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小さなギモン調べてみました!

建築・不動産から言葉のトリビアまで、仕事の中で見聞きした小さなギモンを調べて報告していきます。

シェアハウスとゲストハウスとルームシェア

「シェアハウス」と「ゲストハウス」と「ルームシェア」の違いが何か?

と、いうのが、今回ブログの書き出しにおける疑問です。

まぁ、例によって、言葉の意味と日本での使われ方という括りでは、すぐに調べが付きました。

●ルームシェア
一つもしくは複数の部屋を、血縁のない複数の人が空間を共有しながら生活する形態で、主にマンション等の1住戸をシェアする場合に使う。

●シェアハウス
入居している人間関係はルームシェアと同じだが、シェアする住戸が主として一戸建て住宅の場合に使う。

●ゲストハウス
人間関係もシェアする住戸もほぼシェアハウスと同じだが、入居者の国籍が多岐にわたっており、比較的入居人数の多い物件に使う。

で、「日本ゲストハウス連盟」という団体も有りまして、そこで定義している「ゲストハウス」は、以下のようになっています。

1. 最短の契約期間を1ヶ月以上とする中~長期型滞在向け賃貸物件であること
2. 入居者同士の共有スペースがあり、交流が図れること
3. 国籍を問わず、入居できること

また、イギリスではさらに「フラットシェア」というのもあって、一部屋をシェアする「ルームシェア」と区別して、集合住宅をシェアする場合に使われているそうです。

さて最近では、メディアでの取り上げ方等もあって、世間的な認識は高くなりつつ有り、物件数も増えているようですし、一般的というかイメージ的には多くの人が、こういうタイプの住居はみんなでシェアするんだから賃料が安いと考えていると思います。

でも一方で、部屋を貸す側からこのタイプの賃貸住宅のポイントを要約してみると、

1.契約期間は短期でもOK
  →長期安定した契約が望めない
2.入居者一人あたりの賃料は低価格
  →想定した人数がフルに入居しないと全体としての賃料が回収できない
3.互いに直接関係がない人同士、さらには生活習慣の違う多国籍の人同士が部屋を使う
  →どのように使われるか想定しきれない不安がある
4.賃貸物件としての専用使用する部分内に共用スペースがある
  →入居者に任せるにしても責任範囲の区分が難しく管理が大変

ということになり、貸主としては積極的に踏み込みにくい内容であることがわかります。

結果、大部分のシェア物件が、そのままでは入居者が集まりにくい物件をベースにすることになっているのもうなずけます。

また、特にシェアハウスの場合、とにかく古い一戸建ての個室を鍵付きにした程度で入居者を募集しているものもあるようですが、建築基準法的には不特定多数が一緒に入居する建物は集合住宅と同じ扱いになりますから、法的な安全基準や建築確認上の用途も違ってくるため、そのままでは基準法違反になってしまいますし、実際に安全上の不安が残ります。

表面的で一方的なイメージだけで、シェア物件を捉えると、本当に"住まい"として良いのかどうかの判断を誤る元になるということです。

とはいえ、首都圏を中心にこういったシェア物件は大分増えつつありますし、もちろん仙台でも「ゲストハウス」や「シェアハウス」はあり、それなりの実績を持つ物件もあります。

最近では、当然に法的基準もクリアした新築でのシェアハウスも出てきていますので、もちろん全てに問題があるわけではありませんが。

今後、この市場はどうなるんだろうか?と、考えてみると、価値観や形態を変えながら増えていくんではないかと言う気が個人的にはします。

例えば、いわゆる老人ホームや高齢者向けケア施設等も、"介護"がサービスとして付加されていることと契約期間が基本的に長期だということを除けば、シェアハウスと同じですものね。

科学技術や社会システムの発展により、人は、基本的に「一人でも生きていける」世界に住むことになり、かつて「核家族化」等という言葉が注目浴びていた頃の比じゃないほどに超個人主義が主流になりつつある現代社会では、家族や血族といったつながりでさえ、住まいに対しての必然性を失いかけているのかもしれません。

一方、実社会で人と直接会わなくても生活できることが当たり前になりつつあるからこそ、もしかするとこういったプライベートでも他人と接するような生活形態に注目が集まるのかもしれません。

一応、私の会社も本業は不動産ですから、世の流れとしてのシェア物件の企画も考えたりしているのですが、いざ組立を考えてみると、前述の貸主側からの理屈も有り、また仙台圏での実施における収支の問題等もあって、現時点では実現にいたっていません。

色々と難しい理屈はさておき、不動産の世界で仕事をする者としては、とにかく新しい生活提案ができるような物件を作って見たいとは思うのですが。

シェア.jpg

画像は神奈川県にある、とあるシェアハウスのリビング。なんだか相当にお洒落なカンジで、この物件はビリヤード台やフィットネスマシンも備えているそうです。

44部屋あって、家賃は共益費まで入れると6畳サイズ個室で67,000円位から。

ふと、思ったんですけど、6畳間に住んでて、水回りが共用で、住人が集まって交流して、って、ある意味江戸時代の長屋と同じですね。

そう考えると、今は個人入居主体のシェアハウスですけど、将来的にはファミリー主体のシェアハウスも出てくるんでしょうねぇ。

この記事を書いた人

斉藤 一則

斉藤 一則(株式会社マイザ)

事業企画担当。
遊休地や低利用建物の効率化提案から賃貸管理・リフォームサポートまで、建築・不動産関係が専門。
旅行好き。

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