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黒ひげのモノローグ

口・健康・食・旅、歯科医のひとりごと

2020年3月のアーカイブ

今日は3月11日。東日本大震災から9年。亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。そして行方不明の人が一人でも判明することを願っています。

震災の時に亡くなられた方の身元確認で多くの歯科医師が検死をしました。その結果身元確認の一つの情報として歯の情報が役立ちました。歯の情報は生前の情報が自宅ではなく、歯科医院にあるというのが特徴です。身元確認を確認するにはDNAが最も有効な情報ですが、東日本大震災では津波によりご自宅が流されてしまったため、生前のDNAを採取することが困難となりました。令和元年12月10日現在で宮城県では9,541人のご遺体が発見され、9,533人の方の身元が判明しております。身元が判明していないご遺体は8名となっています。身元確認の方法では身体特徴・所持品が一番多く86.2%となりました。DNAは1.1%、指掌紋は3%、であるのに対して歯牙形状は9.7%となっています。今回の津波の災害においては生前情報が自宅以外にあったということでこのような結果に繋がったものと思われます。

歯科医院のカルテなど生前の情報は亡くなられたご家族の情報などにより宮城県警の警察官の方々が多く集められました。その情報を我々歯科医師が検索できるようにカルテから情報を書き起こし、ご遺体の情報と照合を行いました。ここには多くの時間と労力を必要としました。また岩手県や福島県と情報をすり合わせる際も書き起こすルールが県により異なっていたため大変苦慮いたしました。

そのような経験から我々歯科会では歯科診療や歯科検診で得られた情報を標準化して、データとして取りまとめ今後起こりうる大災害時の身元確認や医療連携に役立てたいと、厚生労働省と事業を立ち上げシステム作りを行なっております。現在ではそのシステムの基礎は完成しました。しかしデータをどこに取りまとめどのように運用するかは詳細は今後の検討事項となっています。市民の方々のご理解が今後このシステムの構築に重要となってくると思われます。

皆様の歯科情報も大切な個人情報となります。その大切な個人情報を貴重な情報として活用させていただきたいと模索しております。今後歯科医院で治療が終了した時に「あなたのデータを医療連携のための歯科医療データとして登録しませんか」と聞かれる時が将来くると思われます。その時は是非ご協力していただきご登録していただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

今日は少し暖かくなりました。クリスマスローズです。

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柏崎 潤

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