いつかは行きたい、とブックマークしていた宮城のワイナリー「桔梗長兵衛」さん。宮城県亘理郡山元町という、今回の震災で被害の甚大だった地区に、会社がありました。会社も工場も、そして社長さんも、津波の被害に遭われたとか。
先日、宮城県の県北のとある野菜の加工をする会社さんを訪問したときのこと。「缶のジュースはつくれるのですが、このびん詰めのジュースは、しばらくつくれないかも」とお話ししてくれました。材料の供給に問題があるのかと思ったら、瓶詰の技術だとのこと。「びん詰めをしてくれていた工場が津波の被害で・・・この社長さんも亡くなったということで、びん詰めをしてくれる会社を変更するのです」。
県南地域の物産販売所でも同じことを言われました。「うちの地域の果樹でつくったジュース、びん詰めができなくなってしまった」と。お話を伺うと、県北でのお話にでてきた会社さんと同じ会社さんにびん詰めを委託していたとのこと。「工場が流され、社長さんも流され、もう廃業ですとご挨拶に来られたときに、なんと声をかけてよいか・・・」と声を詰まられた、物産販売所の方。
ワイナリーということばかり頭にありましたが、びん詰め技術ということでたくさんの企業や地域を支えていたのだと、震災後はじめてわかりました。
桔梗長兵衛さんのぶどうジュースをはじめて見たのは、秋田のとある喫茶店でした。あのお店のメニューも変更になったのかな・・・そんなことを考えながら、私もぶどうのジュースを口にしました。
震災のあと、復旧、復興と思ってきましたが、復旧できないものもたくさんあるのだとあらためて思いました。できることを、がんばっていこう、そんなふうに思った1日でした。