とても晴れた日にはロスが見える気仙沼。
その日、仮設工場の2階に、ばっぱの台所が開店しました。
偉大なる母にして祖母、大おかみのサダコさん直々に“あざら”
づくりを御指南いただける、何とも実に素晴らしい機会に恵まれ、
スミオ社長の差し入れありがたく、昼からビール三昧の幸せ。
塩と唐辛子だけで漬けた室根のむかし白菜をザクっと刻み、
もったいないから芯もサクッと薄切りし、
贅沢身付きの目抜けのカマは適当に出刃入れて
半年寝かせた蒼天伝の吟醸酒粕と混ぜて混ぜて混ぜること暫。
練りに練って練りあがった感じになったらひと熱冷まします。
おおおお、旨いのです。
多分に、いや今まで食べた中で(もしかすると下で売っているのより)
美味この上なく、遠慮できずに麦酒2本:あざら4杯。
ばっぱに聞けば、その昔、酒・肴禁じの仏門で、高僧の阿舎利たち
が薬食していたから“あじゃり→あざり→あざら”になったとか。
しかし、ばっぱ曰く
このへんでは、てきとうに、気を遣わないことや、らんぼうにすること
を“あざらチョす”といいます。
近頃は赤ん坊が寝ていれば周りを静かにさせますが、昔はあまり過
保護にしないであざらチョした方が上手く育つと言われたものですから、
わたしは、イイ加減に・何となく・ぱぱっと作ってうまいので“あざら”と
いう気がします。
成程。
4チームに分かれて、素人が初あざらをこしらえても、なかなか美味
な出来栄え。ばっぱの御指南はもちろん、そもそも余り物をおいしく
いただく地のレシピと、それを支える食の恵みがスゴイ。
ばっぱ自慢の製造物という若おかみカズエさんが、チーム別に作った
あざらをお土産パックにしたところ、どれがどれだか混ざってしまった
と大笑い。
あざらチョされたあざらを、あざらに育った若おかみから頂戴し、とに
もかくにも笑う門には復興キタル。
三代斉吉商店、次の百年への一日目です。
※多くの漁師・客人・家族をもてなした、大おかみの感動あざら。
行けない、作れないヒトは斉吉商店でどうぞ。
四方山雑記帳
東北・宮城・仙台マーケットの小ネタ小ばなし
あざらチョす
この記事を書いた人
大志田 典明(ブレイントラスト&カンパニー株式会社)
マーケティングプロデューサー。
東北地域の中小企業支援をライフワークに、農・商・工の各分野で強い地域ブランドづくりに努める。
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