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小さなギモン調べてみました!

建築・不動産から言葉のトリビアまで、仕事の中で見聞きした小さなギモンを調べて報告していきます。

瞬間

今年は数年ぶりに雪も多く、寒い冬となりました。

ニュースにもなっていますが、私の会社が管理している建物でも水道管や給湯器の凍結による出水不良や漏水事故が相次ぎ、なかなかに苦労しています。

鉄筋コンクリート造のマンションの場合は、電源が入って(ブレーカーが上がって)いれば、凍結防止ヒーターが働き、マイナス10度近くの日が数日続かない限り、まず大丈夫なのですが、戸建て住宅や木造アパートのように給湯器そのものが外気にさらされており、給湯器のヒーターは働いてもその他の配管にヒーターが撒かれていないなどの理由から、この冬程度の状態でも凍結が起こることがあります。

対策は、使用していない水栓等は水抜きをする事、凍結の可能性がある場所は、細く水を出しっぱなしにする事(流れている水は凍結し難いのです)、そしてもちろん必要なヒーターを起動させる事でしょうか。

給湯器といえば、昔は「瞬間湯沸かし器」と呼ばれる商品が主流だった時代がありました。

現在でも給湯器は「瞬間式」と「貯湯式」に大きく分類できます。

で、今回何が気になったかといえば、この「瞬間」という言葉の方です。(給湯器の方じゃなくてスイマセン)

最近でも、「シャワーからお湯が出てくるのに時間がかかる」とのクレームを頂くことが時々あるのですが、このクレームの元が「瞬間」という言葉にあるのではないかと。

そもそも給湯器の「瞬間式」というのは、「貯湯式」に対しての「瞬間式」でして、「その場でお湯を沸かす」という意味合いで使われており、「貯湯式」のように「沸かしたお湯を貯めて使う」方式との対比でこの言葉が残っています。

ですから、給湯器の入口から蛇口までの間の配管にある水が全て出てしまうまではお湯にはならないので、どうしてもすぐにお湯は出ないのです。

早くお湯がでてくるものがあるのは、使用頻度が高く配管内のお湯が冷めきらない内に次ぎの使用がある場合や配管にもヒーターが撒かれている場合、貯湯槽や給湯器と蛇口までの距離が短い場合などがあるからで、一般家庭の大部分ではそれこそ「瞬間」でお湯は出ません。

キッチンの壁に給湯器がついていて、その下に蛇口があれば、それこそ「瞬間」なのでしょうが、マンションのように離れたところに給湯器があれば、当然時間差が発生するわけです。

さて、では、この「瞬間」というのは、どのくらいの時間をさして言うべき言葉なのでしょうか?

「瞬」の間ということで、この「瞬」は「瞬く(またたく)」とか「瞬く(しばたく)」と読みますので、文字通り「瞬き(まばたき)」をする間ということなのは誰でも想像がつきます。

一方で辞書では「瞬間」の意味として「刹那」とも書かれていました。

「刹那(せつな)」とは、仏教での時間の最小単位で、インドの仏教論書である『大毘婆沙論』(だいびばしゃろん)によると、1昼夜=30須臾(しゅゆ)、1須臾=30臘縛(ろうばく)、1臘縛=60怛刹那(たんせつな)、1怛刹那=120刹那であるとでています。

1昼夜を24時間として計算すると、1刹那は0.01333・・・秒、つまり75分の1秒ということになります。

そりゃ、「すごく速い(早い)」ということの比喩として「瞬間」という言葉が使われているのは、大人として当然理解はしていますが、それにしても「瞬間」と言い切るのは物凄い誇張であるのではないか、と。

だいたいにして「0.013秒」で何が出来るってんだ!と思って、「0.013秒」とネット検索してみたら、269万件もHITしました。

これらによると、以下のようなものが。

「人間が目視で美醜を判断するスピード」
「自動車レースでの1位2位の差」
「MP3の圧縮時おける1ロングブロックのサイズ」
「とあるサーバーへのアクセス速度」
「カメラの露出時間」
「とあるCD再生時の左右の音のズレ」等々。・・・あるんですね。

個人的な感覚として、すごくゆっくり瞬きする速さとして1~2秒の時間で処理できる物は「瞬間」と名乗っても許せる気がしますが、もうちょっとかかる物事は、表現としてもう少し謙虚な言葉を選んでいただけると誤解も減るかな、と。

冒頭のマンションに設置される給湯器などは、「速沸式」とか単に「速く沸く」程度の表現であればクレームも無かったのではないか、と。

でも、ネットの接続時間や携帯電話の普及を見ても、人間は一度速さになれるとさらにそれ以上の速さを望むものなので、結局同じなんですかねぇ。

給湯器.jpg

左の写真は、ウチの事務所についている「瞬間湯沸かし器」です。

未だに「湯沸かし器には種火がある」と思っている人がいるようですが、

現在のほとんどの機種は、種火を着火してから湯沸しバーナーをあらためて着火するようなつくりにはなっていません。

あしからず。

この記事を書いた人

斉藤 一則

斉藤 一則(株式会社マイザ)

事業企画担当。
遊休地や低利用建物の効率化提案から賃貸管理・リフォームサポートまで、建築・不動産関係が専門。
旅行好き。

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