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小さなギモン調べてみました!

建築・不動産から言葉のトリビアまで、仕事の中で見聞きした小さなギモンを調べて報告していきます。

今読んでいる本に、「楠木正成」(くすのきまさしげ)が出てきてまして、その遠祖が「橘諸兄」(たちばなのもろえ)だという話があり、そう言えば、「橘」(たちばな)って「たじまのはな」からそう呼ばれるようになったって何かで読んだなぁ、と、思い出し、うろ覚えだったので、調べてみました。


「古事記」や「日本書紀」に、
第11代天皇である垂仁天皇が、臣下の「田道間守」(たじまもり)に、
「不老不死の薬効があるという「非時香菓」(ときじくのかくのみ)を探して来い」と命令し、
10年位かかってやっと見つけて田道間守が帰ってきたら、垂仁天皇は既に崩御されており、
これを嘆いた田道間守は、垂仁天皇の陵の前で自害した、
という話が出ています。

「非時香菓」とは、永遠に香っている木の実のことで、
「古事記」に、このとき田道間守が持ち帰ったその実と枝を指して「是今橘也」とあるので、
これが「橘」であるらしいです。

探しに行ったのは、「常世の国」となっていて、「常世の国」とは、
この世ではなく、死後の国だったり神様の国だったりを指し、
海の彼方だったり、洞窟の奥底、空の彼方だったりするのですが、
具体的にどこなのか、どうやって行ったのか、に関しては記述がありません。
ただ、佐賀県の伊万里市に、田道間守が常世の国から帰ってきた時の上陸地の伝承があるそうで、
そうすると、海の彼方だったのかもしれません。

学術的には、「橘」の学名が「シトラス タチバナ」といい、日本固有種の柑橘類
(日本の固有種の柑橘類は、この橘と沖縄の「シークワサー」だけらしいです)
という事なので、国外で無い事は確かなようですが。


で、この故事から、この木の花を「田道間守の花」(たじまもりのはな)と言うようになり、
「たじまもりばな」→「たじまばな」→「たじばな」→「たちばな」
と言うようになった、という話です。


言葉としての「たちばな」は、上記の通りで、「へぇ~」なのですが、
漢字表記の方の「橘」はどういう意味なのかも気になるところ。

調べてみますと「橘」の右半分(単独ではフォント表示できませんが)には、
「まるいもの」の意味があるそうで、木偏にこの字で、
「丸い実のなる木」の意味になるんだそうです。

「たちばな」という言葉と「橘」という表記がいつ結びついたのかはわかりませんでした。
垂仁天皇は実在が確認されていない天皇ですが、
その在位期間を古事記等から推定すると紀元前になるので、
まだ日本に漢字が入ってくる前ですから、言葉の方が先にあった事になりそうですが、
不老不死の実を探しに行く話は世界中にありますから、そういう話が日本に伝えられ、
古事記編纂の際に取り入れられた可能性は否めませんが。


「お菓子」の「菓」が「草冠」と「田」と「木」でできている通り、
その昔の「菓」は果実でしたので、その元祖ともいえる「橘」をもたらした「田道間守」は、
「お菓子の神様」ともされています。

下の画像が「橘」の実。
普通にみかんだと思って食べちゃいそうですが、
現在の「橘」は、酸味が強くて生食には向かず、せいぜいジャムになるようなものらしいので、
やはり「薬」みたいなものだったのですかね。

この記事を書いた人

斉藤 一則

斉藤 一則(株式会社マイザ)

事業企画担当。
遊休地や低利用建物の効率化提案から賃貸管理・リフォームサポートまで、建築・不動産関係が専門。
旅行好き。

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