ついに完成した、東北新幹線開業以来の仙台駅大改造となる、新「東西自由通路」こと「エスパル仙台東館」ッ!
リアルペーパーやWebメディアの間では絶賛の嵐の本施設ですが、なぜかカサマの周りでは賛否両論であり、その事実にちょっと戸惑ってFacebookに書き込んでおります。
4月16日 場所: エスパル仙台 東館
【透明なアイデンティティ】
良くも悪くも「仙台っぽくない」と称される仙台駅のエスパル仙台東館。
カサマの周りでは評価が二分されておりまして、概ね東京在住(経験)者には「いかにも21世紀のJR東日本的なつまらない施設」、仙台ネイティブには「ようやく仙台にも東京水準のシャレオツな商業施設が」という感じでしょうか。
カサマ的には商業施設全体の評価はともかく、集積された東北のおみやげ系の商材のレベルの高さに改めて驚かされております。
震災前までは、どうにも商品設計やパッケージデザインの「詰めの甘さ」があったように思います。
しかし、ここ数年の復興関連プロジェクト等でやり手のデザイナーさんやマーケッターが入って、数十個レベルで商品の「ブラッシュアップ」が行われた結果、「東北みやげ」でこれだけラインナップが揃うのは隔世の感が有ります。
商業施設や街の雰囲気の「東京の縮小コピー」感や、妙に小奇麗だが特徴がない「色がない透明なアイデンティティ」感は、個人的には仙台に私鉄とその周辺の「私鉄文化」がないところに、遠因があるのではと思っています。
よく見るとだいぶ違い、というか「不思議さ」が隠れていたりするんですがね。
その意味では、逆説的ではありますが、「国鉄」が企画した今回のエスパル東館は実はとても「仙台らしい」場所なのかもしれません。
<補足>
品川駅と丸の内のキッテと二子玉川ライズを足して平方根したような施設と約一名に称される「新東西自由通路」。
余りの既視感というかデジャヴに、歩いていて突然東京に来たようで目まいがしそうでしたが、実際、某エスパルの責任者が内覧会の時に「どうです!東京と変わらないでしょう(意訳)!!」と豪語したというエピソードを伝え聞くに及び、なるほど、これで追加現在建設中の東口の駅ビルに楽天球団の事務所が入れば、楽天本社がある二子玉川ライズのコピーとなり、ますます仙台が東京かを飛び越してニコタマ(二子玉川)化するであろう妄想に、感無量であります。
(二子玉川ライズ)
が、二子玉川は苟も帝都世田谷区に位置し、東急田園都市線と大井町線が交錯する、大東急の重要駅であります。
「大東急」とは、戦時統制下に合併が進められた現在の「東急」「小田急」「京王」「京急」「相模鉄道」の全路線に当たる、日本史上空前の「私鉄」。戦時においても、その恐るべき民活力(というか政商五島慶太の力)を感じざるを得ません。
これに対して、日本初の地下鉄や松島水族館の開設等、積極経営で知られた我らが「宮城電鉄」は、戦時買収により逆に国鉄に統合、「仙石線」に。かつて仙台を中心とした宮城県は、その重要性から鬼畜米英のターゲットとして核の炎に包まれかねない軍都(柴田町の第一海軍火薬廠では、なんと海軍の使用する火薬の30%が製造されていた)であり、沿線に第二師団や陸軍造兵廠、海軍工廠、矢本の海軍航空隊などを抱えた「宮城電鉄」は、当時宮城県の最大の産業が軍需産業だった時代の象徴として、大東急とは全く対照的に、国鉄化の命運となったのはやむを得なかったのかもしれません。
それから70年余り。
仙台にはこの新東西自由通路とともに、日本国最後の地下鉄と言われる「東西線」が開業。
新しい仙台の鉄道沿線文化を生み出す可能性がありましたが、そのブランディングになぜかD通に仕事をまるな・・・、大半を依頼するにあたり、なにかこう、軍需産業の時から変わらぬ、センダイジンの中央志向の根深さを感じるのでした。
第二次世界大戦はいまだ終わらず・・・!
結局、当局さんは鉄道システムのプロであったが人の営みなどの街づくりのソフトに関しては思いに至らず、電2さんは広告代理店としてプロモーションのプロであったが鉄道沿線を形作る文化には思いに至らず、ようするに両者とも「鉄分」が少なすぎたと、カサマはごく個人的に思うのです。
不肖カサマ、まずはその反省としてプラレールとミニカーで一日中沿線の営み妄想の刑に服すべき、と意見具申するであります。