前回のわたしのブログで、「マンションの建物名が外国語由来のカタカナ名ばかりなので、もっと日本語の名前も使うのどうだろうか」みたいなことを書いたのですが、とは言いながらも日常ではカタカナ表記にしかならない言葉を自分も結構使っているなぁ・・・・と、思い当たりました。
日本語の柔軟性というか、日本人の言語消化力が大きいというのか、そういう特性もある意味賞賛すべき点かもしれないので、そもそも無理矢理なんとかすべきことではないのではありますが。
だいぶ以前にあるテレビ番組で「カタカナ語禁止」をルールにしたゴルフを行なっているのを見たことがありますが、ゴルフ用語以外でも如何に自然にカタカナ語を口にしてしまうのかを痛感し、番組を楽しみました。
で、先日ある現場で、入り口にシャッターを設置したのですが、この「シャッター」は日本語で言い換えられるのかなぁ、と思い調べてみたら、タイトルの「鎧戸(よろいど)」という言葉がありました。
正直なところ、素直に「ナルホド!」と、思った次第です。
普段使われるカタカナ語には、このようにちゃんと納得がいくような日本語表示がある言葉もあれば、そもそもが和製英語と呼ばれるようなカタカナでしか書けない言葉もあります。
今更ながら、そういうところも含めて日本語の面白さ、奥深さだったりするのかなぁと思い始めて、前回の日本語回帰発言を少し思い直したところです。
まぁ、それだけのことなので、今回はあまり内容がないのですが、実験的に自作文章をカタカナ語を使用したものと、無理矢理カタカナを使用しないものとで書いてみました。
★カタカナ多用版
モーニングコールがわりにセットしたスマホがヴァイオリンコンチェルトを鳴らし始めた。
僕はしばらく聞き流してから、手探りでスマホにタッチしてそれをストップする。
チープなパイプベッドを軋ませて起き上がると、アンティークなサイフォンで、
いつもどおりコーヒーを淹れる。
モーニングコールとは言いながら、実はもう11時をまわっている。
コーヒーと共に口にするハニートーストは確実にブランチだ。
しばらくして、薄暗いショップのコンクリートの床に投げ出してあったサンダルを引っ掛け、
レジ横のラジオのスイッチを押した。
コマーシャル半分の時報告知を、お決まりのタレントが告げた。
僕はショップのシャッターを上げる。
この小さなアンティークショップの1日はこうして始まる。
★無理矢理カタカナ未使用版
朝の目覚ましがわりに登録した多機能携帯電話が提琴協奏曲を鳴らし始めた。
僕はしばらく聞き流してから、手探りで多機能携帯電話に触れてそれを停止させる。
安い造りの鉄管製寝台を軋ませて起き上がると、骨董的な硝子製珈琲沸かしで、
いつもどおり珈琲を淹れる。
朝の目覚ましとは言いながら、実はもう11時をまわっている。
珈琲と共に口にする蜂蜜塗焼主食用麺麭は確実に朝食兼昼食だ。
しばらくして、薄暗い店舗の砂砂利混合石灰製人造石の床に投げ出してあった洋風草履を引っ掛け、
金銭登録機横の音声放送受信機のつまみを押した。
広告半分の時報告知を、お決まりの芸能人が告げた。
僕は店舗の鎧戸を上げる。
この小さな骨董品店の1日はこうして始まる。
やっぱり、色々無理が生じるようです。
ヴァイオリン=提琴(ていきん)、とか、シャッター=鎧戸、等のような、もともと和名があるものはいいんですが、どうしても無理矢理にしか言いかえることができない言葉が入ってしまうんですよね。
上記の文章の中だと「ハニートースト」と「コンクリート」が、もうなんとも、無理矢理感満載で。
「ハニー」=「蜂蜜」はいいとして、「トースト」の方は、「トースト」=「焼き食パン」迄来て、「食パン」が「主食用パン」の略語で「パン」=「麺麭(めんぽう)」だからと言うことにしましたが、ほぼ中国語のようになてしまいました。
「コンクリート」にいたっては、どうにもならず、「混凝土」という当て字も見つけはしたのですが、なんか違う気がして、成分表示で押し切ったという・・・。
ひとつはっきりしたことは、やっぱり小説家にはなれないかな、と。
鎧戸(シャッター)がついた店舗。
ここが何なのかは、いずれ別の方がご紹介されることでしょう。