作家:浅田次郎の作品は、「ぽっぽや」で直木賞を受賞する以前より好きで読んでいました。受 賞以前の作品は、やくざが経営するホテルのドタバタを描いた「プリズンホテル」や大正時代の泥棒を描いた「天切り松の闇語り」など、泥臭くユニークな作品を多く執筆していますが、浅田次郎と言えば何と言っても、新撰組の一隊士の生き様を描いた「壬生義士伝」と中国・清朝末期を時代背景として、科挙制度に最優秀で通った兄と貧しさを救うために自ら宦官になった弟の活躍を中心に描いた「蒼穹の昴」は代表作だろうと思っています。
今NHKで日曜の夜に、中国との合作で「蒼穹の昴」のドラマが放映されています。中国歴史上の三代悪女と言われる西太后を、浅田次郎が新しい視点で描き、それを田中祐子が清朝末の栄光と苦悩の迫間にある彼女の姿を、気品と憂いに満ちた秀逸な演技で表現し、原作以上のすばらしい仕上がりとなっています。
時代は明治30年頃の話しですが、丁度同じ時期NHKで放送されている司馬遼太郎原作の「坂上の雲」の導入部に《まことに小さな国が開化時期を迎えようとしている》とあるように、日本では封建制度から近代社会へと脱皮している最中で、日清・日露戦争を経験し世界と互して成り上がろうとする混沌の時代で、そのまま世界大戦へと突入していく混乱の時代でした。
突然このようなブログの内容になったのは、団塊の世代に生まれた私達は、敗戦後の欧米文化を基にした民主教育の第一期生ですが、義務教育の内容では戦前の大正・昭和の歴史は封印されていたような気がし、何もしらないままただただ高度成長の波に乗っかってきた感があり、ちょっと書いてみたかったのです。先日、佐野真一著「甘粕正彦・乱心の曠野」を読み、歴史好きの私も、この辺の時代のことは何も知らなかったことに気づき、近代日本の歴史や松本清張著「昭和史発掘」などを読みあさっています。その中でも、今年再ブームとなった「げげげの鬼太郎」の作者、水木しげるが自分の戦争体験記を基に描いた、「昭和の歴史」は時代背景が分かり易く、是非読んで頂きたい本だと思いました。漫画ですが面白いですよ。