先日、女川を訪問する機会がありました。
駅から海へと向かう商店街、
「シーパルピア女川」を歩いていたら、
以下のようなものを見つけました。
実はこの注意書きの横は、こんな感じになってまして、
そりゃ、トンビも来るわな、という。
で、ここから、今回のお題は「トンビ」の方。
ご存知ではあると思いますが、
「トンビ」は、通称、別名もしくは方言でして、
この鳥の正式名称は、「鳶(とび)」。
語源に関しては、
おなじみの「ピ~ヒョロロ」と天高く飛んでいるので、
「高い空を飛ぶ鳥」→「飛ぶ鳥」=「Tobu-Tori」
→言いやすく変化して「Tobu-Tobi」
→省略されて「Tobi」=とび
→なまって「とんび」
という説がでてました。
「とんび」は、元々、飛騨地方の方言で、
これが童謡や「とんびがクルリと輪をかいた~♪」の歌を通じて、
全国に広まった、と言う説も。
漢字の「鳶」の上についている「弋」は、
先の尖ったものを表していて、
「とんび」の尾羽がとがっているので、
「鳥」の上に「弋」を乗せて、「鳶」としたとか。
字義的には、そうなんでしょうけど、
「一番気になった、尖っている部位が、くちばしでなくて尾羽?」
「尾羽に注目なのに、「鳥」の上につけるの?」
「そんな理由なら、他にもいっぱい似た鳥がいるじゃないの?」
と、ツッコミたくなる要素がアリアリです。
都会で「とんび」を目にすることは、大分減りましたが、
「鳶」の文字は、職業としての「鳶職(とびしょく)」で、
時々目にします。
工事現場で作業している職人の方々ですね。
何故、「鳶職」と言うかと言えば、
現場の高いところで、
「とんび」のようにヒョイヒョイと飛び回って
作業をしているから・・・・
と、思ってましたよね?
そう言う話もなくはないですが、
その昔(江戸時代)に「鳶職」もしくは単に「鳶」(とび)と
呼ばれた現場の職人さんたちの職務範囲は、
高いところに限った事ではなく、
基礎工事や建て方、遣り方(柱を立てたりする作業)も行っており、
この時にこの職人さんが使う工具が「鳶口」(とびくち)だったから、
という話もあります。
「鳶口」(とびくち)とは、こんな道具。
先端のところが、
こんな形になっていて、これが、
「鳶」の「くちばし」に似ているので、
「鳶口」(とびぐち)という名前に。
この道具で、木材を引っかけて、扱ったのですね。
先がちょっと曲がっているのが、
「鳶」の「くちばし」の特徴だそうです。
・・・先程の漢字の「鳶」の上の「弋」も、
この「くちばしの形」が語源なら、
分かりやすいのに!
「とんび」と言えば、もう一つ思い出されるのが、
タコやイカの口の部分の
「カラストンビ」。
「とんび」=「鳶」なので、
漢字で書くと「烏鳶」って事なの?
と、思ったアナタ、正解です。
タコ・イカと海の生き物についているのに、
「カラス・トンビ」と鳥、2種類です。
カラスのくちばしは、滑らかなカーブで、
トンビのくちばしは、先がきゅっと曲がっています。
タコやイカの「くちばし」と言われる「カラストンビ」は、
よく見ると、片方が滑らかなカーブで、他方がキュッと曲がっているので、
「カラス」と「トンビ」の組み合わせで、
「カラストンビ」と呼ばれるとか。
「カラストンビ」を解剖というか分解すると、
片方が「カラス」の全体の形に、
他方が「トンビ」の全体の形に似ているから、
と言う話も。
気になった方は、
「カラス トンビ 嘴」で画像検索等してみてください。
ここまで書いてフト思ったのが、
「とんび」は飛騨地方の方言、と言う説。
「カラストンビ」とか単に「トンビ」と呼ばれる、
イカのくちばしを珍味とするのは、下北地方。
って事は、「鳶」を「とんび」と呼ぶのは、
飛騨地方だけじゃないじゃん、と。
「とんび」は全国区で、「とび」から、
なまって変化したんですかねぇ。
かつては、全国的に飛び回っていて、
珍しくもない上に、
食事も生きている動物等を狩るだけでなく、
死肉や人間の食べ物を横取りすることも多々あったことから、
大きくて、威厳があって、町にいなくて、狩りをする「鷹」
よりは下に見られていた「鳶」。
「鳶が鷹を産む」
「とんびに油揚げ(をさらわれる)」
のような表現は、昔からありましたし、
万引き犯のような泥棒を「とんび」と呼ぶこともあるそうで、
あんまり良いイメージがないようで。
個人的に「鳶」と言えば、あの堀内孝雄の名曲、
「君のひとみは10000ボルト」の唄い出し、
「鳶色(とびいろ)の瞳に~♪・・・」
を思い出すんですけどね。
ちなみに「鳶色」は、鳶の羽の色のような、
「濃い目の茶色」の事を言うそうです。