私が理事を務めている一般社団法人「ベトナム住宅研究会」では、原則2年毎のベトナム訪問や年に5~6回の研究例会を本部の高田馬場で開いている。
先週20日に研修会があり、講演者は国土交通省の国際関係業務を担当している現役審議官で、興味深い話をいろいろとお聞きした。
その後、お決まりの懇親会で楽しく過ごすわけであるが、元某TV局の社長であるN氏が「松ちゃん、今『田長実空の会』を創り会員を募集中なのよ」とのたまう。
何、『田長実空の会』って。
「『田』は、田舎の出身者。『長』は、長男又は長女、『実』は実家、『空』は、空家のことだよ。」
「故郷を離れ首都圏で暮らす我々は、田舎に戻りたくても両親はすでに他界し、実家が空家のまま維持管理もできない訳よ」
「実家には当然に思い出も一杯あるし、建物も維持したい訳よ。そこで考えたんだよ。」
「空家を賃貸するのではなくて、現所有者である長男が、使って頂き家を維持してくれる人に、なにがしかの維持費を支払い、守ってもらうのよ」
「少なくとも固定資産税相当分を賃料に当てるなどではなく、所有者が維持費を払って住んでもらう、と言うことを考えているのよ」とのこと。
「同じ悩みを持つ、仲間の何人かは賛同してくれているのよ」
考えてみれば、2015年に「空家対策特別措置法」が出来た時には、なかなか良い法律でこれなら地方の活性化に繋がるかもと、期待していたが地方の行政は100万都市仙台でさえ、補助金が工面できずなかなか進展していない。況や弱小の行政ではその対策室さえ、まだない状況である。
幾ら良い法案を作っても、それを実行する行政が積極的に取り組むことが出来ないのでは、片手落ちではないか。それほど地方は疲弊してるのである。
『田長実空の会』の考え方は、空家になっても入居者などいない田舎の出身者にとっては、切実な願いなのではないか。誰も住まなければ朽ち果てるだけで、最終的には所有者が解体費を負担して解体しなければならなくなることもあり、実家を維持してもらうという新たな考え方には共感が出来る。