実は市街地が海に隣接しておらず、内陸大都市であるところの仙台でありますが、やたら歌やら写真やらで広瀬川押しの割りには、港に面した日本各地の大都市と違い、河岸段丘上に建造された仙台は意外に親水しにくく、実は広瀬川の水を触ったことがない市民が多数と思われる仙台。
あまりにも広瀬川を神聖視した結果、当の市民ですら想像上にしか存在しなくなってしまった不思議な川。
そんな、仙台に風穴が空くのか注目の取り組みが行われたのでした。
場所: 大橋 7月9日 19:43 · 仙台市
【伊達な川床のナゾ】
大橋近くで実施されていた「伊達な川床」に威力偵察するなど。
威力偵察なので、しっかりビールと料理研究家阿部加奈子先生のイタリアンをしっかり食べるのである(仕事です(たぶん))。
今回のこの試みはかなり実験色が強いようなのですが、なかなかcozyな空間が実現。都心近くにこの空間とは。
かなり将来にヒントが収集できるすばらしい「テストマーケティング」だなと。
何より、公共利用以外が極めて難しい河川敷の使用許可を取ったのは、関係者の皆様の努力の賜物かと。
観光活用がOKになったのは、それこそ震災の3日前に改正された河川敷占有許可準則から。継続的な実績の積み重ねが重要かもしれません。
ところで、社会的な意義は専門家の方々にお任せするとして、商業的な視点を提供するのなら、より「食」のコンセプトをどう強めるか、とかですかねぇ。
やはりここは3C分析、競合分析!
鴨川の納涼床は、様々な食が楽しめるのが実は本質価値だし、貴船は流しそうめん、高雄は京料理。
今回どういう経緯でイタリア料理になったのか知りませんが、例えばウニ最盛期のこの時期、シチリア式ウニ料理中心で、ひたすらイタリア推しってどうよ。
ほら、目の前の石造りの大橋とか、対岸の川内追廻遺跡(跡地)もベネチアっぽいし(?)
支倉常長、イタリア行ったし。
<補足>
かつて広瀬川沿いの高校に通っていたカサマ。
学園祭の後には段ボールを集めて高さ2mほどの段ボールロボを広瀬川河川敷に建造し、それを嫌いな先生の名前を冠した「I(先生)人形」と称して着火する「昇天の儀」を実施。二層式の「仲の瀬橋」の直下で行った結果、西道路部分に煙が侵入。
大いに焦るも、後輩達には「古来から伝わる伝統だ」と冗談を言っていたところ、10年後に久々に学園祭に行ったとき高さは4mを超えるほどに進化しており、いつの間にか「戦後間もなく始まった物理部伝統の祭り」とか言われていて、なるほどこうして歴史はねつ造されていくのだなと感心するほど広瀬川の有効活用を行っていたカサマ。
しかし大人になって知ったのは、多くの広瀬川河川敷は公園指定されており、I人形を燃やすのはもちろん、そもそも火気厳禁。芋煮すら実は禁止であるという驚くべき事実を知ったのです。
そんな状況に風穴が空いたのは、元締めである国土交通省による「河川空間のオープン化」。震災直前の2011年3月に河川敷占有許可準則が改正された後、多くの先人達の努力により実績が積み重なり、昨年2016年6月よりついに民間企業による民間企業等への河川空間の開放を促進の方向に。
国交省自らが事例集を作って啓発を行い、
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shigenkentou/pdf/jirei_kasenkukan_1602.pdf
それどころか、今や国交省に相談窓口「かわよろず」の開設をする程まで積極的になる
http://www.mlit.go.jp/common/001133398.pdf
という変わりぶり。「かわよろず」とか、キャリア官僚のネーミングセンスもなかなかではないか!
2011年以降、仙台はおろか東北では一件も活用事例がなかったこの河川空間のオープン化ですが、最近は地元自治体も積極的になりつつあるとのこと。先進地域が既存の取り組みと融合させつつ、少しずつ実績を積み重ねてきたことと同様、是非とも関係者の皆様にはここ数年の岩盤規制解除の流れを奇貨としていただきたいところ。
次は是非とも秋の芋煮会を牛越橋付近と広瀬橋付近以外でもできるようにして欲しいなり。
(河原町駅に近い宮沢橋付近は、河原町だけど河原じゃなくて公園だから、火を使った芋煮会禁止だから注意だよ!)
<補足2(2017/7/18追記)>
その後、今期の仕掛け人であるNPO法人都市デザインワークスの榊原進さんと、とある会合で直接話す機会があり、実は行政側との交渉は「そこまで困難ではなかった」との意外な事実をお聞きすることができたですよ。
要は我々民間の側の「ヤルキ」や「企画力」などの問題が大きい。
仙台という街は市民活動が活発な割りには、行政にリーダーシップを期待するやや矛盾した雰囲気があり。そこはくそ真面目に市民としての使命感とかでプレッシャーを与えるカタチも悪くはないのですが、案外「あれやってみたら、面白いんでねスカ?」という、街を楽しむ姿勢で少しずついろんなことをトライしていくことが、街の雰囲気や文化を変えるのかもしれませんなぁ。