
少なくとも顔を覆ったりするものはあったと思われ、
それは何と呼ばれていたのか?
と思って、調べましたら、
1712年に発行された「和漢三才図会」に
「面衣面帽」という言葉が出ていて、これが近いもののようです。
そもそも、日本語的には、顔=面なので、
面を布で覆うものが「面衣」(めんい)と言うのはすごく納得。
「面帽」(めんぼう)の方は、帽子のように頭にかぶって、
顔を覆うものを、このように呼んでいたようです。
顔全体を覆うような、一般的な「お面」は、
能面や剣道の面もそうですが、
木製等、硬いものでできているのに対し、
「面衣面帽」の方は、同じ顔全体を覆うものでも、
布製だったりと、材質的な違いもあったのかも。
現在の「マスク」とは、ちょっと違う様相ですが、
イメージとしては、中国の皇帝が頭にかぶっている帽子みたいなヤツで、
顔の前にすだれみたいなのが垂れ下がって、顔が見えない、アレ、が「面帽」で、
ウエディングドレスの新婦が顔にかけているヴェールが「面衣」、
みたいな感じでしょうか。
いわゆる「フェイスシールド」など、
まさしく「面帽」なのかも。
残念ながら、
部分的に、特に口元のみを覆うモノの、
日本語の固有名は、私は、見つけられませんでした。
話しが飛びますが、
英語の「mask」の語源は、
アラビア語の「 maskharah」だそうで、
「道化者」の意味だそうです。
要は、日常的ではない容貌になることで、
そのために顔にかぶるものが「マスク」と言う事なんでしょう。
この語源を知ると、
欧米の人々が「マスク」をつけたがらない理由も、
非常に根の深い、歴史的に刷り込まれたイメージなのかもしれない、と、
ちょっと考えたりします。
日常的でない容貌になる、という意味では、
同じ語源から派生したのが「マスカラ」。
女性がまつ毛に盛る、アレ、ですね。
アラビア語の「 maskharah」が、
イタリア語の「maschera」(覆う)を経由して、
英語の「mascara」になったようですが、
いずれにせよ、「mask」と同源なのは間違いないようです。
「マスカラ」が「マスク」で、
「道化者」が語源で。
・・・・
まさしく「夜の街」で使えそうなネタですが、
お出かけの際は、「マスク」を忘れずに。