成年後見制度とは、精神上の障害(認知症、知的障害、精神障害)により、判断能力が欠けているのが通常の状態である方を、保護・支援する制度です。
平成11年度までは、上記の認定障害者に対し戸籍上「禁治産者・・・代理者として後見人」や「準禁治産者・・・代理者として保佐人」と明記し、商取引等での当事者行為を制限していました。
平成12年4月よりそれに代わる成年後見制度ができ、「禁治産者」「準禁治産者」である方は、それぞれ「成年被後見人」及び「被保佐人」とみなされます。これら本人・配偶者・四親等以内の親族・後見人・保佐人とみなされる人は、後見または保佐の登記の申請ができます。この登記がなされると、登記官から本籍地の市町村へ通知され、禁治産や準禁治産の登記がない新しい戸籍が作成されます。この申請がなされないと今まで通り戸籍に禁治産や準禁治産の登記はそのまま残る事になります。
日本も本格的に高齢化が進み、弊社での本年の不動産売買取引でも6件の内、2件が成年後見人が代理取引を行うという、今までにない取引でした。2件のいずれも所有者本人が痴呆症等で正常の判断ができないため、成年後見人をたてて取引を行ったものです。
1件は、両親とも判断能力がなくなり相続人である子供二人が成年後見人となったケース。もう1件は所有者である伯母二人に判断能力がなく、甥・姪それぞれが成年後見人となったケースです。
成年後見人の申請は家庭裁判所にするのですが、申請できるのは配偶者や四親等以内の親族、または法律の専門家や第三者が認定される場合もあります。審査期間は3?4ヶ月程度かかりますが、当然に本人の医師による診断書(通常の判断能力が無い等の医学的証明書)が必要となります。相続人が多いときは十分に審査する必要があるので、時間はかかることと思います。また当然に裁判所より却下される場合もありますので、お早めに家庭裁判所に相談されたほうが良いと思います。
成年後見人は、本人の保護支援を行う訳ですが、職務は財産管理や契約などの法律行為に限られており、食事の世話や実際の介護などは、一般に成年後見人の仕事ではありません。但し、本人の自宅を売却する場合は、家庭裁判所の認可が必要となります。
今回の取引に関しては、売買代金を全て介護費用に充てる為に売却したもので、今後益々このようなケースが増えていくことは間違い有りません。
元気なうちに、お早めの対応を!