メンバーズブログ

小さなギモン調べてみました!

建築・不動産から言葉のトリビアまで、仕事の中で見聞きした小さなギモンを調べて報告していきます。

2010年7月のアーカイブ

本当かどうかわかりませんが、「伊達 政宗」「いたち せいしゅう」と読んだ人がいたとか。

これはまぁ極端な例だと思いますが、確かに読み方が難しい、というか、よくわからないまま無理矢理読んでいる漢字ってありますよね。
建築・不動産業界にもそういうのがいくつかありますので、今回はそんな漢字をいくつかご紹介したいと思います。

---------------------------------

●矩計図(かなばかりず)・・・

簡単に言えば、建築図面の中の断面詳細図です。
各部の仕上げや細かな寸法等を記した図面で、簡易な建物なら「平面図」と「矩計図」だけで建物が建てられるくらい、基本的な図面です。
でも、「矩」って漢字が読めずに「きょけいず」とか「くけいず」と言ったり、「かなばかり」と言う言葉は知っていても「矩計」と言う文字と繋がらない人は、業界にもいるようです。

「矩(かね)」には、直線・直角・垂直などの意味が有り、地面を基準にして垂直方向に建物の状態を表現した図面と言うことで、「矩計図」と呼ばれます。

ちなみに「矩」と言う漢字は「く」とも読み、天文学で惑星と太陽の見た目の角度が直角になる現象を「矩(く)」と呼ぶそうです。

●長押(なげし)・・・付長押2.JPG

「ながおし」ではありません。
以前にも「名前がわからないもの」の中でご紹介したので覚えている方もいらっしゃるかもしれません。

「長押」はもともと和室の鴨居の上等を床面と平行に柱と柱を結んで補強する材料のことでした。
しかし、木造の技術が進むに従って、徐々に装飾部材となり、今ではマンションの和室等で「付長押(つけなげし)」としてみることの方が多いかもしれません。

仕事で部屋のご案内をした時に、よく「これ何?何のためにあるの?」と、よく聞かれる部材でも有ります。
現代の「付長押」には、コンクリート製で平らな壁に、ハンガーを引掛けたり、ピンを刺したりするためについていると考えて頂ければ良いと思います。

●競売(けいばい)・・・

「きょうばい」とももちろん読むのですが、不動産の世界、というよりは法曹界では「けいばい」と呼ばれます。
よんどころない事情で、裁判所を通じて売りに出される不動産は、多くの場合「競売(けいばい)」にかけられ、売られるわけですね。

「競」という漢字は人が走って争う形を現しています。
ですが、「競馬」を(きょうば)とは読まないですし「競歩」を(けいほ)とは読まないですよね。
どうも法律の世界では、他にも色々と違う読み方の漢字が多いようですね。

●陸屋根(ろくやね)・・・

「りくやね」ではありません。
一般的な鉄筋コンクリート造の建物のように屋根というか屋上が平らな屋根を「陸屋根」といいます。

「陸」には「平ら」の意味があるので、こう使われます。
逆に平らでない部分のことを「不陸がある」といいますが、この場合は「ふりく」と読むのが普通です。

「陸」を「ろく」と読むのにあまりなじみがないかもしれませんが、金銭証書などで数字を大字(だいじ・・・これもこの場合は「だいじ」と読みます。「おおあざ」ではありません)で書く場合には、「六」は「陸」と書きます。

ちなみに、大字の数字を1から10まで紹介すると、「壱・弐・参・肆・伍・陸・漆・捌・玖・拾」と書きますが、「壱・弐・参・伍・拾」以外は読めない人が多いかもしれませんね。

---------------------------------

多分、意識していないだけで他にも色々とあるかもしれません。

建築関係ではありませんが、「天津丼」を「てんつどん」と思っていた人がいましたからねぇ。

でももし、私がどこかで間違った読み方をしていたら、
できるだけ人のいないところで、こっそりと教えてください。

<おまけ>

先日、弊社で季刊で発行している「マイザニュース」に、江戸時代の貨幣制度の話を書きましたら、質問が有りましたので、ここで少しだけ補足しておきます。

(何故、不動産屋の会報に、このような記事が出ているのか?という根本的な質問は受け付けませんので、あしからず)

で、頂いた質問とは、
「金貨」の体系の「朱」に、「一朱銀」や「二朱銀」等の「銀貨」が入っているのは何故か?」
と言うものでした。

マイザニュースを読んでない人には何のことだか判らないと思いますので、できるだけ簡単に説明しますと、そもそも江戸時代の貨幣制度は「三貨制度」といって、三つの貨幣体系が同時期に流通しており、ある意味とても複雑でした。
(日本国内で、「円」と「ドル」と「ユーロ」が同時に流通しているような感じです)

その「三貨」とは「金貨」「銀貨」「銭貨」を指しており、それぞれに
「金貨・・・1両(りょう)=4分(ぶ)=16(しゅ)」
「銀貨・・・1貫目(かんめ)=1000匁(もんめ)=10000分(ふん)」
「銭貨・・・1貫文(かんもん)=1000文(もん)」
という貨幣単位が有り、これを江戸時代の人々は同時に使用していました。

(それぞれの交換レート等に関してはここでは触れません。ご了承の程を)

当然のごとく、「金貨」は「金」で出来た小判等でしたし、
「銀貨」も「銀」で出来てはいましたが、「銀貨」はその重さで価値をはかっていましたから、適当なサイズの「銀」の塊を秤ではかって取引しており、特定の形は有りませんでした。
また「銭貨」は当初「銅」で作られていましたが、次第に「真鍮」や「鉄」が主流となっていきました。

ここで、注意してほしいのは、この「金貨」「銀貨」「銭貨」というのは、それぞれの貨幣の材質を直接さしているのではなく(元々は直接指している部分も有りました)、それぞれの材質を基本とした通貨体系としての呼び名であると言うことです。

とはいえ、「金」や「銀」は現在でも地金としての価値があるように、当時としてもこの地金の価値を基本にして、一両小判は一分金の4倍の金含有量があるのが基本でしたし、「銀」に至っては直接「銀」の重さで価値をはかっていた(秤量貨幣)わけです。

ところが、「悪貨は良貨を駆逐する」の話の通り、特に金貨において金含有量の少ない貨幣が登場し、幕府は「金」そのものの価値ではなくて当該貨幣に表示した額面で取引をする貨幣(計数貨幣)への移行を進めていきました。
元々、「金貨」や「銭貨」は基本的に計数貨幣だったわけですが、名実共に移行していったわけです。

この過程において登場したのが、「一朱銀」や「二朱銀」等で、つまり「金貨体系」の単位なのに材質は「銀」という、「銀でできた金貨」というわけです。

ただでさえ「三貨」である上に、「銀」に至っては、その実際の材質とは別に「秤量貨幣」の「銀貨体系の銀貨」と、「計数貨幣」の「金貨体系の銀貨」があるわけですから、ややこしいことこの上ないと言えます。

それでも当時の文献や物語等をみると、市井の人々はこれを器用に使いこなしていたようです。

お金の話に興味があるようでしたら、日本銀行金融研究所の貨幣博物館のHPものぞいてみると面白いですよ。

それは昨日、ワールドカップの日本惜敗を観戦し、
やっと寝付いたのが午前3時ごろ。

それから2時間半が経過した午前5時半に、
枕元においてあった携帯電話が鳴った。

「こんな時間に・・・間違い電話か?」と思いつつ電話を開くと、
弊社事務所の上階にお住いの御世話になっているオーナー様からの電話。

電話に出ると、
「事務所の前にタクシーが突っ込んで大変なことになってる!」
とのあまりに衝撃的な連絡。

何っ!?

不幸中の幸いで、事務所に突っ込むことなく、その手前で車は止まったものの
激突して外れたガードレールが飛んであたり、
事務所のドアガラスは割れ、朝からガラスの片付けやら修理手配やらで大わらわ。

昼過ぎに応急処置の透明ガラスがドアに入ったものの、
道路からあまりに素通しで、落ち着かない状態で仕事をしています。

--------------------------------------------------------------------------------

そんなわけで、
ブログ記事のネタを考えるどころではない事態だったので、
今回は小ネタのみで。
(正直に言います。ネタが浮かばなかった理由を事故のせいにしています。)

---------------------------------------------------------------------------------

最近、管理させていただいている物件で、
浴室の「鏡」が白濁してしまい、交換する事例がいくつか続きました。

本当ならここで、鏡劣化の原因を検証し、
家庭でできる、浴室鏡のメンテナンス方法でも解説すべきなのでしょうが、
例によって、私が気になったのは、
「鏡」って何故「かがみ」って言うのか?
の方でした。

どうやら語源的には、
自分自身の写しを見るという意味での「影見(かげみ)」からきているようです。
また一説には、
「カカメ」(”カカ”は蛇の古語。蛇の目の意)からという話もでていました。

話はそれますが、この”カカ”が蛇の意味だと言うのは、
「やまかがし」と呼ばれる蛇の名前に名残が見られます。
ちなみに、母親のことを「かかぁ」と呼ぶのもこの「蛇」の意味からきているとか?
さらにちなみに、「案山子」の方の「かかし」は、
古く獣の肉を焼いて串に刺し、畑に立てて、
このニオイを「嗅がし」て獣害を防いだことに由来するというのが最も有力な説です。

だいぶ話がそれましたが、
「硝子」は漢字で書いても語源は英語の「Glass」ですので、
「鏡」も似たような経緯があるのかと思ったのですが、純然たる日本語でした。
 

日本の鏡は、その昔金属製でしたので、金偏の「鏡」という文字になっていますが、
欧米では、14世紀にベネチアのガラス職人が、ガラスに金属を付着させた鏡を開発し、
19世紀からは、より改良された量産型も出回ったために、
英語の「Glass」には、ガラスやレンズの意味のほかに鏡の意味もあるそうです。

-------------------------------------------------------------------------------------------

事故の為に仮復旧された弊社のガラスドアですが、
あまりに透明な為に、誰かぶつかるのではないかと心配しており、
何か張っておこうかと考えているのですが、
いっそのこと、シルバーの裏張りでもして「鏡」にしておくと言うのも、ありかな、と、
無理矢理、話をまとめたところで、今回はご勘弁を。

DSCF0014.JPG

 

※物件広告用に室内写真を撮影することがあるのですが、狭い空間で鏡のあるものを撮影するのは、素人には相当難しいです。

実際、鏡の撮影ってどうやってるんでしょうねぇ・・・?

※それから、事故の写真はちょっと衝撃的なので一応遠慮しました。ご了承下さい。

この記事を書いた人

斉藤 一則

他のメンバーを見る

  • ちょっと知りたい不動産の一口知識
  • 四方山雑記帳
  • hariu Blog
  • めっけもん
  • 仙台・宮城のうまいもの&直売所めぐり
  • コバチャンの深〜い話
  • 小さなギモン調べてみました!
  • 建築と風景
  • ぽらぽら物語り
  • ほっとひといき!
  • マクロの眼
  • ローカル・グローバル
  • トキの目
  • 空飛ぶ「こころ」
  • 黒ひげのモノローグ
  • まるでかく
  • 女将のつぶやき
  • インフォメーションブログ