メンバーズブログ

小さなギモン調べてみました!

建築・不動産から言葉のトリビアまで、仕事の中で見聞きした小さなギモンを調べて報告していきます。

2012年3月のアーカイブ

※以下の記事は2012年3月時点でのものです。

現在、仙台では賃貸物件が非常に不足しています。

もし、4月中の入居希望で物件を御探しの方がいたら、あきらめた方が良いかもしれません。
早くてもGW明けの入居可能物件しか見つからないと思われます。

私の会社での取り扱い物件でも、現在入居中物件で入居日未定のままで申し込みが入ってしまうような状態で、お貸ししたくても貸す物件がありません。

この状況の理由は、以下の通りです。

①震災により、物件そのものが被災し物件数が減った。

②震災直後から被災者への空住戸賃貸が進み、空室が減った。

③被災者ばかりではなく、震災復興業務の為に他県からの流入がとても増えた。

④通常であれば年度末の退去がそれなりの戸数になるのが、今年に限っては、震災の影響もあり転勤・移動のタイミングがずれており、思ったほどの退去が無い。

⑤退去があっても、リフォーム工事のための人手が不足している上に工事予定もいっぱいになっており、速やかなリフォーム工事が出来ない為、貸出ができない。

弊社の物件でも、3月末に退去があった部屋が入居可能になるまでに、最低でも1ヶ月以上はかかってしまうような状況です。

そんなわけで、おそらく5月のGW明けの入居が最短になると先に書いたとおりです。

賃貸物件の不足は昨年の暮れ頃から、まず2LDK以上のファミリータイプ物件で顕著になり、年明けして2月になると、単身者向けの物件でも利便性の高いエリアではもう空きはなくなってしまったようです。

弊社にも、なんとか物件を探して欲しいというご依頼を、各種ご縁を通じていただくのですが、大変心苦しいながらも、お力になれないことがほとんどという状況です。

となると、どうしたら良いかということになりますが、今できる判断は以下のようなものではないでしょうか。

①入居時期は5月末以降でも可とわりきる。
 →無理矢理早期入居できる物件を探そうとしても難しいばかりか、あったとしてもあまり良くない物件の可能性が高いです。

②4月になったら不動産屋を足で廻る。
 →リフォームが出来なくて募集が開始できないだけで、空いている物件もしくは空き予定が確定している物件は、実はあります。3月末退去者は例年より少ないとは言え結構多いので、4月になれば実質的な空き物件は更に増えるはずです。しかし、先に書いたような事情で入居可能時期が特定できない為、ネット等には情報としては上がってきません。なので、そういう物件を狙って、4月に入ったらこまめに不動産屋を直接廻れば、物件が見つかる可能性は高いです。

おそらく、このような物件不足は当面続くと思われます。

それでも仙台はまだしも、石巻等の直接的な津波被害がより大きかったエリアは、そもそもの物件が激減したことに加え、新築も建築規制のために進まないですから、「空待ち予約が60人います」なんていう話もあるようです。

正直なところ、知り合いの不動産屋に無理矢理お願いしたところで、無い袖は振れないので、物件自体が出ていないことにはどうにも成りません。

ましてや、「駅に近くて、広くて、安くて、駐車場があって、設備が整っていて、セキュリティがしっかりしていて、新目ならばどこでもいいので・・・・」って、そんなの無いです。

でもまぁ、頑張ってみますので、どうしてもお困りの際は御連絡下さい。

但し、それでも4月中の入居はあきらめてくださいね。

表.jpg

写真は、弊社の募集物件リストです。

下半分は申込済みで入居待ちのもの。

上から10物件くらいが現状空予定ですが、すでに半分は申し込みが入っています。

当然まだ退去もしていないのですが、この状態です。

DSCN6854.jpg

 

ネットで「メジャー」と検索すると、最初に出たのが同名の野球漫画に関するものでした。

が、

今回の私のネタは、左の写真の方です。

一応、私も業界の端っこにいる人間ですので、これを「コンベックス」と呼んでいましたが、どうやらこの名称が一般的ではないようなので、今回はそのへんを少し調べてみました。

 

正直なところ、私は英語でこの製品を「コンベックス」というものなんだろう程度に思い込んでいましたが、そもそもこれを「コンベックス」と呼ぶのは、日本の建築業界だらしいのです。

英語では、Tape Measur」(テープメジャー)もしくは「Measuring Tape」(メジャリングテープ)と呼ぶそうです。

ここでいう「Measur」は、「計測する」という意味の英語です。

冒頭の野球の「Major」は、「大きい」とか「重要」とか言う意味の方で、見たとおり全く別の意味の言葉です。

一般の人がいわゆる「巻尺」を指して「メジャー」というのは、この「Tape Measur」(テープメジャー)から来ていまして、してみると圧倒的にこちらの方が正しい呼び方のようです。

 

では何故、日本の建築業界でこれを「コンベックス」というのかといえば、どうやら日本のどこかのメーカーがこの「コンベックス」という名前をつけた「メジャー」を発売して、これが非常にウケタために広まり、定着したようなのです。

そもそも「コンベックス」とは英語の「Convex」のことで「凸型」の意味。

このメジャーは引き出すとテープ部分が「⌒」型に湾曲しており、これがあるから、ある程度引き出しても”ぐにゃっ”とならずに自立するわけで、この「⌒」型を指して「凸型」=「Convex」=「コンベックス」と成ったようです。

というわけで、『金属製の巻尺が「コンベックス」で布製の巻尺が「メジャー」』だと思っている人もいたようですが、間違いです。

英語では基本的にどっちも「メジャー」ですし、「コンベックス」は「⌒」型金属製メジャーを指して日本の建築業界だけが使用している「業界用語」というのが真相です。

 

ちなみに、もうひとつ気になったのが、この「コンベックス」で測れる長さ。多分もっとも主流なのが「5.5m

他にも「3.5m」とか「7.5m」等が良く使われているようですが、何故に「.5」という半端がついたものなのだろうか、と。

実はこれも日本独自のもののようです。つまり尺貫法の名残。

日本の建物は今でも畳基準で「○畳」という広さ表示や「○坪」という面積表示を使用しているくらい、建築的には古来の日本人サイズが踏襲されています。

そうすると、実際の建築現場でも表現上は「3.6m×2.7m」と書いてあっても、ようは尺貫法でいう「2間×1.5間」、尺で言えば「12尺×9尺」であり、つまり6畳間を作るとこういうサイズになる訳です。

「1尺」は正確には「30.303cm」なので、5.5m」というのは「18尺=3間=5.45454m」まで計測できる長というわけです。

6畳間の短辺が二つ並ぶと3間ですから、使用頻度と使い勝手の関係で、この「5.5m」というサイズが丁度良かったということなのでしょう。

「7.5m」の場合ですと「24尺=4間=7.27272m」まで対応ということで、これも尺貫法的には丁度良い長さなわけです。

ただ、「3.5m」は「12尺=2間=3.63636m」に足りていないので、こっちは「.5」の表記にあわせてのものと思われます。

ですから、当然に海外の同型製品では「5.5m」という長さは主流ではありません。

そもそも職人が使用する場合が多いので、「フィート」や「ヤード」といったその国の長さの単位で作られていたり、メートル単位のものでも「8m」とか「10m」など、メジャー本体の外形サイズのバランスを見てやはりキリの良い数字のものが主流のようです。

 

以上、いつにもまして役にたたないお話しでしたー。

 

この記事を書いた人

斉藤 一則

他のメンバーを見る

  • ちょっと知りたい不動産の一口知識
  • 四方山雑記帳
  • hariu Blog
  • めっけもん
  • 仙台・宮城のうまいもの&直売所めぐり
  • コバチャンの深〜い話
  • 小さなギモン調べてみました!
  • 建築と風景
  • ぽらぽら物語り
  • ほっとひといき!
  • マクロの眼
  • ローカル・グローバル
  • トキの目
  • 空飛ぶ「こころ」
  • 黒ひげのモノローグ
  • まるでかく
  • 女将のつぶやき
  • インフォメーションブログ