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小さなギモン調べてみました!

建築・不動産から言葉のトリビアまで、仕事の中で見聞きした小さなギモンを調べて報告していきます。

「鍵」と「錠」の話§1

久々に、小さなギモンです。

でも最初にお断りしておきますが、今回、ギモンは解決していません。

そういう意味で問題の投げっぱなしになってる話ですが、ご勘弁下さい。

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皆さんは「鍵」「錠」の区別がついていますか?

『差し込む方が「鍵」で、差し込まれる方が「錠」でしょ』 

と、いう答えの方、確かにそれでほぼ正解ではあります。

もう少し正確に言うと、「錠」の方は、鍵穴部分だけでなくロックをかける仕組み全体を指しています。

そして、「鍵」と「錠」を合わせて、この仕組み全体を「錠前」と呼んでいます。

(人によって「錠」と「錠前」の解釈が逆の意見を言う方もいらっしゃいますが、鍵穴のない「錠」を「空錠(そらじょう)」と言いますから、ここでは、先の解釈に従います。)

 

これを踏まえてですが、皆さんは普段、家や会社の出入口を閉めるのに、鍵を閉める」と、言いませんか?

よく考えると、閉めるのは「鍵」ではなくて「錠」ですよね。いや、さらに言えば「閉める」のは扉であって、「錠」は「かける」ですかね。ということは、錠をかける」が正解だとも思えます。

でも「鍵をかける」とも言いますよねぇ。私の周りの人は「鍵を閉める」と使っている人の方が多いように思いますが。

このアタリを良く考えると、もしかして『扉を閉めて「錠」を「鍵」でかける』というのが一番正確なのかもしれません。

さらに言えば、開ける時も「鍵を開ける」と言う方が大多数を占めると思うのですが、これも開けるのは「錠」若しくは扉の方であって、少なくとも「鍵」じゃありません。

 

と言うわけで、

普段「鍵を閉める」と言っている行動は、本来はどういう表現をするのが正しいのだろうか?

というのが、今回のギモンの出発点です。

 

他にも「施錠」と言う言葉が有りますよね。

まぁ「鍵を閉める(いや正確には「錠をかける」ですが)」事を呼ぶわけですが、この表現では「鍵」ではなく「錠」が使われます。

「錠」を「施す」ので、これはこれで大変正しいと思われます。

一方で開ける時には「開錠」といいますよね。

少なくとも私のパソコンは「かいじょう」と打ち込むと「錠」のつく熟語はこれしか出てこないので、これが一般的だとは思うのですが、ここでは「錠」が開けられることになっています。

「施錠」と言う言葉の対義語として考えると「解錠(錠を解く)」の方が正解っぽいカンジがするのですが、何故か「開錠」の方が一般的です。

鍵の業界(?)では、「錠」がその後使えるかどうかに関係なく、とにかく扉を開けるために「錠」をなんとかしちゃうのが「開錠」で、普通に鍵を使って開ける等「錠」を保全したままで「錠を解き」扉を開けるのが「解錠」と、使い分けもあるようですが。

 

ちょっとややこしい話になってきたので、整理すると、 

扉・・・(受動的に)開⇔閉 

錠・・・(受動的に)かける(施す)⇔解く(はずす) 

鍵・・・錠を扱う道具なのでそれ自体は動きがない(しいて言えば、「まわす」とか「ひねる」?) 

というのが基本なんじゃないのかなと思うのですが、これらの主体と動作がどこかで混ざっちゃったんじゃないかと。

 

と、ここまで私の推測で書いてきましたが、ここで辞書(会社にあった旺文社の国語辞典)を引いてみますと、次のように出ていました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
かぎ【鍵①錠の穴にさし入れて、錠を開閉する金具。キー。②錠前。錠。③物事の解決に役立つ重要なことがら。ヒント。④時計などのねじを巻くもの。
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えっ、「錠」は「開閉」するの?

しかも「鍵」=「錠」=「錠前」なの?

・・・余計に混乱してきました。 じゃぁ「錠」は?

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じょう【錠①扉や戸などが開かないようにするための金属の器具。「-を掛ける」②丸薬
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ほら、「錠」の用例は「錠を掛ける」じゃないの。

それと、確かに薬にも「錠剤」等で使いますね。

でも扉の「錠」と薬の「錠」の関係が全く繋がらない。

で、パソコンの辞書で調べたらさらに混乱が。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
じょう〔ヂヤウ|ジヤウ〕【錠/▽鎖[名]① 他人に開けられないように、ドア・引き出し・金庫などに取り付け、鍵(かぎ)で開閉する装置。「―を掛ける」「―をはずす」② (錠)錠剤。「ビタミン―」

◆①は本来「鎖」であるが、後世「錠」の字を当てるようになった。

[接尾](錠)助数詞。錠剤の数を数えるのに用いる。「食後二―ずつ服用する」

[アクセント]1はジョ(尻上がり)、2はジョー(尻下がり)。
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「開閉する装置」なのに「―を掛ける」「―をはずす」なの?! 

それに本来は「鎖」だったって。

でも「鎖」の音読みには「サ」しかないはずで、「ジャウ」や「ジョウ」では変換しません。???

その上、扉の「錠」は後ろにアクセントがあって尻上り。薬の「錠」はその逆って、アクセントの違いまで。

 

最初のギモンにもまして、「錠」の二つの意味も何の関係もなさそうで、どうして同じ「錠」なのかわからない。

そこで、はた、と考えたら「鍵」の方も「鍵盤」の「ケン」だな、ということで、「鍵(けん)」で調べたら、 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
けん【鍵】指をあてて押したたくところ。キー
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って、そういえば英語ではどちらも「キー

でも意味的にこの二つの内容を同じ「鍵」の文字で表記するのが、「錠」と同様にどうもつながりません。

 

ここまでのギモンを整理すると、以下の通りです。

①「錠」は「開ける」のか「掛ける」のか「施す」のか、どれが本来の用法なのか?同時に「閉める」のか「はずす」のか「解く」のか?

②どこで「錠」=「鍵」=「錠前」になっちゃったのか?

③扉の「錠」と薬の「錠」はどこで一緒になったのか?

④「錠」に使う「鍵」と「鍵盤」の「鍵」はどこで一緒になったのか?

もうダメです。

ネットでも何が正解なのか、いくら調べても判りません。

一応、今後も色々と調べてみようとは思いますが、どこまで真相に迫れるのか、シロウトの私では限界がすぐそこに見えている感じです。

誰かスッキリする回答を教えてほしいです。

 

※「錠」と「鍵」は同時に発明されたとは思いますが(ある説によると紀元前2000年にできた「エジプト錠」というのが最初らしい)、「鍵」の文字は中国から来た漢字ですが、「錠」の文字は日本で作られた「国字(和製漢字)」だそうです。

ここも混乱の元です。

先にあるように元が「錠」ではなくて「鎖」ならば、『鎖と鍵』のセットとして日本に入ってきたものが、いつの間にか「鎖」の方だけ「錠」に置き換わったと考えることも出来ますが、その理由もまた謎で、混乱が深まるばかりです。

KEYBOAD.JPG

 

 

 

 

 


※写真は「鍵(かぎ)」並べて「鍵盤」に見立てたものです。これこそホントの「キーボード」!

この記事を書いた人

斉藤 一則

斉藤 一則(株式会社マイザ)

事業企画担当。
遊休地や低利用建物の効率化提案から賃貸管理・リフォームサポートまで、建築・不動産関係が専門。
旅行好き。

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