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2010年6月のアーカイブ

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品質管理のISO9000シリーズ、環境マネジメントのISO14000シリーズに続き、2010年末を目標に「ISO26000」がスタートします。ISO26000はSR(社会的責任=Social Responsibility)」という社会的責任に関する「ガイダンス規格」です。これはISO9000や14000のような外部機関が認証するマネジメント規格ではなく、ガイダンス規格ということで、あくまでも自主的な取り組みのためのガイドラインとなります。
ISO26000ができた背景としては、1970年代の環境汚染、1980年代の児童労働の国際問題をはじめとする課題に対し、企業の社会的責任(CSR)に対する活発な議論が社会のなかで巻き起こりました。そういった流れのなかで、CSR(企業の社会的責任)という言葉が徐々に意識されるようになってきたのです。
CSRとは、企業は社会的存在として、最低限の法令遵守や利益貢献といった責任を果たすだけではなく、市民や地域、社会の様々な要請に応え、より高い次元の社会貢献や配慮、情報公開や対話を自主的に行うべきであるという考えです。実際の活動内容はさまざまで、従来的な「関連法規の遵守やコンプライアンス」「よい製品・サービスの提供」「雇用創出・維持」「税金の納付」「メセナ活動=文化的支援」などを含めるという考え方もありますが、典型的なCSR活動としては「地球環境への配慮」「適切な企業統治と情報開示」「誠実な消費者対応」「環境や個人情報保護」「ボランティア活動支援などの社会への貢献」「地域社会への支援や参加などの地域貢献」「安全や健康に配慮した職場環境と従業員支援」などが挙げられます。
企業は自らの利益のために環境や人権など様々な社会の課題に対し、見て見ぬふりをしてきた部分がありますが、結果社会に対する悪影響が大きくなってきました。これを無視しては世界の各地域の均衡ある持続可能な発展はありません。
近年では、企業を評価する指標が変化してきました。グローバルな企業は既に「社会性」、「環境性」、「経済性」の3つの軸で評価され始めています。そういった考え方に基づき、SRI(Social Responsibility Investment=社会的責任投資)という考え方が広まってきており、外国の投資家が投資する際に、CSRを実践している企業かどうかも基準のひとつになり始めています。また自治体の調達に関しても、社会的責任をきちんと果たしている企業を評価し、そういった企業から調達を考えていく「CSR調達」という考え方も出てきました。
CSRに関して、特に日本企業に求められる主な課題としては
    アジア各国を中心とした調達先(サプライヤー)での人権状況の確認と改善
    国内での外国人労働者への差別的扱いの改善
    従業員や管理職に占める女性や障害者などの割合の開示と改善
    多様な顧客の存在に配慮した商品やサービスの開発・改善
    企業と地域社会との関係の構築(地域をより良くするために、企業が持っている様々なリソースを地域に提供)
などが挙げられています。日本の企業はどちらかというと環境への対応に偏りすぎている傾向があると言われています。環境は勿論非常に重要なものですが、環境はCSRのひとつであり、バランスよく地域社会に目を向けることが求められているのです。
なお、ISO26000は企業に限らず、行政やNPOをはじめ、すべての種類の組織に適用されることがこの規格の主眼のひとつです。

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針生 英一

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