例によっていきなりクイズです。
次の①~⑥のうち「バルコニー」はどれでしょう?
例によって、答えは最後です。
ちなみに②は屋上庭園のような状態、⑥は1階の専用庭部分も含めて、です。
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正直なところ、私自身「バルコニー」「ベランダ」「テラス」「ポーチ」の明確な区別が
今一つはっきりしないまま、使っていました。
特に「バルコニー」と「ベランダ」に至っては、呼ぶ人の好みでどっちでもよく、
実質的には同じもの、という認識しか持っていませんでした。
で、調べてみたのですが、ちゃんとした違いが有ることがわかりました。
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■バルコニー
建物の壁面から張り出した形で手摺りがあり、多くの場合、張り出した床面の下にこれをささえる為のブランケット状の部材があり、屋根がないもの。語源はイタリア語の「balcone」。
■ベランダ
建物から張り出しているところまではバルコニーと同じだが、これに庇や屋根がついて雨がかりが少ないもの。母屋とドア・窓等で仕切られていれば、四方に壁等があって、実際上は外気にさらされない屋内でもベランダに区分される。語源はヒンディー語の「barandah」(柱廊玄関の意)。
■テラス
建物、庭園、道路等から突き出た形で整備された屋根の無い
台状に整備された部分。ヨーロッパではバルコニーよりも特に大きいものをテラスと呼ぶ。建物の屋上利用も、屋根が無い状態であれば含まれる。語源は、フランス語の「terrasse」
(古フランス語で盛り土の意)。
■ポーチ
玄関、入口にあるベランダ状の屋根付の空間。本来の意味が「玄関」「入口」と言う意味なので、出入口にあるものしかポーチとは呼ばない。語源は、英語の「porch」。
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このように、それぞれ語源も違えば、意味も違い、一応の元となる区別はあるのです。
と、いうことは、
クイズの答え的にはどうなるかと言いますと、
①③は屋根があるので「ベランダ」、
②⑥は屋根が無い部分も有り、比較的広いので「テラス」、
⑤は庇状の部分はあるものの実質的には雨がかかるつくりなので「バルコニー」、
と、区分できるのではないか、と。
で、難しいのが④。建物から張り出していないので、厳密に言えば上記4つのどれにも当てはまらないんですよね。しいて言えば、周りを囲われていますから「ベランダ」の仲間になりますでしょうか。
しかしながら、ここ日本での実際の使用例を見ると、使う人の好みで呼び分けてるようで、実際の建物に使われている表記に厳格な使い分けはあまり見られません。
特に集合住宅の「バルコニー」は、事実上屋根状の部分(上階の床ですが)があるので、本来は「ベランダ」に近いのでしょうが、これを庇・屋根と見なければ、やっぱり「バルコニー」になるわけで、どちらかのみを「正解」とするのは、無理があるのかもしれません。
さらには、「デッキ」「サンルーム」「コンサバトリー」等も考えると、もう「テラス」なんだか「ベランダ」なんだか・・・・
・・・・・・・まぁ、考えてみると、区別する事自体、あまり意味が無いのかもしれませんねぇ。
言葉の"響き"が良いかどうかと、その呼び名からイメージされるものに大きなブレさえなければ、日常生活で困ることは無いですから。
と、結局前回に引き続き、はっきりしない感じのお話になってしまいました。スイマセン。
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最後に建築とは何の関係もありませんが、小さなバックも「ポーチ」と言いますよね。
「化粧ポーチ」とか呼ぶアレです。
このバックの方の「ポーチ」は「pouch」と綴り、玄関前の「ポーチ」とは全くの別物です。
英語で「小袋、小物入れ」の意味で、「ポシェット」や「ポケット」等と語源を同じくする言葉であり、より正確に発音すれば「パウチ」の方が近いのですが、先に日本に入っていた玄関前の「ポーチ」と発音が似ていたために、和製英語として同じ「ポーチ」とカタカナ表記する言葉になってしまったようです。
「パウチ」といえば「レトルトパウチ食品」(ボンカレー等)の「パウチ」で、この「パウチ」こそ小袋の意味なのでした。
小さな袋に化粧品をいれると「ポーチ」で、カレーが入ると「パウチ」と呼ぶ、というわけではないのでしょうが、和製英語っていうのも面白いですよね。
って、「バルコニー」の話はどこへ言ったぁー・・・・・