■震災から5年
我が国の建築基準法において、建物の構造基準が規定されています。1987年(S53)の宮城県沖地震(マグニチュード:7.4、仙台:震度5、東京:震度4)の教訓から1981年(S56)に構造基準が大きく見直されました。これ以降の基準を「新耐震」と称し、地震による建物の倒壊を防ぐことは勿論、建物内の人間の安全を確保することに主眼がおかれました。簡単に言えば、旧基準の震度5程度の地震に耐えうる住宅との規定が、新基準では「震度6強以上で倒れない住宅」と変わりました。つまり現在の構造基準は、震度6程度の地震でも建物に対する損傷はあっても「倒壊しない」と規定されています。
最近は免震構造や制震構造の建物が多くみられますが、従来の耐震構造であっても地震に対する構造耐力は同等と言えます。但し、地震等の外力が建物に直接影響するため柱や梁が大きくなります。建築物の場合、人間の皮膚などのような「自然治癒力」ないため一度損傷を受けると、構造耐力が低下することが心配されます。一定規模の建築物等は建築基準法で「特殊建築物の定期調査」が義務づけられており、今後想定される巨大地震のためにも、定期的な建物等の調査・診断が必要となります。
5年前の震災で犠牲になられた方々のご冥福をお祈り致します。そして、今現在も仮設住宅や原発による避難生活を強いられている皆様にもあらためてお見舞いを申し上げます。
※写真は名取市閑上の「東日本大震災慰霊碑」2015.11撮影