準鎖国社会を貫いているブータン。
旅行好き、飛行機好きではない私だが、40年以上も前に早稲田大学の吉阪先生が企画した世界的建築家・コルビジェのインド・チャンディガール市の都市計画を見に行こうと、インド・ネパールを訪れた。
両国とも敬虔なヒンドゥー教や仏教の信者であり、その生きざまに圧倒された。
若い頃インドを訪れるとハマるよ、と言われていたが、貧富の差が激しい国々でそうでもなかった。
先日本屋を覗いていたら、「未来国家・ブータン」という文庫本が発売されていたので、何気なく買って読んでみた。世界総市場経済の中、富める者が人生の勝者みたいな風潮があるが、ブータンは今でも観光客を受け入れず、全国民が幸福と感じる政策で独自の世界を築いている。
ブータンは王国(立憲君主制)であり、若い国王が結婚してまもなく日本を訪問したことは記憶に新しい。
本の中身は、ある日本の会社が新しい医薬品の開発の為、手つかずの自然が溢れるブータンで薬草を探して新しい薬の原材料にしようと、日本人の僻地冒険家:高野氏を探索人として、ブータン政府の職員とブータン全土を探し歩くというドキュメント風の読み物だが、その中には雪男の話やまだ見ぬ未確認生物UMAの話など、高度3000~4000mの高地をくまなく渡り歩き、集落の人々との会話の中で目的を達成しようという話である。面積は九州地方くらいの大きさであるが、人口は70万人ほどおらず、行く先々の宿泊拠点には小屋が一件で番人が一人だけの村もあり、想像を絶する世界である。
知らない世界の話を読むことは興味深い。
ネパールを初めて訪れた時、首都カトマンズからバスで2時間ほどのタイガートップスという丘から見た朝日は、遠くヒマラヤ連邦をピンクに染めて昇ル太陽に感激を覚えた。
ブータンはもっと天空に近い国であり、きっとすばらしい処なのだろう。