東日本大震災から10年が過ぎた。
震災後すぐに被災状況を確認するため、陸前高田市に赴いた。
陸前高田市には平成元年にオープンさせたキャピタルホテル1000とその時に仲良くなった八木澤商店の和義さん(会長:河野和義氏)等の安否を確認するためだった。
過日7月に10年ぶりで和義さんから電話が入った。「まっちゃん。相談したいことがあるので、高田に来て」とのこと。
震災時陸前高田市には16mの津波が押し寄せ、海側に建っていたホテルも4階まで浸水し1階のロビーは壊滅状態であった。その後ホテルは解体されたが、八木澤商店の建物も至近にあり、家屋は跡形もなく流されていた。震災後すぐに安否を尋ねて和義さんの移転先を訪ねると、弱弱しい声で、「まっちゃん、もう何もする気がなくなったよ」と話す。あれほど元気で明るかった奥様も無言のままだった。味噌・醤油造りの要である酵母菌共でも流され、すっかり意気消沈した姿だった。
しかしながら、その後津波で流された酵母菌付着の樽が奇跡にも壊れながらも陸地に流れ着いていることを発見した。今では息子さんが味噌・醬油造りを引き継ぎ、伝統ある有名な醤油が作られ今や再び陸前高田市の宝として様々な場所で販売されている。
10月初旬に桃の季節でもあり福島に行き、桃を送ったらお返しに「奇跡の醤油」送られてきた。今や件名物の南部煎餅にも八木澤商店の醤油で味付けられた煎餅が販売されており、これが美味しく酒のつまみにも会うのである。
是非、皆様も醤油とともにこの煎餅を試食していただきたい。