中心部商店街には、まったく及びませんが、長町でも七夕飾りがたなびいています。
仙台七夕と言えば「雨」で、その割には昨日の前夜祭から今日までは、良い天気で(とはいえ暑すぎですが)、このままいくのかと思いきや、やっぱり本日の夕方以降から雨の予報になっています。
と、こんな流れで「七夕」の話に行くかとも思いきや、それはすでにどこかでやってしまっているので、今回は「七夕」とは関係のない「音」の話です。
「音」と言っても、音楽的な話でもなく、隣の部屋から伝わってくる「音」の方の話です。
マンション等共同住宅で隣の部屋の音が気になる程度には聞こえてくるなどということは、間々あることとは思います。
しかし、薄~い板壁一枚の古いアパートなら納得もできますが、マンションのコンクリートの壁の向こうから、その「音」がどのように伝わってきているのかと言う点に関しては、あまり具体的には想像できないのではないでしょうか?
そもそも、マンションの界壁(隣の住戸との間の壁)であるコンクリートは、かなりの防音性能を持ってはいます。
物質の重量と防音性能の高さは比例しますので、コンクリート製であれば、壁の厚さが厚いほど(つまりその分、総重量が多いほど)防音性能が高いのはもちろんですが、一般的な15cm程度の厚さの界壁でも、基本的には日常生活なら充分な防音性があります。
では、なぜ、隣の部屋の音が聞こえるのか?
これには、大きく分けて2つの理由があります。
まず一つ目は、「迂回音」です。
「音」は音波という目に見えない空気の振動であると言い換えることが出来ますが、これは、何か物体に当れば反射もしますし、物体に沿って移動もし、隙間があればそこから漏れたりもする性質があります。
つまり、間に入っている遮蔽物をまっすぐ通過してくるのではなく、どこか、通り抜けられる隙間を探して、迂回して、音が伝わってくることがあるわけです。
音源になる部屋の人が窓を開けている、もしくは聞こえてくる部屋の方が窓を開けている、また、給排気口など開口部があれば、そこから音も入り込んでくるものなのです。
リビングで隣の部屋の音が聞こえると言う場合に多いのが、このような窓側を迂回してくる音だったりします。
もう一つは、「振動」です。
コンクリートは音波に対する防音性は高いですが、直接的な振動に関しては、かなりの伝導率があります。
例えば、あのとてつもない水圧を支えている厚さ数十メートルの厚みがあるダムのコンクリートでも、片面を直接ハンマー等でたたくと、反対側で直接耳をつけていれば、たたいた音が分かります。
しかし、日常生活で発生する音波が直接振動に変わることはまずありません。
ではどうしてか?
説明が難しいところですが、コンクリートの壁に接した形で音波を振動に換えるような物質があると、コンクリートがこの振動を反対側に伝え、伝わった側に振動を音波に換えるようなものがあれば、それが音になって聞こえると言う現象がおこるのです。(図参照)
つまり、コンクリートのみではなく、その外側に仕上げ用のボード等がついている場合などで、ボードが「マイク」や「スピーカー」のような役割を果たし、音波を振動に変え、コンクリートがそれこそ「電線」のような役割で振動を伝えてしまうというわけです。
よく新築マンションのパンフレット等で、壁の構造を説明する図があり、「厚さ15cmのコンクリートに加え、ボードが設置されてるので、合計20cmの壁厚となっています」のような説明がありますが、コンクリート以外のものが(特にコンクリートとの間に隙間が空くような形で)ついていると、いくら合計の厚みがあっても、結果遮音性が低くなるということが起こり得るのです。
なので、壁がコンクリートに直に壁紙を張り付けているものであれば、かえって防音性能が高いということもありえます。
壁際に家具等をピタッと貼り付けるように設置したり、断熱の関係で壁の仕上げ下地としてボードが張られている場合など、この現象による音の伝達が起こるようです。
以上を踏まえると、自分の部屋の音をお隣さんに響かせないためには、以下の点がポイントになります。
①TVやステレオ等、音の発信源となるものは壁にピッタリくっつけない。
②音波としての振動が壁のボード振動を引き起こしにくくするには、布地を壁に張ったり、固有振動を起こしにくくするために、絵をかけたりする。(ポスター程度ではあまり影響がない)
③窓を開けたままで音を出さない。同時にカーテンを併用したり給気口の開放部にも注意する。
隣の部屋との関係においては、こんなところだと思いますが、これが上下階の響き方になると、また色々と違ってきます。
なので、そちらはまた次回に触れたいと思います。
「音」は人によって感じ方も違いますし、実際のところ完全な防音を住宅で行うことは困難でもあります。
結局は、共同住宅での共同生活であるということを認知していただき、入居者一人一人の気遣いと許容の中で、調整を取るしかないとは思いますが。