先月初め、コロナ禍でしばらく休業していた「仙台 長町ホテル」さんが
とうとう閉館となりました。
通勤途中にあり、毎日この前を通っていただけに、
なんだかとても寂しい感じです。
この建物が当地にできたのは、1979年(昭和54年)12月のこと。
竣工時は「〇〇ビル」と言う建物名で、
「長町ホテル」ではなかったことが、定礎板からうかがえます。
このホテルの目の前の道を、長町駅まで走っていた
「仙台市電」が廃止となったのが1976年(昭和51年)3月31日。
その3年と9か月後の1979年(昭和54年)に完成したのですね。
ということは、築42年の建物。
どんな歴史を刻んできたんでしょうかねぇ。
私が「長町ホテル」を初めて知ったのは、
もう30年位前でしょうか。
ということは、建物ができて、12年目くらいの頃。
当時はまだ、仙台に住んではおらず、出張で仙台に来た時に2~3度利用しました。
なんというか、少なくとも「一般的」ではない
ホテルだったように思います。
と言っても、いわゆるカップル向けのホテルではなく、
完全にビジネス向け、のホテルではあったのですが。
まず、フロントへの入り口はホテル正面になく、
向かって左の白い壁沿いに少し入った、
建物側面にありました。
何年か前から、道路側正面から入れるように改装されましたが、
看板類を見れば、名残があります。
上記画像の真ん中あたりを拡大すると、
「フロント」と縦書きの看板があるのがわかると思います。
ここを入ったところにフロントのカウンターがありました。
フロントでチェックインすると、
部屋のカギと共にバスタオル、フェイスタオル、歯ブラシを渡されます。
そして、そのカギとタオル等を持った状態で、
再び、一旦、建物の外に出ます。
建物沿いに敷地の奥へ歩くと、また別の入口が建物側面にあって、
そこからもう一度建物に入り直します。
部屋番号によって、入り口は2か所に分かれています。
外は、上記の画像の通り、庇も何もない、車路兼用の通路なので、
雨の日に行くと、
チックインしてタオル等の荷物が増えたところで、
再び傘をささないと濡れてしまうという、
下手をすると、ホテルの乾いたタオルが、いきなり雨で濡れるという、
なんともやるせない状況に追い込まれます。
再び建物側面から建物に入ると、階段があって、
階段を上ると、小さな踊り場に面して2~3のドアがあり、
そこが客室です。
建物への入口が分かれているので、
別の部屋に行くのに、一度、外に出なければいけない事もあります。
しかも、4階まで階段で登らなければいけない部屋もあり、
これまた、結構しんどいですよね。
イメージとしては、階段室タイプの"団地"みたいな感じです。
団地に住んだことのある方なら、それはもう、
自宅に帰ってきたような感覚に襲われます。
(その後は、オートロック等もついたようですが。)
シングルルームももちろんあるのですが、
一度だけ、シングルが満室で、広めの部屋に案内されたことがありました。
その時の、
自宅ではないけれども、ホテルとも思えない、
親戚の家に来たような、
あの雰囲気は独特だったように思います。
今回、その時の雰囲気を伝えるために
当時の部屋の中の画像は無いかと探しましたら、
こんなのがありました。
普通に3LDKで、キッチンがあって、ユニットバスがあって、和洋折衷な感じ。
ホテル、なの?って、感じ、伝わりますかね。
なんか不思議ではありましたが、
当時は、若かったのでホテル宿泊の経験もあまりなく、
「こういうところもあるんだなぁ」と思いつつも、
「元々は賃貸マンションだったんじゃないのかなぁ」
と思ったのを覚えています。
あれから30年たって、いろんなホテルに宿泊した今となっても、
同じようなシステム、造りのホテルに出会ったことは、
残念ながら一度もなく、貴重な経験だったのではないか、
と、さえ、今なら思います。
ネットで検索すると、
もちろん予約は取れませんが、
ホテルの紹介や口コミの記事はまだ出ていて、
建物的には古いけれども、
フロントの人の感じも良くて、しかも、とにかく安いので、
結構評判は良かったようです。
シングルで4,000円台だった情報も出ていました。
たぶん、お得意さんもいたのだろうなぁ。
コロナで、人の移動が制限された結果だけではないのかもしれませんし、
だからと言って、自分が何かできたわけでもないのですが、
とても勝手ながら、残念です。
こうなる前に、もう一度、泊ってみたかったなぁ。