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小さなギモン調べてみました!

建築・不動産から言葉のトリビアまで、仕事の中で見聞きした小さなギモンを調べて報告していきます。

2014年9月のアーカイブ

前回、マンションの隣の部屋から聞こえてくる音の話をしました。

今回は、上からくる音の話です。

上の階の音、というと、声そのものよりも前回にも登場した"振動"からくるものの方が多いですよね。

「ドスン」という重い音から、「コンコン」いう軽いものまで、響き方は様々です。

上下階での音の伝わりを考えると、メインはこの「床衝撃音」ということになります。

この「床衝撃音」の遮音度合いを表す単位に「L値(えるち)」というのがあります。

フローリング床材の性能表示でも目にする機会があるかと思いますが、これは「floor impact sound Level」=「床衝撃音レベル」のレベルの「L」を取って「L値」と呼んでいます。

上の階で発生する定量的な固体振動音が、下の階でどの位の音量で聞こえるのか?というものを表しており、「『500Hz』の音程の音が『何dB』で聞こえるのか?」を基準に数字が決められていて、例えば、「L-50」であれば、50dB位の音に聞こえるということになります。

指標の基準はこんな感じ。

実際のところは、最初に書いた「重い音」と「軽い音」では、響き方が違うために、比較的軽くて高い「軽量床衝撃音」を「LL値」(「L値」の「Light weight」)、重くて鈍い「重量床衝撃音」を「LH値」(「L値」の「Heavy weight」)と区別して測定し、この二つを統合した感覚的な分類として、先の「L値」の指標としています。

ちなみに、日本建築学会ではマンションなどにおいてLL-45を望ましい水準として推奨していますし、公的住宅や公庫マンション等では最低LL-55以上の基準を設けています。

前置き的な数字の話が先になりましたが、というわけで、上下階では、空気を伝わる音量よりも、直接的な衝撃音の方が伝わっているのであり、ここを踏まえて考えないといけません。

つまり、

「上階からの音がうるさい」というのは、衝撃音が原因である為に、基本的にこちら側では防ぎようがないのです。

ですので、対策としては、管理人さん等を通して、注意してもらうように伝えることですね。

(程度の問題もありますが、初期の段階では、直接文句を言いに行くよりも、間に人を入れて伝えてもらった方が、角が立ちにくいです。「音」は人によって感じ方も違いますし、発生者側の意識と被害者側の感じ方の差もありますから、ある程度を超えるような場合では、ウチの会社でも騒音計を持っていまして、これを使って数値的に測定し、想像以上に下の階には伝わっているということを上の階の人に伝えるようにしています。)

では、下の階に迷惑をかけないようにするにはどうするか?

「重量床衝撃音」は、日常的な活動で発生するものではありませんので、そもそもの原因を作らない、子供が飛び跳ねるとか、ダンスをするとか、は控えるしかないです。

「軽量床衝撃音」に関しては、それこそフローリングの床であれば、その上にフロアカーペットを1枚引くだけで、下の階への伝わり方は相当変わります。

室内履きのスリッパを、固めのビニール製ではなく、やわらかめのものにするだけで、パタパタ音はかなりやみますし。

前回も書きましたが、結局、共同住宅での生活では、それなりの気遣いをお互いにするしかない、ということになっちゃうんですよねぇ。

IMG_0813.JPG

これが騒音測定器です。

あんまり活躍の場がない方がいいんですけどね。

この記事を書いた人

斉藤 一則

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