ぽらぽらさんが、焼き鳥やさんがなくなる話を書いていましたね。うーん、考えさせられます。お店が元気で続けられるためには、まちが元気でないとダメなんだろうなあ、と思います。
足しげく通っている、宮城県の鳴子温泉郷。そのひとつに「東鳴子温泉」があります。昔ながらの湯治温泉旅館街で、華やかなネオンがキラキラしている温泉街とは、少々趣が異なります。歩いていける範囲には、飲食店があまりありません。昼間に営業しているまちの食堂「千両」さんは、店主が一人できりもりしています。
先日、遅めのお昼を食べにいったら、誰もいません…。玄関は開いているので「また出前に行っちゃったのかな?」と思いつつ待っていると、ほどなく店主が戻ってきました。「お昼たべにきた湯治のお客さんが、この雪の中歩いて馬場温泉まで行くっていうから、気の毒でさぁ、送ってきた」。馬場温泉とは、歩くとたしかに20分はかかるし、雪の中だと30分くらいかかるのでは?
店主の悩みは、一人できりもりするには限界があることだそうです。昔からのお客さん、最近くるようになったお客さん、出前を頼んでくるお客さん、お向かいの旅館の泊まり客、自分の顔を覚えてくれているお客さん…、「雪の中だから送ってきた」ということは、「私」というお客さんを待たせていることになります。事情を知らない人だと「なんだ?この店、誰もいないぞ」と怒って帰ってしまうでしょう。だからといって、従業員を採用できるかというと、常時2人は必要ない、そんな、都合のいいときだけ来てくれる人もいない。
まちの食堂は、長年続いた焼鳥屋さんと同じで、そこのお店を必要としている人たちがいるわけで…なんとか盛りたてていきたいと思うこのごろです。(写真は、千両食堂さんのカツ丼。)