前回に続いて、もう少しベトナムの話を。
私は今回初のベトナム訪問でしたが、視察団の皆様は数回目の方が多く、2年前の前回訪問時と比較しても著しい都市部の発展に驚かれていました。
例えば、
「道路が広くきれいになり、高速道路もできている」
「高層建築物が増えている」
「新規交通網(鉄道)の工事が複数進んでいる(工事着手済み)」
「各種ニュータウンや工業団地が稼働し始めた」
等々。
もちろん、都市部でも未だに、かなりボロい建物も多く残っていますし、路上に座りこんで食事をする風景は、そこここで見られます。
当然誰もが豊かになっているわけではありません。
ですが、もう一つ皆さんが言っていたのは、
「車が増えた!」
ということでした。
もちろん、あいかわらずバイクはすごく多いのですが、かなり車も多く走っていました。
日本車はTOYOTA車がダントツに多く、次いでHONDAでしょうか。
それ以外の国産メーカーはほとんど見ませんでした。
全体では、やはりHYUNDAIが多かったですね。
ベトナムには国産車が無いので、基本的に輸入となることもあり、自動車価格はとても高く、輸入税が70%、消費税が60%、車両登録税が12~13%、他に付加価値税や保険代、諸費用等々を加えると、結果、日本国内での販売価格と比較すると2倍~3倍の価格になってしまいます。
日本国内販売価格180万円ほどのトヨタカローラが400万、ベンツなどは、800万円~1500万円位になるとの事。
前回、ベトナム人の年収の話を少ししましたが、公務員が収入をどうやって増やしているかというところで、こんな話を聞きました。
車のナンバー登録の為に、書類を整えて役所に行くと、長い行列に並ばされ半日待たされた上で「この部分の書き方がちょっと違うので、書き直してまた持ってきてください。」といわれ、返される。後日、書き直してもう一度(もちろん数時間並んで)行くと、「今日はこの後用事があるので、受け付けは終了」と帰される。
結局どうしなければいけないかと言うと、提出書類に1,000,000VND(ドン)≒5,000円ほど添えて出せば、即、受付になるとの事。
ベトナムの人は、このお金は"賄賂"というよりは、手数料だと考えているようで、色々な場面でこういうことがあるそうです。
また、公務員でもアルバイトをしている人はかなり多いようで、午後になると担当者がいないことも日常茶飯事だと、ガイドの人は言っていました。
もちろんベトナムも法治国家として、それなりの法律・規則はありますし、こういったお金をとることは法律で規制されてもいます。
それでも、こういった収入が前提になって、各人の生活が成り立っているというのも事実なんだと思います。
他にも、こんな話も聞きました。
道路へのバイクの駐車は、もちろん駐車違反になります。しかも、多くの場合、罰金などというものではなく、バイクの没収になってしまうそうです。
都市部の建物の1階はほとんどが店舗になっていますし、その店舗に来るお客さんの多くがバイクに乗ってきますから、店の前に来店の為に停めたバイクが駐車違反で没収になってしまうようでは、その店にお客さんが来なくなってしまいます。
で、お店の人は、これをとりしまるお巡りさんに、それなりのお金を払って、お目こぼししてもらうわけです。
しかも、お巡りさんの方も、各所轄内で集めたこの手のお金は、その所轄内で取りまとめて、署員みんなで分けるそうです。
つまり、これが正式な公務員給与以外の収入になって、お巡りさんの生活が成り立っているというわけで。
人口約780万人のホーチミンで600万台のバイクがあり、毎日平均して55人が事故死しているというデータがあるそうですが、当然、それ以上に様々な事故があるわけで、その事故処理の場面でもお巡りさんは収入を得ているわけですね。
ベトナムの一面のみの話になってしまいましたが、すさまじい発展を遂げているベトナムでは、法令もドンドン変わっていきますし、外貨獲得のための方策も、細部まで検討しているとは思えない段階で実行してしまう傾向があるので、また数年後には色々様変わりしているのかもしれません。
地下鉄が相次いで開業し始める予定の2018年には、完成車両の関税を0にするという話もあって、ベトナムに進出している自動車メーカーも対応がかなり変わってくるでしょうし、さらに車も増えるかもしれませんね。