メンバーズブログ

マクロの眼

プロジェクトエンジニアを僭称(?)中

2014年12月のアーカイブ

我らとーほぐ人にとって、西日本はまさに異界でありますが、まして四国はもはや瀬戸内海を隔てた海外・・・ッ!

ちょっと知識がある人間は「四国なんて岩手県ぐらいしか面積ないし」とか言って(っていうか、岩手県大きすぎ)、若干侮っている感があります。

だがしかし、岩手県ぐらいしか面積がないところに4県も凝縮されている四国は、「超凝縮された北海道」のごとく、驚くべき多様性と独立性を持った幕の内弁当のような密度の島で、とーほぐ復興はおろか、日本の先端のヒントにあふれる地域なのでした。

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June 18 ?

【四国考察】

香川県高松市のアーケードの朝の名物風景「自転車通勤通学レース」。

アーケード街での自転車走行が禁止されているセンダイジンとしては、衝撃

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高松のアーケード街は、仙台や神戸、熊本などのような「一方向」に向かっているものと違って、碁盤の目上に大小様々な通りが交錯し、広大で回遊性があります。

中央線沿線で例えると、吉祥寺のような感じ。

一方、全国のアーケード街同様、衰退防止が課題。高松は再開発を軸に活性化を目指し、その手法は大いに参考になります。

それは「所有権と活用権の分離」と「商店街の『テナントミックス』の実施」というもの。

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商店主の都合ではなく、空き店舗の活用をまちづくり会社に委ね、その場所に「入って欲しいお店」を選別して、街全体の「ポートフォリオ」を構築します。

そういえば、古民家への移住や首都圏企業のサテライトオフィス誘致で有名な徳島県「神山町」でもポートフォリオ的手法を使っていました。

「うちの街にはパン屋がいないので、古民家でやる手作りパン屋さん募集」みたいな。

こうした「ターゲッティング」「ポジショニング」そして「ポートフォリオ」的思考のような戦略的発想が自然に生まれるのは、四国独自の文化かもしれませんねぇ。

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47都道府県を最低2回以上訪れている宮城大学時代の恩師アン・マクドナルド先生が、日本をして「幕の内弁当のような国」と称しておりましたが、その中でも「四国こそ真の日本の縮図」。

確かに我が宮城も、神奈川県と並ぶ「日本の縮図」と言われる特殊な地域(「雪」が降るという意味では、真に日本の縮図と思いますが)ですが、殊に「多様性」という意味では、やはりこのような狭い地域にこれほどの「要素」が詰め込まれているのは、「四国の奇跡」です。

徳島県上勝町の視察では「今日は(香川県)高松から来まして日帰りです。」と話したら「えっ!日帰りですか!?」と驚愕されましたが、実際のところ距離時間とも仙台と気仙沼を往復するぐらいで宮城県的には日帰りはデフォルト

逆に、たった数日の視察でも日本の都市、農村、漁村、山村のあらゆるパターンを網羅できるわけで、曲がりなりにも「地域貢献」とか「地域おこし」とかを名乗るコンサルさんは、海外視察などいいから四国視察をした方がええよ、と、震災復興の修羅場をくぐったとーほぐ土着プロジェクトエンジニアであるところのカサマは意見具申するであります。

ここ2年、6月前半に大学院時代の同窓会があるのに合わせ、九州・四国方面の視察旅行を兼ねた「バカンス」を決行しております。

昨年は熊本県黒川温泉、大分県由布院、高知県馬路村。そして今年は最近様々なビジネス雑誌などで近年話題になっている徳島県「神山町」と「上勝町」を偵察。

その偵察情報を密かにFacebook上にアップしています。

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June 7 2014

一昨日、徳島県神山町に、レンタカー「るくしおん号」を借りて高松から行ってみました。

神山町は「山奥の集落なのに」という枕詞で、

「首都圏の起業のサテライトオフィスが増えて活性化している」

現代アートのプロジェクトが成功して活性化している」

「アーティストや起業家が古民家に移り住んで活性化している」

「民間主体の環境保全の元祖で、街全体が活性化している」

「外国人が住み始めたり国際化により活性化している」

等々、見る人の立場によって、様々な「活性化」の解釈がなされているですよ。

しかし、昨日マスコミなどでも話題の「キーパーソン」とも言われる大南氏の話を聞いたところ、どうも世間で言われているほど単純ではなかったとよ

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以下、コメントとして備忘録を順次アップするですので、街づくりとか戦略論とかに興味のある方、暇つぶしにでも。

1.重層的・複合的

「サテライトオフィス」も「現代アート」も「古民家」も「起業家」も「環境」も「外国人」も、全部一つの文脈上にあって、ひとつだけで成り立っているわけではない。

表面だけ、一部分だけ真似ても、あまり意味がなさそうです。

むしろ、「手法」を学ぶというより、以下に記述する「考え方」の方が参考になりました。

2.優先順位づけと文脈

しかし、ある一時期は集中的に取り組まれたもので、ある文脈を元に、順番に始まっている。

神山の場合は

・(驚くべきことに)「国際化」が一番最初で、

 ・海外の人が来ても恥ずかしくないよう「環境保全」

  ・次に海外アーティストの「アート・イン・レジデンス」、

   ・技能を持った人なら移住可能なのがアーティスト見て学習

    働き手・起業家ターゲットの逆指名「ワーク・イン・レジデンス」

    ・古民家はアーティストとか起業家受けるね。「サテライトオフィス」

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3.若者主体の長期間の取り組み

上の流れを当時30代の人間がはじめ、突然有名になったが、実際には25年かかった。あせって全部同時多発進行しがちな被災地の「復興コミュニティカフェ」系のみなさんは要注意です。

ここは東京じゃない。

「地方の時間の流れ」を知る、ある程度職業人として経験のある地元の30代が、その土地の時間の流れでじっくりやる必要。

(たぶん、「発起人」は20代でも40代でもダメかも)

ただ、今風(?)にマネジメント理論を駆使(例えば「ロードマップ」とか)、もっと短い時間でできるかも?

4.小さな成功体験の発端と共有

神山の場合、発端は1941年にアメリカから寄贈された、有名な「青い目の人形」のアメリカへの1991年の「里帰り」運動が発端。

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自腹で(当時30万円の渡航費も!)やった村の30代の若者が、それを機会に「国際化」を謳い始め、今に続く一連の「神山モデル」のベース体験となっている。

「伏線」という意味では、実に70年の歴史になるわけですな。

人工的にこうしたモデルを構築しようとする時、もしかして街づくりの第一歩は「伏線探し」なのかも?

5.複数のリーダーシップの存在

しかもその運動は、街の当時渡米した共有体験を持つ5人の若者が、いまもそれぞれのプロジェクトでリーダーシップと責任をもって分担している。

マスコミは分かりやすくするために「一人の英雄」を作りがちだが、要注意というわけです。

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6.資源の戦略配置の発想

ポートフォリオ・マネジメント・ストラテジー(PMS)と勝手に命名。

民間傭兵部隊(Praivate Military Service)みたいでカッコイイでしょう?

それはともかく、最大の神山モデルの特徴は、「えこひいき」ですな。

古民家移住は「不公平」にやっていて、旧商店街の空き店舗を埋める際は、「神山に必要な人を募集」する。

例えば

「神山にはパン屋がないからパン職人募集。その代わりいい感じの古民家兼店舗を格安で提供」

というような感じ。

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村人から「ポートフォリオ」という単語が出たのに驚きましたが、アーティストを呼んだのも、別に集落を現代アートで埋め尽くすのが目的ではなくて、「アーティスト周りは起業家とか建築家とか変な連中が多いので、多様な人材に神山を注目してもらうため」という、実に「戦略的」な発想。

多様性は戦略的に作り出す」という、基本ですな。

ほっておくと、世の中のものはどんどん均一化するので。

限界集落なら、「無職の高齢者に住民が均一化する」というワケです。

(だから女性の起業家を集中的に支援するとかの「えこひいき」は戦略論的には正しい)

7.都市と農村の役割分担、強みのシナジー

以上のような戦略要件が決まったうえで、神山の人々が「都市と神山の強み・弱みを把握」していました。

これ、「最初にSWOT分析」をよくやっちゃうんですが、神山の方々はMBAホルダーばりに「戦略(仮説)決定してから、改めて都市(徳島市)と神山(山村)のSWOT」を考えておりました。

そうなると、とーほぐ人の感覚的には「徳島市街地から40分」という全然「僻地」ではない(というか、普通にコンビニや信号がある)その神山の特性を、イロイロと料理する術が見えてきた、という感じでしょうか。

特に「6」に関しては、どうせ後で空室が目立って苦労するであろう被災地域の復興住宅や復興商店街で、遠からずこの手法を使わざるを得なくなるはずなので、今からよくよく研究しておいたほうが良いでしょう。

それを行うために、様々なHRM(ヒューマン・リソース・マネジメント)が行われており、これこそが最大のノウハウですね。

、それが知りたい?

はっはっは。

もっと詳しい内容を知りたい方は、私に講演依頼をしたまえ。

タダではやらんよ?

最高級の特保コーラ2本分ぐらいは必要なので、覚悟するように。

(書くのが面倒なので、あとは口頭で・・・)

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最近よく「とーほぐは課題先進地」ということで、その解決を通して日本の課題解決の指針にしよう!という心意気をよく聞きます。

しかし、今後被災地で争点となるであろう例えば「国際化」や「移住者対策」について、実は四国では30年以上様々な試行錯誤が行われている。まだまだ我々とーほぐ人は、外の世界を思い込みや雑誌などの二次情報ではなく、自ら学びに、自ら一時情報を外に取りに行く気合が必要ですな。

私が毎年6日月に四国に行って視察料を所属組合の経費にしているのは、決して香川県高松市に住む甥っ子の顔を見たいからだけではないのです。

このカサマ、そもそも最初に入った某A大学校では理工学部で敵にレーダー波をぶつけて距離を測(ってせん滅す)る研究をしていたわけですが、色々あって何故かここ東北最大の商都仙台で中小企業支援というやくざな商売をやっているですよ。

物事を見る際には科学者のように、物事を発信する際には文学者のように、をモットーとしているカサマ。

この分け方はあまり好きではないのですが、世間一般的には「文系」と「理系」の境界線を渡り歩いた「灰色のマーケッター」が、Facebookで地方都市と首都圏の商品開発文化について語っています。

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October 29 ·

【フォーカス・グループ・ミーティング】

本日都内某所にて、新商品の消費者反応を測るための「フォーカス・グループ・ミーティング(FGM)」を実施ッ!

しかも海外向け商材なので、英語進行ッ!

挙げ句の果てに、経費削減のため、5人乗ってレンタカー仙台東京間日帰り往復ッ!

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まさに精鋭

地方都市チームでこのプロトコルが運営できるチームは、そうそうおるまい。。

とはいえ、これ、マジックミラーになっていまして、向こう側からはこちらの観察部屋は全く見えません。

このような施設は仙台はもとより東北には皆無

そして年間1000の利用があるという事実、いやそもそもこんな施設の存在が、地方都市とTokyoとのマーケティング力の・・・!

商業都市仙台にも必須の設備と思いますが、誰か投資してくれんかのう?

November 1 ·

【モニター試食会】

東北グルメバザールでは、東経連ビジネスセンターの支援の一環として恒例の「モニター試食会」が行われております。

東北の商材の多くが、ユーザー評価を行わないまま市場に投入されます。マーケティングが科学的に行われていない現状。

これが首都圏はもとより、九州や北陸の商材に(味とか品質とかだけではない)「商品力」で負けている大きな原因のように思われます。

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今年度カサマは創業スクエアのFGM3回、宮城県OMSB事業でつい先日東京でやったFGM1回、そして東経連BCのモニター評価2回と、ユーザー評価の運営にかかわった数は倍増。

いわゆる「質的研究」手法が、徐々に浸透しております。

まだまだ少ないですが、震災以降の東北の商品開発文化が、少しずつではありますが、変わってきていることを感じますなぁ。

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カサマが某A大学校で、かなり最初の方の授業だったと思うのですが、ある教授に授業で「軍人である以上に科学者たれ」と言われ仰天し、その時もう一つ強烈に覚えているのは「計測なくして科学なし」というジュール=アンリ・ポアンカレのコトバの引用でした。

某A大学校は、初代校長のモットー「真の紳士淑女にして、真の武人たれ」が極めて有名ですが、それと共にかなり科学主義が言われておりました。

何をするにも「調査」「偵察」「分析」。

テーブルの施錠を忘れた際の反省文にも、「分析が足りない!」とシバかれたのは流石に辟易しましたが。

一般には、20世紀半ばに死者の50%の将兵が餓死した某極東のインペリアル・アーミーの無能な幹部群の反省によるもの、とされておりますが、その「ジェントルマン教育」と「科学教育」の策定には、実は旧制仙台二中出身(現仙台二高)にして、「最後の海軍大将」で海軍兵学校の校長でもあった井上成美(しげよし)と、同じく仙台出身の某A大学校初代校長 智雄の影響がかなり濃いと言われております。

戦後間もないころの、仙台出身の(元)軍事リーダーたちは、敗北の原因を「無教養」と「科学主義の欠如」と痛感したわけです。

ところがあの戦争で日本人の多くは、単純に敗因を「物量に負けた」と一般に認識しているようです。そのような認識ベースもあり、結局、商いの世界はもちろん、いや行政の商業振興の世界でも皇軍もびっくりな精神主義がまかり通っている感があります。

結局、敗戦ですら変わらなかったのだから、震災で商業の文化が変わるとも思えませんが、数十年単位の地道なマーケティング活動とその実績の積み重ねしか、意識の変化に結びつかないのかもしれません。

その点、トーキョーよりはむしろ仙台ぐらいの都市規模の方が、成功体験や成功事例が身近共有し、商業文化が変わりやすいのではないか?などと、事例集の企画案を作りながら、科学主義を徹底してきた仙台人材の末裔としてちょっとだけ希望を見出した、2014年の年の瀬なのでした。

このカサマ、いずれ人生が落ち着いたら英国宰相チャーチル卿のように「東日本大震災復興始末記」を執筆して、その印税で老後を過ごすことを2011年3月11日に決めたですよ。

しかし、どうせ執筆するのなら、やはり血湧き肉躍る物語にしたいわけです。

そして、その物語の伏線設置として起案されたのが「仙臺歴史介入計画」

先日オフィス引っ越し作業をしていたところ、その計画概要を記載した新聞投稿を発見し、遠い忘却のかなたにあった計画を思い出し、Facebook上に暴露しています。

December 3, 2014

【震災復興始末記01】

オフィス工事の為、書類整理をしていたところ、過去の新聞投稿の記事が見つかるなど。
今流行りの「起業」について書いてます。
新聞投稿に掲載されると、7千円の商品券がもらえます。あの商品券、どこ行ったかな・・・。
企業創業の促進.jpg

ところでこの投稿。

日付は2011年5月28日になっておりますな。
あはは。
震災直後の被災地真っ只中での、「時代感覚」ってやつ?

震災直後は仕事もなく、皮肉にも多分人生で最も暇な時期でした。その分いろいろと思考をして、確か3月中に河北さんに送ったかと。

概ね全ては当初の想像通りに推移しているようで、それはすなわち、あの時に予想された「結末」は変えられないのかもしれない。
つまり、本来はエニアグラムで言うところの「観察者」性の私の、ちょっとした「歴史介入作戦」というイタズラは、やはり失敗しつつあるのやもしれませんなぁ。

みなさん、あの時どんな未来を予想し、どう歴史に評価される
と思っていました?

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カサマはかつて、とあるシンクタンクのキャリア開発事業に関わっており、そのメソッドでは「エニアグラム」による性格論の導入が行われておりました。180の質問項目を答えることで、性格を9つのタイプに分けるこのシステム。

その時の笠間の性格の分析結果は、「観察者」と「実行者」が同じ点数というかなり特異なカタチ。

検査前は自分では巨神兵みたいな「調停者」ないしはナウシカみたいな「援助者」だと思っており、また回りもそう思っていたので、これは当時非常に意外に思われたものです。

かつて「YG検査」のせいで潜水艦適性を失った暗い過去を持つカサマとしては、この手の「性格評価」には懐疑的、というか敵視していたわけですが、実際にこれを行ったところ、自分の意外な一面を見つけることができ、もしかしたら性格を状況に応じてコントロールできるのではないか?というように思うに至ったのでした。

それはさておき、では歴史介入計画はその後どうなったかというのも、その2年後、再びかほぴょん新聞に投稿して、何かと誰かに対して、ごくポジティブかつ慎重にピンポイント警告射撃をした形跡が見られます。

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(この投稿自体は掲載日の3か月以上前に投稿。そしてこの投稿の約3週間前、新たな起業支援スキームが立ち上がった。)

隊長、防衛線は破られつつあります!

尊敬する原子力潜水艦ヤマトの山中副長が言っておられました。あらゆる戦術の基本はイマジネーションにあります. 戦うイメージがわき続ける限り戦いのゴールは来ていないのです。」と。

100年の大計」などは、我が世代よりも年上の戦略担当の偉い方が、しっかりやられればよろしい。しかし、それを構想と予算を以て現場に落とし込む中枢の戦術担当は、より前線へのイマジネーションをしっかりと涵養、というかまず前線指揮官に聞きに来い、などと不肖カサマ、自分の物語を面白おかしく完成させるためにも意見具申するであります。