昨年末、当組合の研修の席で、「登米出身の横綱がいる」という話が出て、組合員のほとんどの人が「?」を思い浮かべる場面が有りました。
しかも、3代目の横綱だとの話。
宮城出身の横綱といえば、とにかく「谷風」しか思い出せず、しかも「谷風」こそが初代横綱だと思い込んでいた私などは、さらに「?」。
で、調べてみましたら、いました。
しかも、大相撲の世界では、十分に基礎的な話として、出ていました。
その名は、「丸山権太左衛門」
日本相撲協会が認めているところの歴代横綱の初代から5代までとしては、
初代横綱・・・明石志賀之助 ( 現 栃木県 宇都宮市 出身)
2代横綱・・・綾川五郎次 ( 現 栃木県(茨城県とも?) 出身)
3代横綱・・・丸山権左衛門 ( 現 宮城県 登米市 米山町 出身)
4代横綱・・・谷風梶之助 ( 現 宮城県 仙台市 若林区 出身)
5代横綱・・・小野川喜三郎 ( 現 滋賀県 大津市 出身)
と、なっておりました。
今でこそ「横綱審議委員会」が「横綱」にふさわしいかどうかを審議して決めていますが、その昔の「横綱」というのが、何をもって「横綱」なのかというと、
江戸相撲の司家であった吉田司家が横綱免許を授与した人
と、いうことになっていて、これでいうと、1789年(寛政元年)11月に「谷風梶之助」と「小野川喜三郎」に授与したのが始めとされています。
してみると、この二人は同時昇進なのですが、先に引退したほうが若い代数ということになるそうで、現役のまま悪性の流感で亡くなってしまった「谷風」が先の代数になり、史実・実質的には「谷風」こそが初代横綱ということに。
なのでたぶん、この話に対する中途半端な私の知識が「谷風」を初代横綱と勘違いしていた原因のようで。
ただ、それ以前にも名誉職として、まわしの上にあのまさしく「しめ縄」のような「横綱」をシメて土俵入りした人はいまして、その中で先の初代から3代の3人が相撲協会認定となっているのは、第12代横綱・陣幕久五郎が1900年に富岡八幡宮に建立した「横綱力士碑」を基にしているためだそうです。
してみると、初代から3代までは、何がしかの記録はあるものの、実在もわからない伝説上の人だったりで、特に初代・2代は、かなり実在を怪しんでいる人もおり、また逆に言えば、それ以前にも「横綱」をシメた人はもっといた可能性もあるそうです。
話は戻って、「丸山権太左衛門」です。
生没年も不明の初代・2代とは違い、この横綱は1713年(正徳3年)に生まれ、1749年(寛政2年)12月23日(旧暦では11月14日)に37歳で長崎巡業中に赤痢で亡くなった記録が残っているので、実在は間違いないようです。
本名は「芳賀銀太夫」。体格は6尺5寸(1.97m)43貫(166kg)と言われ、本人のものとして現存する手形も長さ8寸(24cm)あるので相当でデカイ人であったのは間違いないようです。
(ちなみに私の手のひら(手首から中指の先まで)は16.5cmしか無いですし。)
1729年(享保14年)・16歳の時に見出され、同年に仙台藩5代吉村公の江戸参勤と共に江戸に上がり、力士となります。
元々、力士として召し抱えられたわけでは無いという話もあって、怪力の銀太夫を見初めて召抱えたお殿様が、江戸に同道させたはいいが、馬に乗っても足がついてしまうし、長旅ではすぐに草鞋が擦り切れ、そんなサイズの草鞋など売っていないので毎日2,3足の草鞋を手作りしながら、やっとの思いで江戸に辿り着いたような状態で、連れ帰るのも大変だ、ということで、力士にさせたともいうらしいです。
最盛期は大坂場所を中心に13年間無敵と言われたことも。
怪力で知られ、五斗(約75kg)の俵に筆を差し込んで文字を書いたとの話も。
って、よほど長くて頑丈な筆じゃないと、筆の方がもたいないとは思いますが、「ひと握り いざ参らせん 年の豆」という句も残っているそうで。
「丸山」という四股名は、頭の上に大きな瘤があったところから丸山となったとも、また仙台丸山の産だから丸山となったとも、いうそうです。
確かに頭の天辺に瘤が。
しかも、ここの道の駅には、土俵もあるそうで。
この近くにある、米山町中津山にある松寿院境内には、遺髪、遺品が納められていて、一応「丸山権太左衛門の墓」もここににありますが、亡くなった長崎にもお墓が残っています。
ご当地では、当然有名人ですので、丸山権太左衛門を冠した商品も作られており、ジャンボ油揚げなどもあるそうですよ。
ちなみに、現70代横綱の日馬富士関迄の間に、「丸山権左衛門」「谷風梶之助」以外の宮城県出身横綱が何人いるかというと、
9代横綱・・・秀ノ山雷五郎 ( 現 宮城県 気仙沼市 出身)
18代横綱・・大砲 万右エ門 (現 宮城県 白石市 出身)
の二人だけで、以降は出ていません。
身体のデカイ人の遺伝子は、全て江戸に行ってしまって、ご当地にはなくなってしまったってことなんですかねぇ。