一関市に創立100年を迎えた造り酒と地ビールを醸造している「世嬉の一」という蔵がある。会長夫婦の奥様が私に縁戚(従兄弟)にあたるのだが、一昨年冬に社長(長男)からビール工場を増設していとの連絡が入る。昨年は何度か一関を訪れ、設計や工事の打ち合わせを行い、この春に完成する。
それに相前後して従兄弟から、「家を建てたいのよ」と相談が。高齢故に様々な注文が。間取りや設計工事の打ち合わせを何度となく行い、今借りているマンションを今年の5月までには退去しなければならないと、昨冬早速に地鎮祭を行い、先月2月26日に上棟式が挙行された。
さて、上棟式当日に一関に訪れた。現場に臨み、玄関となる開口部へ進むと、柱に「女性へのお願い」と言う紙が貼られている。文面を見れば「上棟式当日は式が始まるまでは、建物への立ち入りをお控えくださいますようお願します」の文面が。仕事柄何度となく工事の式典には参列しているが、初めて見る文章である。式の準備をしていた佐藤社長に、「玄関前に凄い文章が貼ってるね。私は初めて見ました」と言えば、「上棟式の神様は女性なので、式典前に入るとやきもちを妬いてしまうのですよ」との返事が。そーなんだ、知らなかったなと。
式典も終わり、佐藤社長が、「この中に両親が健在で辰年生まれの方はおりませんか」とアナウンス。誰も名乗らないと思いきや弊社の斎藤君が「私は辰年生まれで両親も健在です」と名乗りを上げる。「それでは斎藤さん、これから屋根に上って四方から餅を落とすのを手伝ってください。下では跡取り(長男で世嬉の一の社長の航君)がザルで受けますから」と。これも地方の風習のようだ。その後は直会に席を移し、全員で会食。終盤、工事に携わる職人さんが「目出度節」を歌い上げ、お開きとなる。
建築の式典にも地域地域で様々に違うんだなと、妙に感心させられた日であった。