弊社とお取引のある、太白区中田にお住まいのさるオーナー様の古い家屋の中にあったのですが、数年前に建物本体の老朽化による解体に伴い、一部を近所の神社(中田神社)に寄付され、今はそのままの形では現存していないものです。
先日、何かの拍子に神棚の話になり、「このご紹介こそブログネタだなぁ」と思ったので、今更ながらですがご紹介しました。
尚、低性能のデジタルカメラによる素人撮影での画像しか手元にないため、不鮮明な画像であることに関しては何卒ご勘弁下さい。
まずは、全景。
幅が三間(約5.4m)あり、壁一面に作り付けの箪笥の上部が全部神棚になっています。
70年以上前に、専門の大工さんがこの家に泊まりこんで、数ヶ月の時間をかけて作成したものだそうです。
画像が悪くて確認しにくいですが、正面と左右に、三つの社がつながっているような形になっていて、三柱の神様が祀られています。
「三社造り」という形式で、一般的とまでは言いませんが、神棚の形式としては珍しいものではないのですが、このサイズのものは、そうそうあるものではありません。
部分をアップにするとこんなかんじです。
高さは半間ほどですが、屋根も銅板葺になっていて迫力あります。
前面に下げられている吊灯篭は、最初からあったものかどうかわかりませんが、 これもまた良い味を出していると思います。
さらにアップすると。
柱梁や組物の細かな細工。
壁の透かしや金具等の素晴らしい造り。
本物の神社と全く変わらないような形で、細部まで作りこまれています。
御札が写っていなければ、本物の建物だと勘違いしてしまうほどです。
正面から見えるこの面は、神社で言うところの「拝殿」みたいな部分で、正確に言うと、この扉の中に神棚が入っています。
扉を開けると、こうなっています。
中には、御札や七福神の人形が入っていましたが、おそらく長い間きちんとしたお祀りはしていなかったようで、本来はご神体にあたる御札をきちんと納めていたはずです。
三社造りの神棚は、一般的に中央に「伊勢神宮」の御札、向かって右側に「氏神」の御札(その地域の守り神様)、向かって左にその他の崇敬する神社の御札を奉納します。
上記の内部写真(下)は右側の扉の内部なので、「中田神社」の御祭神の御札があるべきなのですが、「天照・・・」以下の文字がわかりません。
中田神社は複数の神様を合祀した神社なので、その御祭神の中には「天照大御神」もいらっしゃり、これが中田神社の御札かどうかはわかりませんが。
もっとも、このサイズの神棚のお祀りの仕方を、正しく伝承し継続・維持していくことは難しいので、徐々に形式的になってしまったのかもしれませんが、それも仕方のない事かもしれません。
それにしても、もっとマシな画像で記録を残さなかったことが悔やまれます。
今作ったら、いったいいくらかかるのか、そもそも作れる人がいるのか。
後世に残すべき技術ではありますよね。