私の住む長町は歴史のある町です。
伊達政宗が仙台に居城を定めてすぐにできた町で、中心街より広瀬川に掛かる広瀬橋を渡った旧奥州街道(国道4号線)沿いに長い町並みができたので、長町というそうな。
広瀬橋を渡ってすぐの長町一丁目には、十八夜観世音堂が建っている。
今は周りに住宅やビルが建っており、どこにあるのか分かりずらい名のない路地裏にひっそりと建ってるが、元々は根岸にあったようだ。1697年に伊達家の菩提寺として大年寺が建立されたことで、長町宿の鬼門にあたる現在地に鬼門除けとして移された。 《伊達時代の鬼門除けと言えば、政宗が仙台に居城を定めた青葉山の鬼門にあたる場所に東照宮を建立している》
明治に入り修験道が禁止されるまで、修行を積んだ山伏(私の子供のころはよく山伏が集団を組んでほら貝を吹きつつ街を練り歩いていた記憶がある)による加持祈祷の場所として敷地も今よりは広く、民間の出羽三山参りの普及とともに地元民から厚い信仰をうけていた。
現在のお堂は1789年の建築と言われ、欄干の擬宝珠(ぎぼし)の銘も当時のままだ。
本尊は勢至観音像で、慈覚大師の作といわれている。平成20年に東北大学及び仙台市博物館の職員による鑑定の結果、鎌倉後期の作ではないかと言われ、東北では最も古い仏像の一つで貴重な文化遺産ともなっている。
長町周辺には、東北最古の役所「郡山官衙」(蝦夷征伐の拠点とした多賀城より以前にあった京都政庁の出先機関)や官衙に付属する「郡山廃寺」「陸奥国分寺」、先の東日本大震災の400年前に発生した慶長大津波に由来する「蛸薬師」などもある。
歴史好きには暇を見てぶらぶらするのも、またたまらない。