今から400年前。上越は高田の城を普請した政宗公。その初代藩主に
御輿入れした五郎八姫。応時、食も粋も伊達文化を持参の由。今なお
伊達姓がいらっしゃる、当地に息づくもう一つの仙台味噌がありました。
時空を越えて数百年。
戦国期は上方文化の白味噌、開府期は伊達文化の仙台味噌、それに
江戸好みの製法が伝わって、独自に進化した上越の味噌。
中でも創蔵百九十余年の杉田味噌醸造場は、米も大豆も自社契約栽
培の逸品で、白・赤・黒と、東西の味噌を小さな蔵で造り続ける仕事は
天晴のひとことに尽きます。
糀は米を中空に醸し、中身が旨みとして溶け出して殻のような外身が
汁に舞う。その姿から、ご贔屓筋に命名された「雪の花みそ」。極め付
けは、江戸から使い伝える木桶で五年寝かせた古熟味噌"蔵守"。
現代の名工や黄綬褒章受章の職人技と、糀の科学をイノベートした全
て無添加常温の本物=当たり前=自然な発酵保存食。
旨さは舌のうえだけではありません。
先代急逝から、蔵を担うことになったのは東京キャリアだった娘さん。
体に沁みいる奥深い味わいを、次の四百年に伝えて行きたい。
淡々と日常の中に受け継がれていく歴史の一歩。
町づくりは、物づくりの事づくりでもあります。
※見目麗しく・香り高く、味わい奥深い。一口あてれば酒が勧む、正に
別格の糀味噌です。
四方山雑記帳
東北・宮城・仙台マーケットの小ネタ小ばなし