メンバーズブログ

小さなギモン調べてみました!

建築・不動産から言葉のトリビアまで、仕事の中で見聞きした小さなギモンを調べて報告していきます。

仙台賃貸物件2014

震災後、仙台の賃貸物件がかなり品薄になったことに関しては、以前のブログに書きました。

で、現在はどんな感じかという事を、私の会社及び周辺からの情報の範囲で書いてみたいと思います。

結論から言うと、この2014年11月現在では、大分、空き物件が出てきたという言う印象です。

弊社の管理物件に限って言えば、昨年の春の時点での空室率は2%弱でしたが、現在は7%強にまで増えてきています。

仙台市内に限って言えば、そもそもの賃貸物件品薄の状態は、震災による物件数の減少、被災者・復興支援者の流入による人口(賃貸利用者)増によって起きていました。

緊急性が高かった事も有り、極端な話、物件の良し悪しは置いといて「雨露がしのげるところ」「とりあえず入居できれば良い」という位の勢いで入居希望者が殺到し、その時点で入居可能な物件はかなりなペースで埋まってしまったわけです。

その後も、仮設入居者の人が自力再建を早期に果たし入居する場合や復興工事の進行状況に合わせて段階的に来仙してきた人の需要として品薄は続き、賃料も増加を続けてきました。

それがここにきて、


来年3月に復興公営住宅の竣工が相次ぐ予定で、この時点において仮設からの移動する人が無い。

緊急性の高い復興需要がひと段落し、長期的な対応に必要な人員のみが残留する形で、その他の人員が帰った。

今年の春までに新築分譲マンション・賃貸物件が何棟か完成し、仮住まいであった人が移った。


等の理由により需要が減り、空き物件が増えてきたように思います。


今後の展望に関しては、不動産を業としているにもかかわらず、なかなか読み切れなくてお恥ずかしい話ですが、

・来年3月の復興住宅の完成に合わせ、「みなし仮設」として一般賃貸住宅に入居していた被災者もそちらに移り、さらに空き物件が出る。

・一方、建設費の高騰は一時よりも落ち着いたもの、依然続いており、通常収支に見合う民間新築賃貸物件の建設は低調が続く。

という両面から考えると、震災直前の供給だぶつきによる賃料下落が震災後にかなり戻る形で上がった賃料水準はもうしばらく続き、優良物件に関しては、まだしばらくは品薄感があるものの、「物件が無い」という感じではなく、かなり落ち着いてくるのではないか、と思っています。

とはいえ、特に沿岸部を中心とした復興は、瓦礫こそ無くなったもの、まだまだ先が見えません。手つかずの場所もあるほどです。

賃貸需要が減ってきたことが、イコール「復興が終わった」という印象につながるとしたら、それは大きな誤解です。

「東京オリンピック」需要に引きずられ、東北から復興の人員・資材が減り、その人員・資材確保の為に、また工事費が高騰し、復興が遅れていくなどという事が無いよう、切に祈るばかりです。

IMG_1046.JPG

写真は、先月石巻に行った時に、日和山から海側を撮影したものです。

まだまだ、何もない平地があります。

がんばろう東北!

この記事を書いた人

斉藤 一則

斉藤 一則(株式会社マイザ)

事業企画担当。
遊休地や低利用建物の効率化提案から賃貸管理・リフォームサポートまで、建築・不動産関係が専門。
旅行好き。

他のメンバーを見る

  • ちょっと知りたい不動産の一口知識
  • 四方山雑記帳
  • hariu Blog
  • めっけもん
  • 仙台・宮城のうまいもの&直売所めぐり
  • コバチャンの深〜い話
  • 小さなギモン調べてみました!
  • 建築と風景
  • ぽらぽら物語り
  • ほっとひといき!
  • マクロの眼
  • ローカル・グローバル
  • トキの目
  • 空飛ぶ「こころ」
  • 黒ひげのモノローグ
  • まるでかく
  • 女将のつぶやき
  • インフォメーションブログ